誰が犯人か
自習、と言われたが、担任がいなくなってからクラスの連中がおとなしくしているはずも、ない。
ある者はただ怖がり、ある者は全員が自殺なんてありえないと話し合ったり。クラスの中は、騒然だ。その中でも、俺もこれが集団自殺だなんて思っていない。それに犯人の目星もある。
緋美也 来音……狂気を見せるあの女は、今は友人と形だけでも怖がっているが……俺は見た。先ほどクラスメートの死が知らされたとき、なんの反応も見せていなかったのを。
ただ、問題は……犯人があの女だとして。いやもしかしてあの女じゃなくてもだ。いったいどうやって、八人もの人間を殺したのか。それも夜中とはいえ、家の中で。そんなの、不可能に近い。
「…………」
そして、その犯人がこの中にいるとしたら……そいつは八人もの人間を殺しておきながら平然と学校に来れるような、危険な人物だということ。この中にいないとしたら、今この教室の様子を想像して、家で笑っているのだろうか。
俺が言うのもなんだが、どちらにしろそいつは、狂っているな……
「八人も……なんか、実感、湧かないな」
そう呟くのは、隣の席に座る転校生の琴引 綾平だ。転校早々こんなことになってしまうとは……実感が湧かないと言いつつ、その表情は固い。顔面蒼白とは、このことを言うのだろう。
本来、クラスメートが一人自殺するだけでも大問題だ。それが、一夜にして八人。尋常な数じゃない。
誰が、俺の邪魔をしているのか……それを炙り出さないとな。クラスメートを殺すだけが目的なら放っといてもいいが、俺の目的は復讐だ。自分の手でやることに、意味がある。
そいつが、いったいなんの目的で、こんなことをしているのか知らないが……そいつもクラスの人間であれば、俺の復讐対象者に入っているんだ。
他の連中は、後回しだ。まずはその、犯人を探しだして……そいつを、殺してやる。




