無情になりたくて
書いといてなんですが、この詩は別の物語を書いてるときに登場させてしまった小説(架空)の原案みたいなものです。
いつか書く日が来るかもしれません。
静かな昼下がりの病室、貴方は消えゆく命
貴方は最期まで笑う
貴方は幸福を感じ続けて逝ける
それが私の幸せ
でもそれは、私の不幸でもあるのだと、貴方は判ってくれない
無情になりたい
そうすれば私は悲しむことはない
貴方は私の大切な人ではなくなるのだから
ただ、知り合いを亡くしただけになる
貴方はそれを、望むだろうか
全ては私のエゴ
総ては私の勝手
無情になれればいい
私がどんなに好きでも、貴方と私は共には生きられない
残される辛さを感じたくない
きっと私は哀しみに囚われたまま、身動きもできなくなる
だから、そんな気持ちも感じることのないように、無情になりたい
そうすれば、貴方を好きな気持ちも、貴方との思い出も、貴方の存在でさえ、いつの日か忘れられる日が来る
貴方は、笑い続ける
だったらせめて、笑って逝かせてあげよう
無情になりたくて、なれないのならば、貴方との思い出が、少しでも暖かく、優しく、そして深く、鮮やかに残るように
涙で、滲むことがないように、私も笑おう
貴方の命の消える、その瞬間まで
静かな昼下がりの病室、私は今日も貴方にくちづけを落とす
貴方は笑って受け止めて、今日も囁く
――――死んでも忘れたりなんてできないから、もっと笑って。そして死んだら、僕のことは忘れて、次の幸福を探して
と
貴方は気付いているのだろうか
――――貴方といられることほど、幸福なことはないのだと
でも私は悔しいから、
――――じゃあ死なないで
と言ってしまう
貴方は笑って今日も、
無情になって
と言う―――――――――