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部屋の中の君へ

作者: I-pur

 今日も彼女は窓際に立って外の風景を眺め続けている。手の届かない、外の世界を自分の方へ手繰り寄せようと……

 僕はもう何年も、彼女をこの部屋の中に監禁している。

 外の世界は危険が沢山だから、もしも彼女の身に何かあったら……、そう考えると、怖くて身が震えるような感覚に襲われる。

「君はこれを僕のエゴだと思うかい?」

 問いかけても彼女をそれに応えることなく、窓の外を眺めて”ないて”いる。

「これはエゴではなく愛なんだ。誰よりも、何よりも君を愛しているから……」

 それは彼女に対して、と云うよりも自分に云い聞かせるように、自分の行いを正当化するように口を出た言葉だった。

 その言葉を聞いてか聞かずか、彼女は外の世界を求めて一層に激しく”なき”続ける。

 この閉じられた部屋の中で彼女の目に映る外の風景は、桃色に染まる桜の木々は、照りつける夏の日差しは、山々を染める紅葉は、降り積もる白い雪は、まるで別世界の物のように思えることだろう。

 僕はいたたまれなくなり、思わず目に涙を浮かべる。

 すると、不意に彼女は悲しそうで、少し恨めしそうな瞳をこちらに向けた。








「にゃあ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「監禁」のワードで、歪んだ愛を描いたホラー作品だと読者に錯覚させる完璧な手法。  「彼女」の描写もリアリティを出しつつ上手く被せ、「なく」を出してさえ気付かせない計算され尽くした構成。  …
2013/04/12 22:45 退会済み
管理
[良い点] 最後の最後で少し柔らかい感じがするオチになっていて面白かったですね
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