↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/34

ピースがハマる



 頭の中に、浮かぶ映像……それはまるで、テレビの映像にノイズが走っているように、途切れ途切れに映像を映す。


 それは、俺が……仮刀 神威として、生まれ変わる前のもの。それも、俺がいじめられる前の……クラスでいじめられていた、海音という少女を映したものだ。


 これは俺の視点……だろうか。彼女がクラスメートにいじめられ、うつむき、涙を流している。……俺の、目の前で。


 これは、おかしい。俺は、傍観者だったはずだ。海音がいじめられるのを、黙って見ていただけの……遠巻きに見ていただけの、一人に過ぎないはず。


 なのに、目の前にいる少女は確かに、海音で、泣いていて……クラスメートがケラケラ笑っている姿が、視界の端に移るだけで。


 同時に、聞き覚えのある言葉が、頭の中で話される。



『彼、死ぬなら絶対自殺だって思ってたのに、まさか他殺だなんて』



 それは……いつだったか、クラスメートの歩乃咲(ほのさき) 結可里(ゆかり)が言っていた言葉。あの女は直後に殺してしまったため、真相は聞けずじまいであったが……


 彼、とはつまり俺……生まれ変わる前の、俺だ。俺の中の記憶では、俺は自殺していたはずだ。なのに、あいつは他殺だと、言っていた。


 二つの、わからない要素が……頭の中を、巡っていて……



「う、うぅ……」



 思わず頭を押さえ、その場に膝をつく。これは、先ほど背中を刺された痛みによるものではない。頭の中を、ぐちゃぐちゃしているものが……



『まさか他殺なんて……』


『ねぇ……人殺しさん』


『他殺』


『人殺し』



「人殺し」


「!」



 顔をあげると、そこには……綾平が立っていた。人殺しと、先ほどと同じ事を言っていて。



「思い出しなよ、あなたがなにをしたのか……あなたを殺したのは、誰なのか」



 まるでなにかの暗示のように、俺の頭の中にその言葉が入ってくる。それは、俺の中の……忘れていた、記憶を呼び覚ましていって……



『おいなに突っ立ってんだよ』


『ほんと暗いよなお前、毎日楽しいわけ?』


『あーあー、荷物ぐちゃぐちゃになってんな、くせー女』


『あはははは!』


『なー、笑えよ、う、み、ね』



 記憶の中で、海音というクラスメートをいじめている人物の声が、聞こえてくる。ゲラゲラと、耐えようもなく下品な声が。


 この声は……いや、そんなわけ……でも、聞き間違えるはずがない。自分の、声なんて。



「……海音をいじめてたのは……俺……?」



 記憶の中で、なにかのピースがハマったような気がした。



「お姉ちゃんの名前を気安く呼ぶなよ、人殺し」


「ぁ……」


「はぁ……もしかして、自分はお姉ちゃんいじめに加担してない、傍観者の一人だとでも思ってた? 違うよ……加担どころか、主犯だよ、お前」



 俺が……海音を、いじめてた……主犯? なんだよそれ、どういうことだよ……


 俺の元々あった記憶と、まるっきり違う。なのに、なぜかすんなりと受け入れられる部分もあって……



「だから、私が殺した……なのに、生まれ変わって、また戻ってくるなんて。意味がわからないよ」


「……は?」



 今、なんて……私が、殺した? まさか、俺が他殺だっていうのは……綾平に、殺されたってことなのか?


 そして今、また……俺の、ことを……



「お姉ちゃんを殺しといて、被害者面をして……逃げ切れると、思うなよ」



 殺意が、向けられる……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。