織田教諭(創造番号第1549天使)の実況⑧
いやはや、さすがは『チーム・チャーム』です。
もちろん彼女達とて、優勝を狙っていないわけがありません。
ですが、同時にイベントを盛り上げることも忘れないあたり、経験豊かな三年生の余裕を感じられます。
事態は、イシュタルの望みどおり混沌と化していました。
有力候補が一斉にぶつかり合い、情勢は急速に決しようとしています。ここ体育館でも、その時間は着々と近づいていました。
先ほどから、ロングはシャイニングに対して、絶え間ないラッシュを仕掛けています。たとえ隙ができても、即座にリリスがフォローに入るため、攻撃の手が緩むことはありません。
それは見た目だけなら、一方的な展開でした。
しかし、シャイニングは理解していました。
このまま粘り続ければ、いずれ勝利は自分のものになることをです。
“未来はぼくの手の中”によって半減したシャイニングのレベルは、68となりました。
対するロングとリリスが40と50。
しかもロングは“狂戦士結び(バーサーカー・ノット)”によって攻撃とすばやさをアップさせてますから、単純な足し算ならロング達の方が上のように思えます。
ですが、CBは数値だけの勝負ではありません。
特にシャイニングと戦う時、そのことはさらに強調される必要があるでしょう。
彼女の二つ名と同じ名前を持つ技、“神の瞳”は、くらった相手を行動不能にしてしまう効果を持っています。
そのため、今のロングにように状態異常を無効化する異能を持っていなければ、行動は著しく制限されてしまいます。
第一目的が二人の共倒れとはいえ、リリスが牽制代わりの攻撃しか行っていないのは、そのような事情も含まれているのです。
一方的に見える展開も、その実シャイニングは、ラッシュのほとんどを防御、あるいは受け流していました。
いくらロングがステータスを上げているとはいえ、三十近くもあるレベル差を埋めるほどではなかったのです。さらには間隙を突こうとするリリスにも確実に対処し、決して相手を寄せ付けていませんでした。
あるいは強引に押し切ることもできたのでしょうが、状況を冷静に判断した結果、呪縛が解けるまで耐えることを選んだのです。
爆発の時は、確実に迫っていました。
しかし攻めあぐねているとはいえ、ロングもリリスも攻撃型のキャラです。何かちょっとしたきっかけさえあれば、即座に情勢をひっくり返す爆発力を秘めています。
“未来はぼくの手の中”の解除まで、残り約三分。
息がつまるようなバトルが続く中、その何かは、未だ起こっていませんでした。




