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蕾炎~raien~  作者: 朝比奈 黎兎
第1章  沢の精
8/16

7・・・セイ

情景?の描写って結構悩みます。解りやすく書いててもこれって伝わってるのかなと・・・・。足りない分は皆様のご想像で補っていただけると幸いです。

 

その場にある岩に阻まれ、やや小ぶりだが円を書くことができた。さらにそこに漢字の様な不思議な文字を刻んでいく。最後に『蕾炎』を中心に落とした。その傍らに立った凪はじっと陣を見つめた。そして何を思ったか少し離れたところにいた雫を手招きした。


「なにか、手伝いが必要ですか?」

「うん・・・・・水を呼んで。」

「水を・・・?」

「そう、雫の力で、ここらへんの水脈の力をできるだけ収束させてほしい。」

「解りました。」


雫はそういうと静かに目を閉じた。そして血の奥深くに潜みし水脈、そこに備わる大いなる水の気を凪が書いた陣に集めていく。


「来た来た・・・・・我、この地を救おうとせしもの、聖なる水の気の高まりにおいて、汝その姿形作り、うつつの世に現れん・・・・・・。」


すると陣の中心に置かれていた『蕾炎』から淡い水色の炎が出現した。そしてそれは徐々に丸く形を変えていき、おさまったときそこには一体の精霊がいた。


「これって・・・・。」


思わず、沢の守護精が目を丸くして驚いていた。そこに現れた精霊は、自分と同じ沢の守護精だったからだ。


「ここ・・・・どこぉ?」


新たに現れた守護精は、こてんと首をかしげている。どうやらまだ、幼いらしい。不思議そうにあたりを見回し、ふと興味を持ったのか沢の水に足を突っ込んだりあたりを浮遊したりしていた。


「君は、沢に宿るべき精霊だよね。」

「うん、待ってたんだ。どこかの沢を守れる日を・・・・。でもなかなか僕にはそんな機会なくて・・・。やっと出てこれたけど・・・この沢にはもう・・・・。」


そういって新しく出てきた守護精は、ちらっとあの山の精を見た。


「大丈夫。こっちの子は此処の守護精じゃないんだ。ただ、この沢には守護精がいなくてさ、それでこの子は自分の沢を危険にさらすのを覚悟で、此処を守りに来たんだ。」

「そ・・・・なの?」

「うん・・・・。でも・・・君が来てくれたんなら、もう安心。ここ、任せていいかな?」

「うん!!僕ここ大好きだ。一目ぼれしちゃったもん。ずっとずっと、此処は僕が守ってく。だから、安心して、自分の沢を守ってよ。」

「ありがと・・・・。あの、そこの人間さん。あなたもありがとう。名前・・・聞かせて?」


急に名前を聞かれ、驚いた凪だったが、ふっと笑ってすぐに答えた。


「凪。ね、君達も教えてよ。」

露明ろあ。」


あの山の沢の守護精が答えた。


泉弥せんやだよ。」


此処の守護精が答えた。


「じゃ、僕もう帰らないとね。ほんとにありがとう。」


そういって露明は自分の山へと姿を消した。凪たちもまた泉弥に別れを告げて、家路に就いたのだった。



後日、凪のところには二つの小瓶が届いた。中には透明の液体が入っている。守護精が直々に清めた水はよこしまなものをすべて跳ね除ける清水せいすいとなり、希少なものだった。それが二つも凪のところに届いたのだ。


「感謝するのはこっちかもね。こんないいもの、めったに手に入んないし、僕にとってはこれは必要なものかもしれないしね。こんなことやってるんだから。」


二つの小瓶は、凪の部屋のひとつである宝物庫にそっとしまわれたのだった。

沢の守護精編完結ですかね。


そろそろ凪のライバルとか、雫と綺羅以外の妖怪出したいですね。

頑張りますのでよろしくです。

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