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パーティーメンバーに婚約者の愚痴を言っていたら実は本人だった件  作者: ぷにちゃん
第一章 悪役令嬢、死なないため冒険者になる!
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21:ゴブリン村の討伐

 野宿の見張りはモンスターも出ず、平和に終わった。

 ロゼッタたちはゴブリン村を目指し、山の中を歩いている最中だ。ゴブリン村ができた影響で魔物の数が少なく、順調に進んでいる。


「そういや、二人とも同い年だったよな。冒険者以外の選択肢はなかったのか?」


 前を歩きながら、ルイがそんなことを言い出した。


「カインは料理の腕がよすぎるから、料理人っていう道だってあったんじゃないか?」

「それは言えてる……」


 昨日の夕飯はもちろんなのだが、今日の朝食もすごくすごく美味しかったのだ。ある意味、冒険者をしているのが勿体ないと思ってしまうほどには。

 カインは深くため息をついた。


「人と関わるのは、そんなに得意じゃないんだ。ネロもいるし」

「せっかくいい腕してるっていうのに……でも、俺たちが美味しい食事にありつけてるんだから結果的にはありがたい……のか?」

「ネロは可愛いのにねぇ」

『わふっ』


 ロゼッタは、隣を歩いてくれているネロのことを撫でる。今回はネロといる時間が長いため、仲良くなったのだ。

 ネロは首のところをもふもふしてあげると、とても気持ちよさそうに目を細めてくれる。それがとびきり可愛いくて、ロゼッタはデレデレしっぱなしだ。


「そういうルイは、なんで冒険者?」


(家の仕事と両立してでもしたいみたいだし)


 何か大それた野望か、大きな理由でもあるのかもしれない。そう思って聞いたのだが、なんともヒーローな答えが返ってきた。


「俺はモンスター被害にあってる人を助けたいんだ!」


(立派だ……)


 モンスターのはびこるファンタジー世界で、人のためにという理由で冒険者を目指していることは、純粋にすごいとロゼッタは思う。

 それは、カインも同じだったようだ。


「……でも、あんまり甘えた考えだと足元をすくわれるぞ?」

「別に、無茶はしないさ」


 人を助けたいからといって、敵いもしない強敵に突っ込むような愚か者ではない。ルイはカインの言葉をさらりと流し、ロゼッタにも理由を聞いてきた。


「私? 私は死なないためにね!」

「「…………」」


 なんとも反応に困る理由だと、ルイとカインは頭を抱えたくなる。

 冒険が好きでいろいろなところに行きたいとか、レベルを上げて強くなりたいとか、そんな理由だとばかり思っていたのに。


 ロゼッタはルイたちがそんなことを考えてるとは思っていないので、「そうそう」と言葉を続ける。


「二人は回復魔法とか使えないの?」

「魔法は無理」

「俺は……火と水だから、水の中級の【ヒール】が使えるけど」


 カインは魔法全般が使えず、ルイは多少の心得があるようだ。

 前衛なのにそんなに魔法が使えるんだと不思議に思いつつも、ロゼッタは回復魔法を使えると知りテンションを上げる。


「おおおぉっ! 回復魔法!!」

「【ヒール】なら、そこまで珍しいわけでもないだろ?」


 中級魔法なので、魔法の才能があれば冒険者ギルドで覚えることができる。だからそんなに驚かなくてもと、ルイが言う。

 しかし、ロゼッタには死活問題なのだ。


「回復魔法を使える仲間がいたら、私がうっかり死にそうになっても回復してもらえるでしょ? めっちゃ心強い!」

「そんなうっかりは止めてくれ」


 ルイに真顔で注意されてしまった。


「そりゃあ、気をつけはするよ? でも、こればっかりはどうしようもないんだよ」


 悪役令嬢は、ちょっとしたことで死ぬのだ。きっと、この世界でロゼッタほどうっかりで死ぬ人はいないだろう。

 主に、ヒロインが選択した結果でのうっかりだけれど。


「わかったわかった、お前が死にそうなときは俺が回復してやるよ」


 やれやれと肩をすくめながら、ルイは苦笑した。



 ***



 緑の小鬼――ゴブリンたちは、森の奥深くにひっそりと村を作っていた。その数は、だいたい一〇〇といったところだろうか。

 なかなかに数が多く、さらにはゴブリン一匹一匹が剣、杖、弓などを持ち、戦闘での役割がきっちり決まっている。


 先頭を歩いていたルイが、「しっ」と口元に指をあてる。


「見つけたぞ、ゴブリンの村。あそこを殲滅できたら、依頼達成だ」

「わ、可愛い村だ」


 ゴブリンの村は、切り株や巨大キノコで家が作られていた。ゴブリンのくせに、なんてファンシーなんだ。


「最初に話した作戦通りに行くけど、準備はいいか?」

「もちろん!」

「問題ない」

『わう』


 ロゼッタとカインとネロは頷く。


「それじゃあ行くぞ!」


 ルイの号令で、最初にロゼッタが飛び出した。


「いくよ! 闇の妖精よ、黒き疾風を作り出して我が敵を撃て! 【ダークストーム】」


 ロゼッタが高らかに叫ぶと、炎を纏った闇の風がゴブリンたちを襲う。それを一撃、二撃、三撃――!

 ある程度の狙いを定めてはいるが、すべて当てる必要はない。ロゼッタの魔法の初撃は、ようは奇襲だ。

 何匹かのゴブリンを倒したところで、カインが弓でフォローする。倒しきれなかったゴブリンを狙い、倒す。


「よっし、あとは任せろ!」


 ある程度のゴブリンを倒したところで、ルイとネロが駆けだす。何匹かのゴブリンを切り伏せ、そのまま引きつけるようにして走る。

 ゴブリンが複数で攻撃をしてくると厳しいので、混乱させて少数になったゴブリンを倒す作戦だ。これができるのも、相手が知能の低いゴブリンだからこそ。


(うんうん、いい感じ!)


 多少反撃されながらも、ゴブリンの攻撃をしっかり受けきっているルイ。奥に隠れているゴブリンを弓で狙うカイン。ルイの下にゴブリンが増えすぎないよう、威嚇するネロ。

 なかなかいい連携が取れている。


 そしてこのパーティのメイン火力――攻撃の要は、ロゼッタの魔法だ。


「【ダークアロー】! 向こうにいる集団には――【ダークストーム】!」


 ロゼッタとの徹夜のレベル上げと、闇魔法という強い魔法もあり、ゴブリン村はすぐに殲滅することができた。

 残ったドロップアイテムは、ゴブリンの耳。特に使い道はないが、売れば少しばかりのお金になるだろう。


「はー……本当、ロゼリーの魔法は強すぎる。俺の見せ場が全然なかったぞ?」

「あはは、ごめん。でも、ルイが前に出てくれてるから、私は安心して魔法を使えるんだよ」


 だからこれは、パーティの勝利なのだ。

 残党の確認をしてくれたカインとネロも合流し、ロゼッタたちはハイタッチをして依頼の達成を喜んだ。

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