織田教諭(創造番号第1549天使)の脚注
まったく、神さまも何てことをしてくれたのでしょう。
まさか、本当に“神殺し”の権利をあげてしまうなんて。あの人についていくのは、本当に大変です。自分の存在すらも、ゲームの対象にしてしまうのですから。
おかげで、せっかく打ち上げを楽しんでいた大西教頭(創造番号第11天使)も、神さまの元へ向かうはめになってしまいました。何かを覚悟したような目に若干の不安を感じないではありませんでしたが、あの方ならきっと上手くやってくれるでしょう。
それはともかく、野影さんは大丈夫なのでしょうか。顔面の毛細血管は限界まで拡張し、心臓は破裂しそうな勢いで拍動しています。それにまばたきをしないせいで、眼球の表面も乾いてきています。
「おい純――」
「ひょぉいっ!?」
古機くんが手を伸ばしかけた瞬間、野影さんが奇声とともに飛びのきました。
それも、ただの飛びのきかたではありません。体をそらしながら机に両手を着くと、そのまま一回転して反対側に飛び移ったのです。極限の動揺と身体能力が融合した、実にアクロバティックな照れ隠しでした。
「ぇぇと……」
「来ないで!」
机の陰にしゃがみこんだ野影さんは、叫びました。
そして、両手で顔を覆いながら、古機くんの発言が意味することを、超高速でつぶやきました。
「“お前がそうだから”って、あたしのため? あたしが突っ走っちゃうから。見守ってるってこと? だから安心して。ずっとおまえを見てるから。おまえだけを見てるから。ずっとおまえのそばにいるから。一生、離さないから――――――――っっっっっっっ!!!!????」
……さすがは野影さんです。猪突猛進が過ぎるあまり、解釈は時空を越えて異次元まで突き抜けてしまいました。
とはいえ、とりあえず心配は無いようなので、職員室へ戻ることにしましょう。
今まさに、神さまと天使のあいだで行われているはずの交渉の結果を、我々は待っていなければならないのですから。
ずいぶん間が空いてしまいましたが、拙作『食えないアヒルの神殺し』は、これにて完結でございます。
久々にサイトをのぞくと、必死こいて宣伝していた時よりも、中断していた時の方がアクセス多くて、お気に入り登録なんかも増えているのにびっくりしてしまいました。
もし、まだ待ってくれている方がいらっしゃいましたら、本当に申し訳ありませんと同時に、心より御礼申し上げます。
わずかでもご笑納いただけましたら、幸いです。




