2・・・アサ
起き上った凪は、来ていた白い浴衣をずるずると引きずりながら、寝室がある離れから本館に向かっていた。整えられた日本庭園風の庭は、雫によって水撒きをされ日光で葉にたまった水滴が光り輝いている。そんな光景を視界の隅に入れつつ、凪は本館にある凪の部屋のひとつにたどりついた。凪は、離れにある寝室を入れ、7部屋もの部屋を所有している。それぞれ用途が異なり、今来た部屋は衣裳部屋兼、物置のような感じだった。凪は部屋を見渡し、今日着る服を考える。洋服、和服、はたまた中華風の服・・・・彼の着る洋服のジャンルは多岐にわたるのだった。
そのころ、雫はというと・・・先ほどまで凪が寝ていた布団を外に干した後朝食という名の昼食を用意しに台所にいた。凪は朝に弱い。弱いなんてもんじゃない、凪にとって朝は天敵といってもいい。凪のもとに訪れる客は大概夜など日が暮れてから訪れることが多い。だから凪が寝るのは必然的に朝方になってしまう。雫もそれを承知しているため、どうしてもあんな時間まで寝させてしまうのだが・・・・・。
「少々・・・甘やかしすぎでしょうか・・・・・。」
おにぎりの形を整えながら、そうぼやいた。出来上がった三つのおにぎりを皿の上に乗せる。凪はたいてい、起きたばかりのときはあまり食べない。しかもあっさりとした味か淡白な奴が良いそうだ。なので、おにぎりはすべて塩にぎりである。
「雫・・・・・。」
そこに、洋服にしっかりと身を包んだ凪が現れた。雫を呼んだ彼だが、なぜか顔は雫ではなくあらぬ方向を向いている。
「はい?」
「客が来たみたいだから、いつもの客間にお茶・・・ううん・・・ジュースかな・・・あの子は・・・。それもしぼりたてね。確かオレンジあったよね?」
おにぎりを一つつまみながら凪が言った。確かに、昨日送られてきた食材の中に、オレンジがあったが・・・・。
「僕はお茶でいいから・・・あの子にはそれじゃないと・・・命にかかわっちゃうかもしんないしね。」
「わかりました。すぐご用意します。」
「うん。」
そういって、凪は残りの二つのおにぎりを両手に持ち、その場を後にした。
「さて・・・作りますか・・・・。」
雫は冷蔵庫からオレンジを取り出し、新鮮なジュースを作り始めたのだった。
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