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パーティーメンバーに婚約者の愚痴を言っていたら実は本人だった件  作者: ぷにちゃん
第二章 死亡フラグいっぱいゲームスタート!
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2:いつもの三人

 校門の前ではほかの生徒の邪魔になるので、ロゼッタたちは入学式の始まるホールへ向かって歩き始めた。


「ちゃんとしてる二人を見るのって、なんだか新鮮だな……いや、今の俺は従者だから新鮮ですね? か」

「言葉遣いも、『俺』じゃなくて『私』の方がいいぞ?」

「私……わかりました」


 ロゼッタの右隣にはルイスリーズが。さらにその隣には一緒に冒険者としてパーティーを組んでいるカインがいる。



 この国の王太子でロゼッタの婚約者、ルイスリーズ・クレスウェル。

 透き通るような金髪の髪に、青色の瞳。容姿端麗なルイスリーズは、この乙女ゲームの攻略対象キャラクターだ。

 ロゼッタと一緒に冒険のパーティーを組んでおり、誰よりも信頼することができる。パーティーでは剣を持ち、前衛を務めてくれている。



 ルイスリーズの従者として学園へ通うことになった、カイン。

 毛先だけ青色の黒髪と、金がかった黒色の瞳。尖った耳から、人間とは別の種族ということがわかる。

 ――が、実はこの世界を滅ぼしてしまうであろう魔王の封印が解ける前の姿だ。というのを、前世の記憶があるロゼッタだけが知っている。



「カインも制服似合ってるね!」

「ああ、サンキュ。二人が学園に通うと、俺は――私は一人で依頼をこなすしかないかと思ってたけど、一緒に通えて嬉しいよ」


 ロゼッタが褒めると、カインはちょっと照れるように笑った。

 いつもはロゼッタ、ルイ、カインの三人でパーティーを組み、冒険者ギルドの依頼を受けていた。

 しかし学園が始まると、三人で依頼を……ということが難しくなってしまう。

 そこで、ルイスリーズの従者として一緒に入学してはどうか? ということになったのだ。そうすれば、一緒に通えるだけではなく、従者兼護衛としての給料も発生する。そのため、カインにとってはいいことづくしなのだ。


 とはいえ、最初ロゼッタは――「え、学園に行かなくてもいいのにわざわざ入学して勉強したいの!?」と言ってしまいカインに冷めた目で見られ――いや、この話は置いておこう。


(勉強したいなんて、カインは偉すぎか……)


 どうにかしてさぼれたらいいのにと考えていたロゼッタとは正反対だ。



 少し歩くと、入学式の行われるホールの前へ着いた。

 光の妖精をモチーフにしたデザインで作られていて、建物の中は太陽の光をふんだんに取り入れることができるようになっている。


 これからここでロゼッタたちの学園生活が始まる――とはいっても、ただの学園ではない。

 乙女ゲーム『フェアリーマナ』は、その名の通り冒険要素が強いファンタジー乙女ゲームで、それを売りにしている。

 つまり、魔法学校なのだ。

 魔法の授業や、魔物と戦う実践の授業も取り込まれている。生半可な気持ちで通っていい場所ではないのだが、その分、卒業後の進路も安定しているのが特徴だろうか。


「どうした、ロゼッタ。緊張してるのか?」

「ルイ……スリーズ様」

「お前な……いや、もうルイでいい」

「ルイ様?」

「そうそう。婚約者なんだから、愛称で呼んだっていいだろう」


 今後、変に呼びためらわれた風になってしまう方が面倒だとルイスリーズが苦笑する。


(だって仕方ないじゃない、いつもルイって呼んでたんだから……!)


 癖はそう簡単に直らない。



 しかし今は、そんなことより大変な問題がある。

 入学式が終わるとすぐ――クラス分けのテストがあるのだ。

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