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聖剣の勇者  作者: peri.
7/20

学園長


「こんにちは。フェイ・アスタリア」


「どうも」



ようやく学園に到着した俺たち学園で最も偉い人、すなわち学園長と会っていた。



「君たちと会うのは半年ぶりだな」


「そうですね。学園長が俺を特待生にした時ですから、それぐらいになるかと」


「ふむ。では早速本題に入ろう」



そう切り出すと学園長は、俺をじっと見た。

学園長は鑑定眼という特殊な才能を持っているらしい、これは相手の才能を見れるんだそうだ。



「うむ、相変わらず君のクラスは『尤者』(ゆうしゃ)だな」



『尤者』、それは俺のクラス。

尤、とは災いのことである。

つまり俺のクラスは、いるだけでなにか災いが起こるらしい。


本来クラスとは自らの才能から何になるのかを自分で選択することができる。

しかし、稀に選択することが許されない、すでにクラスが決定しているものたちがいる。

それが、神から与えられるエクストラクラスである。勇者や魔王、そして俺のクラスもここに区分される。



「そうですか」


「そう落ち込むな。クラスが変わった例はいくつかある」



確かに稀にではあるが、クラスが変わったという例はいくつかある。

しかしその多くはいまだに謎に包まれている。



「それにここは学園じゃぞ。災いに対してだって備えはある」



ここは、この国でも有数の才能が集まる場所であり、それを育成する場所である。

確かに想定外の事態にも強いのだろう。しかしやはり自分のせいでと考えると、、、。



「落ち込むなんてマスターらしくないですよ」


「なんだよ急に」


「大体災いなんて多かれ少なかれどこかで起こってるものです。たまたまそれがマスターの近くではたくさん起こる。その程度の話です」


「いや、その程度っておい」


「その程度です!大体そんなのマスターが強くなって全部丸く収めちゃえばいいだけですよ!言うじゃないですか、災い転じて福となすって!」



「・・・ありがとな」



「だいたい、・・・今なんて言いました?」


「なんでもないよ」


「隠し事はひどいですよマスター!」


「だからなんでもないって」


「むぅ」


「ほっほっほ。相変わらず君たちは仲がいいのぉ」



しまった。

学園長をほっぽって話してしまっていた。



「とはいえその剣殿のいうことは正しい。災いが起こるというのならそれを収めるだけの力を手に入れればいいのだ」


「簡単に言いますね」


「はっはっは!ここはこの国最高の学習機関であるのだぞ!」



そういえば、この人は俺を学園に誘うときも同じことを言っていたな。



「『学びたまえ、励みたまえ、昨日の己を越えてゆけ!!』それがこの学園の教えだからのぉ」


「そうですね。せっかくここまできたんです。せいぜい『勇者』と呼ばれるようになりたいですね」


「はっはっは!せいぜいが『勇者』か!実に良い!励みたまえよ」


「それでこそマスターです!」



そういうと学園長は紙を渡してきた。



「これは?」


「君のパーティーメンバーだ。うちの教育方針でな、相性をこちらで見て決めさせてもらっている。基本はこのチームで行動してほしい」


「・・・ですが、俺は」


「心配するな。その、彼らは皆、比類なき才能と実力の持ち主でな。君の災い程度で折れる存在ではない。もちろん君も含めて、ね」



なんだ?いまどうにも学園長の言葉が煮え切らないようものに感じたのだが。


・・・まあこの人を信じてここまできたのだ。

その人がそこまでいう奴らだ。信じてみよう。



「君の寮もそこに書いてある。明日は入学式だ。遅刻するでないぞ?」


「分かりました。ありがとうございます」



礼を言い、部屋を出る。



「パーティーメンバーですか!勇者のパーティメンバーですからね!みんな強いんでしょうね」



もらった紙を見てみるとどうやらメンバーは俺の他に三人いるらしい。



「まあ、学園長もすごい褒めてたしな。俺は剣より魔法の方が得意だから前衛2人と後衛1人くらいがいいかな」


「私としては剣士になってほしいのですが」


「おまえ剣士が使っても、魔法師が使ってもたいして変わんないじゃん」


「なんてこというんですかっ!大体マスターだって薬屋で自分のクラスは剣士だって言ってたじゃないですか!」


「だって俺のクラス説明するの面倒なんだもん」


「あの時剣士だって認めてましたね!きちんと薬屋さんが確認してくれましたよ!マスターは剣士です!」


「必死すぎるわ。てか俺は剣より魔法の方が得意なんだって。さっきも言ったろ?」


「マスターそんなに違いないじゃないですか!マスターは器用貧乏じゃないですか!だから剣士でいいじゃないですか!」


「万能といえ」



どれも人並み以上にはできるのだ、万能でいいはず。

あと言葉のナイフは防御できない上に内容によっては結構致命傷を負いかねないので本当にやめてほしい。



「なら、分かりました。仕方がありませんから認めましょう」



おまえは何様だ。



「それにしてもパーティメンバーですか。それなら、剣を華麗に操る剣士とか、あらゆる障害をねじふせる騎士とか、どんな傷でも消しちゃう神官とかって良くないですか!?期待しちゃっていいですか!?いいですよね!」

「なんでおまえそんな興奮してんの」


「だって鑑定眼を持つ学園長が太鼓判を押したメンバーですよ⁉︎きっととっても強い方達です!そんな方達と私とマスターはきっと凄いパーティーになりますよ!」


「確かにそれは俺もそう思うが」


「ええ、それで足りないところは剣も魔法も神術もなんでもできる器用貧乏のマスターが埋めれば完璧じゃないですか!」


「だから万能といえ」


「なんでそこまでこだわるんですか?」


「いやそこはこだわっていい点だと思うけど」



器用貧乏と言われて嬉しいかはともかくとしても万能と比べたら絶対後者の方が嬉しい。



「えー?別に器用貧乏良くないですか?」


「うるさいな。とにかく嫌なんだよ」


「ふーむ?・・・あ!マスターのクラスの『尤者』って『勇者』のパチモン臭いですもんね。これで器用貧乏だとさらに偽物っぽい?」



なんでこいつは目の前で詐欺が行われても気づかないのにこういうことはすぐ気づくのか。


あと別に『尤者』はパチモンじゃない。

性能は『勇者』に災いを呼ぶ力が加わっただけだ。

つまりむしろ上位互換である。



「いや災いを呼ぶのはどう考えてもデメリットですよ?」


「ほんとおまえなんでこういうどうでもいい時には察しがいいの?てかさっき慰めてくれたじゃん」


「当然でしょう!マスターのことですからわかるに決まってます!あと私の教育方針はアメ4ムチ6ですから!」



・・・普通すぎてなんの面白みもない教育方針だな。



「普通すぎてなんの面白みもないな」


「ムチ4ムチ6にしてやりましょうか!?」


「ごめんなさい」



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