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死んだわけはいったいなんだ



「はぁ、はぁ……!」



 部屋を出た俺は、急ぎその場を後にする。当然、服は着ている。下着一枚のまま外に出ては、それは捕まってしまう。別件で。


 俺は今、人を、クラスメートを殺した。別にそれ自体がショックなわけではない。首を折るなんて直接的な方法ではないにしろ、すでに一人殺してる。


 ならばこの気持ちは、なんなのか。


 思い当たる正体は、一つだ。胸の奥につっかえている、このもやもやしたもの……あの女を殺す前にあの女が口にした言葉。



『彼、死ぬなら絶対自殺だって思ってたのに、まさか他殺だなんて』



 その言葉が、胸につかえている。あれは、いったいなんだったのか。


 彼というのは、俺……つまり、仮刀 神威として生まれ変わる前の俺だ。それが、死んだのは自殺ではなく、他殺だという。


 どういうことだ。俺の記憶では、確かに自殺を……したはずなんだが。いや、この記憶も、なんだか曖昧なものに思えてきた。実際に自殺だと、断言できない。


 ……どうなってんだ。



「それに……」



 あの時、俺は殺すつもりじゃなかった。いや、殺すつもりはあったのだが……少なくともあの時では、なかった。


 俺が自殺でなく、他殺ということの意味。それに、ノイズがかかって聞き取れなかった言葉……それを、聞き出すつもりだった。


 なのに、だ。



「なん、で……」



 俺の気持ちとは裏腹に、俺の体は、手は、あの女を殺した。まるで、あの女の口からあれ以上が語られるのを拒むように。


 なんだ……なにか、なにかがおかしい。この記憶も、動かなかった体も、なにもかも。


 俺がおかしいのか……それとも、この体がおかしいのか。生まれ変わった先の、この体になにか異変でも起こったというのだろうか。



「……いや、別にいいか」



 なにが起こってようと、関係ない。俺のやるべきことは、ただ一つ……クラスメートへの、復讐。


 俺が死ぬ前、クラスの中で比較的良く接してくれてたあの女でさえ、心の底では俺を殺すつもりだったのだ。確信できたのは、もう誰であろうと、信用はできないってことだ。


 ただ、俺がどうやって死んだのか……それには、興味がある。だから、一人一人殺していく前に、聞き出すことが一つ増えた。それだけのことだ。


 とにかく、これで二人目……急ぐ理由はないが、あんまりのんびりしていても厄介なことになるだけだ。生徒が死んで、クラスが学級閉鎖とかになったら面倒事が増えるだけ。


 できるだけスピーディーに、それでいて目的を果たすために……あいつらを、殺る!

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