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パーティーメンバーに婚約者の愚痴を言っていたら実は本人だった件  作者: ぷにちゃん
第一章 悪役令嬢、死なないため冒険者になる!
24/67

24:レベルが上がって……る!

 リュートが見せていたのは、火属性の魔法だけ。それなのに、ロゼッタは【ヒール】――水魔法と、さらには土魔法を使えると言い切ってしまった。


(あーやらかした、ちょっと仲良くなれたかと思ったのに)


 再びめちゃくちゃ警戒されてしまった。


「……とりあえず、傷は治すよ。【ウォール】でモンスターに見つからないようにして……【ヒール】」

「助かった。でも、お前の属性を知っているのは、俺と、お前の両親と、陛下たちくらいじゃなかったか?」

「そうです」


 想像以上に、リュートが四属性使えるということは機密性が高かったようだ。

 ロゼッタは頭を抱え、どう言い訳をしようかと悩む。

 そんな、う~んう~んと唸るロゼッタを見て、カインは隣でため息をついた。どうしてロゼッタはこんなにも抜けているのだろうか、と。

 カインはロゼッタがどうしてリュートの属性を知っていたかはわからないが、ここで面倒ごとに自分もまきこまれるのは嫌だと思った。


「さすがだね。ロゼリーくらいの高レベル魔法使いになると、人の属性もそうやって感じ取ることができるんだ」

「――! ま、まあね! 私ってば、レベル83だし!」


 めちゃくちゃ強いから、リュートの属性を見破りました! というていにした。こんなことで大丈夫か? と思ったが、二人はあんぐりと口を開いた。


「レベル83!? 初級魔法なのに恐ろしく強いと思っていたけど、そんなに強かったのか……」

「それで俺と同い年とか、信じらんねえ……」


 リュートとラインハルトは驚きを隠せないようだ。そして、その実力であれば自分の属性のことを感じ取れても不思議ではないとリュートは思う。

 すごい人に出会ってしまった――と。


「それほどまでの高レベルは、ほとんど聞いたことがありません。幼い頃から、それはすごい鍛錬をしてきたんでしょうね」


 リュートがキラキラした瞳で、ロゼッタのことを見てくる。

 単純にゲーム知識を使い効率よく狩りをしただけなのだが……尊敬してくれるなら、そのままでもいいかもしれない。


(私が殺されそうになったとき、助けてくれるかもしれないし!)


 しかし逆に、ラインハルトは警戒した目でロゼッタのことを見ている。その理由は、ロゼッタが闇属性というところにあるだろう。

 ラインハルトの父親は現騎士団長で、闇属性というものに強い忌避を抱いているからだ。


(そういやゲームも、ロゼッタのことを一番睨んでたのはラインハルトだったなぁ)


 仲良くなるのは難しいかもしれないが、殺すほどではないと思ってくれていたらいいなと、そう思うことにした。



 ***



 草原で低レベルのモンスターを相手に、リュートとラインハルトに実践方法を教えたロゼッタたちは、街へ戻ってきた。


「ふー、お疲れ様! リュートとラインハルトも、ちょっとはレベルが上がったんじゃない?」

「私は、レベル11になりましたね」

「俺は12だ」


 …………。

 思わずロゼッタの周囲に沈黙が流れる。


(やだ、ゲームの初登場時の二人はレベル10よ!)


 あっさりと超えてしまっているが、これは問題なかっただろうか……? と、不安な気持ちになるも――すぐに「まあいっか」と開き直る。


「どうかしました?」

「ううん。二人のレベルが上がってよかったなって」

「ありがとうございます」


 リュートの言葉にロゼッタが笑顔で返事をすると、嬉しそうにお礼を言ってくれた。


(そもそも、私のレベルがもうラスボスの魔王より上……)


 いっそ自分で魔王を倒して、ゲームをクリアしておけばいいのでは? なんてことも考えてしまう。

 しかしここで、そういえば魔王はどうしているのだろうと首を傾げる。



 ――魔王。

 この世界を征服しようとしている、モンスターの頂点に立つ存在。

 ゲームでは、攻略対象者たちと共に、魔王を倒しにいく。そして倒すことができたらエンディング……という流れだ。

 肝心の魔王は北の山脈にそびえる魔王城にいて、そこから中ボスなどの強いモンスターを使って襲ってくる。



(北の山脈って、今は雪がすごくて入れないんだよね)


 ゲーム終盤にならなければ、北の山脈の吹雪がやまず、仲間が『ここから先は進めそうにない』と入ることすらできないエリアだ。

 なので、入れないもの……と思っていたけれど――今は現実世界。


(……誰も止めたりはしないんじゃない?)


 なんてことが、脳裏をよぎる。


「よければ、お礼に食事をご馳走させてください。美味しいレストランがあるんですよ」

「高級レストラン……?」


 ロゼッタが考え事をしていたら、リュートが話を進めていた。そして珍しく、カインが食いつきを見せている。


(きっと、高級レストランの料理の味とか調理方法が気になるんだ)


 なんだかんだで、カインは野宿などの際の食事作りに気合が入っている。きっと料理自体が好きなのだろう。

 子どもらしいカインの一面に、ロゼッタは微笑ましくなる。


「よーし、たくさんご馳走されちゃいましょう!」



 ***



 ぐつぐつ煮込まれた上品なハンバーグにナイフを入れると、中からとろりとチーズがあふれ出てきた。鼻をくすぐる芳醇な香りに、カインは息を呑む。


「へぇ……これは、なかなか」


 カインが一口食べると、ぴくんと体が跳ねた。

 どうやらお気に召したようだ。


「ふぅん……なかなか肉の処理が上手いね……。それに、煮込んでる時間が……」

「…………」


 予想以上にカインのテンションが上がっている。


(饒舌になるタイプだったのね……)


 ロゼッタは苦笑しつつ、ハンバーグを食べる。口の中に入れると肉がとろけ、一瞬で幸せの絶頂に辿り着く。


「美味しい~!」

「気に入っていただけてよかったです。ここは、私とラインハルトのお気に入りの店なんです」

「そうだったんですね。ありがとうございます!」


 リュートとラインハルトはよく来ているようで、店員とも親しげだった。


 ロゼッタたちは美味しいハンバーグを堪能し、冒険者ギルドに依頼の報告をして今日は解散となった。

 予想外にメインキャラクターたちと遭遇してしまったが、ちょっと仲良くなれたので、いい一日だった。

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魔王を倒しに行った勇者が、魔王に一目惚れしてお持ち帰りしてしまうお話です。

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