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パーティーメンバーに婚約者の愚痴を言っていたら実は本人だった件  作者: ぷにちゃん
第一章 悪役令嬢、死なないため冒険者になる!
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14:新たな出会い

 うっかり張り切りすぎてさっくり討伐依頼数の三〇匹を倒してしまった。苦笑するしかない。


「でもほら、予定より早く終わったことは素直に喜ぼ!」

「そうですねー」

「ルイってば棒読みがすぎる」


 まあ、早めに終わるのはいい誤算だと思おう。

 レベルも18になったし、ドロップアイテムもあるし、かなり割のいい依頼だったと言っていいはずだ。


「ねえねえ、どうせだからもう少し狩っていかない? 多く倒しても、討伐依頼としてカウントしてもらえるし。正直、やっぱりソロでウルフは怖いからルイがいると助かるんだよね」


 ウルフを認識することができれば一撃で倒すことができるが、突然の襲撃があったら防げる自信はまったくない。

 ロゼッタに冒険者としての経験でもあれば、また違ったかもしれないが……中身は令嬢で、駆け出しの冒険者だ。


 ルイはロゼッタの提案に悩みつつも、「そうだな」と頷く。


「さらにウルフを狩っておいたら、ランクアップも早そうだ」

「え、もうDランクになるの!?」

「この依頼か、次くらいでいけそうだと思ってたんだ」

「おぉ~!」


 嬉しそうに話してくれるルイに、ロゼッタは拍手を送る。そして冒険者ギルドでルイに会ったときのことを思い出す。


(だから、この討伐依頼を受けようと必死だったんだね)


 確かにランクアップがかかっていたら、依頼を受けたくて仕方がないだろう。ロゼッタはうんうんと頷いた。


「んじゃ、確実にランクアップできるように頑張って倒さないとね! もっと森の奥に行ったら、きっとウルフもいっぱいいるよ」

「俺がウルフの気を引いて、ロゼリーの魔法で倒せばあっという間だな」

「うん!」


 ロゼッタとルイは、なかなかに上手く連携が取れている。

 それは一重に、ルイがロゼッタの実力を認めて攻撃部分を全面的に任せてくれているからだ。


(これくらいの男の子だと、自分で倒したい! っていう気持ちが強いと思ってたけど……。やりやすい)


「ロゼリー、来たぞ!」

「いくよ、【ダークアロー】それと、【ダークストーム】!」


 突っ込んできた一匹を倒し、さらに奥から来た二匹をまとめて倒す。

 楽勝! そう思っていたのも束の間で、すぐ横の木の陰から一匹が飛び出してきてルイに襲いかかった。


「うおっ!?」

「ルイ!?」


 今まではウルフの攻撃を剣で受け止めていたルイが、力に押し負けて背中から地面へと倒れ込んでしまった。


(まずい! 疲れがたまってた――え?)


 ロゼッタが杖を構えると、ルイに襲いかかったモンスターはウルフではないことに気づく。


「「一角ウルフ!?」」

『グルルゥ』


 声をハモらせ、ロゼッタとルイは目を見開く。

 一角ウルフ――その名の通り、額に一本の角があるモンスターだ。ウルフ系のボスポジションにいるモンスターで、その強さはかなりのもの。

 プレイヤーのレベルが30くらいのときに出てきたとロゼッタは記憶している。


「ルイ、レベルは!? 私は18!」

「俺は19だ!」

「今の私たちじゃ一角ウルフは無理……っ!」


 もしかしたらルイがめちゃくちゃ強い――なんてことは、なかった。


「逃げよう! 【ダークトルネード】!!」


 ロゼッタは頭上の木の枝を一角ウルフの上に落とし、その隙にルイの手を取って走り出した。しかし、木の枝なんて簡単にはねのけられてしまい、一角ウルフはすぐさま追ってくる。


 ――あ、やばい。


 しかしそう思った瞬間、鋭い矢が一角ウルフの角に命中し、その根元を折った。


「「――っ!?」」


 突然のできごとに、ロゼッタとルイは目を見開く。一角ウルフは、ドロップアイテムの角だけを残して消えた。

 今の矢で、倒されたようだ。


(弓矢? いったい誰の!?)


 誰か、通りがかった熟練の冒険者が助けてくれたんだろうか。

 ロゼッタが矢の飛んできた方を見ると、七歳くらいの男の子が一人立っていた。予想していなかった相手に、戸惑う。


「えっと……あなたが助けてくれたの?」

「ウルフの森に、どうして子どもが……」

「こんな見た目だけど、年は12で冒険者だ」


 少年は構えていた弓をしまい、一角ウルフの角を拾って鞄にしまった。


「こんなところに一角ウルフが出るなんて、珍しい。でも、いい臨時収入にはなるか」


 一角ウルフはめったに出ないモンスターで、その角は高く売れる。少年はホクホク顔だ。

 ルイが「すごいな……」と感心した様子で少年を見る。


「ウルフくらいしか出ないと思って、油断してた。助けてくれてありがとう」

「助けてくれてありがとう。私は冒険者のロゼリーで、こっちはルイ。……あなたの名前を聞いても?」

「カイン。それから相棒のネロ」



 どこか大人びた表情をする少年、カイン。

 深い黒色の瞳と、毛先だけが水色に染まっている黒色の髪。外見にそぐわない年齢と尖った耳から、エルフか何か人間とは別の種族だということがわかる。

 腰に弓矢と数本のナイフを装備しているので、中衛のポジションを得意としているのだろう。



 カインが相棒だと告げた、ネロ。

 一メートルほどの、大きな犬――いや、狼だろうか。艶のある漆黒の毛に、威圧感のある金色の瞳。カインのことを守るように、そのしっぽを絡ませている。



(うわ、すごい迫力!)


 気持ちよさそうな毛皮に、顔をうずめてもふもふしてみたいなんて言ったら、怒られてしまうだろうか。

 ロゼッタがネロのことをじっと見つめていると、カインが「大丈夫だ」と告げる。


「ネロは人に危害をくわえるようなことはしないから、安心して」

「あ、うん。とっても賢い子なんだね」

「まあね」


 ネロを褒めると、わずかに尻尾が揺れた。どうやら、ロゼッタがなんと言ったかきちんと理解しているようだ。


(お利口さんだぁ)


 ますます、もふっとしたくなってしまう。

 ――なんて。ロゼッタがそんなことを考えていると、すぐ近くからガサガサという音が聞こえてきた。


「ウルフだ! 数が多いぞ!!」

「「――!!」」


 まっさきに声を荒らげたのは、カインだ。

 ロゼッタとルイはその声を聞き、各々の武器を構える。


 木々の隙間から顔を覗かせたウルフは、軽く一〇を超えていた。さすがに、この数に対して前衛がルイ一人では無理だ。


(どうしよう!)


 すぐそこまでウルフが来ているので、考えている時間すら惜しい。ひとまず詠唱をし、向かってくるウルフに【ダークストーム】を放つ。

 二匹倒すことができたが、まだ数が多い。


 ルイの下までウルフがやってくる――というところで、ネロが吠えた。


『ガウウゥッ!』


 瞬間、ウルフたちが怯む。本能的に、自分たちではネロに勝てないということを感じたのだろう。


「今だ、一気に倒そう!」

「あ、ああ!」

「いくよ――【ダークストーム】!!」


 怯んだウルフたちをカインが短剣で切りつけ、後ろへ下がる。そのまま弓で攻撃し、一匹を仕留める。そのあとに続き、ルイも剣でウルフを倒し、ロゼッタも魔法で応戦する。


 数が多いとはいえ、ウルフ側で統率が取れていないのであればそこまでの脅威ではない。ロゼッタたちは、あっさりとウルフを倒すことができた。



「は~~、よかった」


 結局、一〇匹以上のウルフがいたようだ。ドロップアイテムを拾いながら、ロゼッタはほっと胸を撫でおろす。


「一角ウルフのせいで、ウルフの数が多かったんだろうな。討伐したから、これ以上ウルフが増えることはないと思う」


 もう大丈夫だと言うカインに、ロゼッタも頷く。


「だね。一角ウルフはこんなところに出るモンスターじゃないし、イレギュラーな感じだったのかもしれないね」

「一応、ギルドには報告しといた方がいいけどね」

「うん」


 一角ウルフ討伐の報告もあるので、帰りはカインも一緒になり三人と一匹で冒険者ギルドへ戻った。

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