12:闇属性とバレまして
翌朝、ロゼッタは晴れ晴れとした気持ちで冒険者ギルドへやってきていた。
今日はルイと臨時パーティを組み、ウルフ討伐だ。
(しかもしかも、月夜と炎の杖のおかげで、私の戦力は大幅アップしている!!)
昨日、杖をもらった後、部屋に戻りその性能などを確認したのだ。
ギルドカードを使うことにより、自分のステータスだけではなく、装備の詳細なども知ることができた。
ロゼッタ・フローレス(ロゼリー)・レベル15・HP350/350・マナ275/175+100
装備:
月夜と炎の杖
属性に火が追加される。元々火属性の場合は、魔法の威力が1.5倍になる。マナの総量+100。
魔法:
初級闇魔法【ダークアロー】
闇の矢を出現させ、ダメージを与える。
中級闇魔法【ダークストーム】
闇の風を出現させ、ダメージを与える。
固有魔法【夜の化身】
思い描いた化身を出現させる。出現させている間は、一分毎に10のマナを消費する。
依頼:
ウルフの討伐(0/30)
鞄の中には買えるだけのポーションを詰め込んでいるので、準備もバッチリだ。
すぐに、ルイがギルドへとやってきた。
ロゼッタのことを見つけると、「待たせたか!?」と、慌てている。初めて受けるパーティでの依頼で、失態はしたくないのだろう。
「大丈夫、私も今来たところだから。よろしくね、ルイ」
「ああ、よろしく!」
***
ウルフが生息する南の森は、街から二時間ほど歩いたところにある。
近くまで辻馬車などを使ってもいいのだが、ロゼッタとルイはパーティの連携やレベル上げもあるので、道中モンスターを倒しながら歩いて向かっている。
――のだが、困ったことが一つ。
(私の魔法、闇属性だった!!)
ウィッグで黒い髪は隠しているけれど、魔法を使ったら闇属性だとばれてしまう。そうしたらきっと、ルイは離れていってしまうだろう。加えて、ロゼッタ――ロゼリーは闇属性だという噂が広がり、追われる身になってしまうかもしれない。
(それだけは阻止しなきゃ)
なので、今は仕方なくルイに戦闘を任せっぱなしにしている。
今も、草むらから飛び出してきたフラワーラビットを一刀両断したところだ。
ルイは、ロゼッタが思っていたよりも剣の腕が立った。
スライムやフラワーラビットの雑魚モンスターであれば、任せてしまっても問題はない。これから討伐をするウルフも、一対一であれば何ら問題はないはずだ。
ただ、群れでこられたら一人で対処するには実力が足りなさすぎる。
何匹目かのフラワーラビットを倒すと、ルイが振り向いた。後ろを歩いていたロゼッタを見て、「お前は戦わないのか?」と首を傾げた。
(ごもっともです)
なんとも反論できないが、しかし闇属性を隠したまま攻撃する方法が思い浮かばずまだ悩んでいたのだ。
「……ウルフと戦う前にマナを使いすぎるのはよくないから」
「まあ、それもそうか」
ルイは、ロゼッタの言い訳をすんなり信じてくれた。
いや、魔法使いの戦闘スタイルはなかなか難しいのだ。今ロゼッタが言ったように、マナを管理するため魔法を使いまくる……ということは、ほとんどない。駆け出しの冒険者なんて、特に。
しかしロゼッタの後ろめたい気持ちがあったからか、その瞬間はあっけなくやってきてしまった。
「うわ、はぐれウルフだ!」
「えっ!?」
見ると、前方に二匹のウルフがいた。
はぐれウルフとは、なんらかの理由で群れから出てしまったウルフのことをさす。しかも、その個体はほかのウルフに比べると若干強いのだ。
ロゼッタたちを見つけたウルフは、一目散にこちらへ走ってきた。獲物を狙う目は、どうやらすぐに剣を構えたルイにロックオンされているようだ。
『ガウッ!』
「この……っ!」
噛みつこうとしてきたウルフの攻撃を、ルイが剣で受ける。――が、その後ろからもう一匹のウルフが飛びかかろうとしてきた。
(……っ、このままじゃやばい!!)
――どうしよう、なんて。
そんなことを考えている余裕なんて、一瞬だってなかった。それよりも先に、ロゼッタの体が動く。
「闇の妖精よ、影から闇を作り出せ――【ダークアロー】!」
ロゼッタが力強く唱えると、炎の闇の矢が現れて、後から襲いかかろうとしていたウルフに命中する。一撃でウルフを倒した。
「っ、ロゼリーお前……、こいつっ!」
ルイは何か聞きたそうにしながらも、自分に襲いかかっていたウルフを剣で弾く。そのまま二撃、三撃と続け、ウルフを倒す。
(おおっ、さすが一人で討伐依頼を受けようとしてただけはあるね)
ウルフを簡単に倒したルイに、ロゼッタは拍手を送る。
その様子を見たルイはといえば、呆れ顔だ。
「頑なに魔法を使わなかったのは、そういう理由だったわけか」
「あー……」
闇属性であることがバレてしまった。
けれど、ルイは気にした様子を見せない。もしかしたら、今回のパーティも解散になってしまうかも……と思っていたのに。
「嫌じゃないの? 闇属性」
「別に。そんなの気にするのは、貴族くらいだろ。平民にはちらほらいるし、闇属性の冒険者だってたまにいるぞ?」
「えっ、そうなの!?」
どうやら闇属性うんぬんを気にしているのは、貴族だけだったらしい――。





