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パーティーメンバーに婚約者の愚痴を言っていたら実は本人だった件  作者: ぷにちゃん
第一章 悪役令嬢、死なないため冒険者になる!
26/67

26:極秘依頼

 ――朝。

 ロゼッタは朝食の前に屋敷を抜け出し、街で食事をする。


 では、誰が公爵令嬢ロゼッタの朝食を食べるか――と問われたら、魔法【夜の化身】で作り出したロゼッタの分身だ。

 以前は顕現し、簡単な動作をするだけだったが、ロゼッタのレベルが上がったからか……簡単な言葉を喋り、食事をすることもできるようになった。


 化身がベッドから起き上がると、ちょうどナタリーがやってくる。


「おはようございます、ロゼッタ様」

「おはよう、ナタリー」

「実は昨夜、ルイスリーズ殿下からお花が届いたんですよ」


 ナタリーは、綺麗な赤い薔薇の花束を持っていた。

 今までアクセサリー類のプレゼントばかりだったので、ナタリーは驚きつつもとても嬉しかった。

 自分が仕えるロゼッタのことを気にかけてくれているのだ、と。


「花瓶に移しておきますね」

「お願いね」

「お任せください」


 花を花瓶に移すと、すぐにナタリーが洗面の準備をしてくれる。温かいお湯で顔を洗い、着替えをすませて食事をとる。

 このあとはもう、することはない。

 日によっては家庭教師がくるけれど、微笑みながら頷いていれば終わる。あまり喋ることのできない化身でも、問題なくこなせるのだ。


「今日は特に予定もありませんが、どうしますか?」


 読書、刺繍、音楽……と、やりたいことが自由にできる。化身は首を傾げつつ、ハンカチと刺繍糸を手に取った。

 それを見て、ナタリーがパンと手を叩く。


「せっかくですから、刺繍したハンカチを殿下に贈ってはいかがですか? 花束のお礼に、ちょうどいいです」

「……はい」


 嬉しそうに提案したナタリーに、化身は頷くしかなかった。



 ***



 冒険者として順調に進んでいるロゼッタは、もうそろそろBランクというところまでやってきた。

 実のところ、高ランクの冒険者はそれほど存在しない。

 C~Dランクの中堅が多く、Bランクを超えると街によっては数人しかいない。Aランクになると、国に数人……というレベルだ。


「これはもう、私たちの時代がやってきたんじゃない!?」


 冒険者ギルドで次の依頼を物色しながら、ロゼッタはにやけそうになる。ここまで強くなれば、暗殺者に殺されたりする懸念はぐっと減るだろう。

 ただ、魔法の腕ばかり上がっていてはどうしようもない。うっかり転んで死んでしまうような、弱い魔法使いでは駄目なのだ。


 なので、最近はルイに剣の扱いを教えてもらいつつ、体力づくりや鍛錬にも力をいれている。


「この依頼はどうだ? 大規模なゴブリン村の討伐」

「いっそワイバーンの討伐とか?」

「さすがにそれは辛くないか?」


 ロゼッタの隣では、ルイとカインもどの依頼がいいか吟味している。しかし、なかなかちょうどいいものがないようだ。

 三人で悩んでいると、カウンターにいたリリがロゼッタたちの名前を呼んだ。


「ん?」

「ロゼリーさんたち、ちょっといいですか?」


 どこか真剣な表情をしたリリに、ロゼッタはただならぬ空気を感じながら頷いた。




 ロゼッタたち三人と一匹は、応接室に案内をされた。

 出されたお茶を飲みながら待っていると、リリと一人の男性がやってきた。がっしりとした体格に、鋭い眼光の大男だ。


「突然すまないな。俺はギルドマスターのジャング。実は、お前たちの実力を見込んで、頼みたい極秘依頼がある」

「――!」


 突然舞い込んできた予想していなかった依頼に、ロゼッタたちは息を呑む。


 冒険者ギルドの依頼は、基本的に掲示板に貼ってある。しかし、そのほかに指名依頼や、表に出していない依頼がある。

 難易度が高いため掲示ができず、ギルド側から冒険者に直接話をするのだ。


(こういう依頼があるっていうのは知ってたけど、自分にくるとは……)


 もっとランクが上がって、初めて声をかけられるものだとばかり思っていた。


「まず、依頼の内容に入る前に確認だ。これは極秘依頼であり、この依頼を受けたということも口外してはいけない。また、説明の前に受けるか決めてもらう」

「それは……」

「内容を聞いたら、断ることはできないということだ」

「――!」


(さすがは極秘依頼……)


 最初から難易度がマックス。

 けれど、自分たちに話を振ったということは……ギルド側は、ロゼッタたちであれば依頼を達成できると考えていることになる。

 よっぽどのことがないかぎり、問題はない――はずだ。


 ロゼッタはルイとカインを見て、二人はどう思うか聞こうとしたのだが――


「もちろん受けます。俺たちにしかできないなら、なおさら!」

「報酬もいいんですよね?」

「――って、受ける気満々じゃん!」


 相談するという概念がないのか、この二人には!!

 ルイは正義感に燃えていて、

 そうツッコミたくなったが、ロゼッタとしても依頼は受けたいと思っていた。なのでここは出かけた言葉を飲み込んで、咳払いをひとつ。


「この依頼、受けます。内容を教えてください」

「感謝する」


 ジャングは深く深呼吸をして、ロゼッタ、ルイ、カイン、ネロへ改めて目を向ける。


「みんないい目をしているな。お前たちに頼む依頼は――シャルティアーナ姫様の救出だ」

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