14・・・キンキ
語られる凪の出生の秘密
「話は数百年前にさかのぼります・・・・。」
天帝は語りだした。自らの過去の過ちを含んだ、凪の本当の過去を。
天界と魔界。それは決してまじりあってはならぬものとされ、それにつながる全ての行為は禁忌とされていた。両世界は傍らに存在しておりながらも、長きにわたり、干渉し合わないようにして来ていた。未来永劫、それは変わらぬものだろうと、天帝自身も思っていた。
ある時までは。
天帝の前に、ある日一人の男が姿を現す。
天界では珍しい漆黒の髪を持った男だった。
「それが、魔界の権力者、魔帝だとしったのはずっと後でした。彼は魔界のモノとは思えぬ考えを持ち、私が抱いていた魔界の印象を少なからず変えたのです。私は・・・そんな彼に惹かれるようになっていったのです・・・。」
それは魔帝も同じだった。
だがそれはもちろん禁忌。
許されることなどありはしない。
だがそれでも、彼らは惹かれあい―――――――――――――愛し合っていた
「そんなことが続いていた時でした。私にある異変が起こったのです。彼の・・・・彼との子供を授かってしまったのです。神でも子どもは出来ます。それはこの世に生をなすほとんどのモノ共通の事です。ですが、私は困惑しました。この子を産みたい。でも、それは私とあの人の関係が表立ってしまう・・・私は悩みました。ですが、最初から決めてたのかも知れません。」
時が流れ、天帝は一人の赤子を産んだ。
「それが・・・・貴方なのです・・・・・・・ナギ。」
「嘘・・・ですよね・・・・そんな・・・・嘘・・・・だって僕は・・・人間の子で・・・人間の親に捨てられて・・・ずっと・・・ずっと丙に・・・。」
「それは、私がかけた暗示による偽りの記憶。貴方を苦しませるとわかっていながらも、貴方に覚えていてもらっては困るのです。ですから、私は貴方が此処で過ごした全ての記憶をあるものに封じ、貴方に暗示をかけ、そこにいる雫に貴方を託し、人間界へと・・・・。」
「雫に・・・・?」
「私は、貴方が人間界で無事過ごせるよう近くにいる必要がありました。そのために私が人間界で知り合いだった丙に貴方を託し、私は庭に自らを封じていたのです。それを貴方が説いた時は本当に焦りました。天帝の暗示が私と会う事で解けてしまうのではと・・・。」
「それで・・・僕を殺そうとしたの?」
「本気ではありませんよ。ただ、貴方が思い出していないかどうか見極めるためです。もし思い出されていたら、再び天界に戻らねばならなかったかもしれません。」
「え・・・じゃ・・・僕の親って・・・・・。」
「母親は私。そして・・・貴方の父親は魔帝。もうすでに・・・その存在はおりませんが・・・・。」
「え・・・・なんで?」
「貴方を産んで・・・私とあの人の関係がばれてしまったからです。そのせいで、天界と魔界は激しい衝突が起きました。」
「人間界での戦争みたいなものですね。天帝はそれから貴方を守るために人間界に・・・。」
「その戦争で・・・魔帝は・・・・。」
「つかまって・・・処刑されました。本当は私も同じ運命をたどるはずでしたが・・・戦いに勝利した天界の決定はあの人だけ処刑という形でした・・・・。」
「僕は結局・・・なんなんですか・・・・。」
「貴方はなににも属さない存在。天界にも魔界にも、人間界にも貴方と同じ存在は他にはいないでしょう。極の聖と魔を併せ持った存在。それが貴方です。ナギ、貴方は天界と魔界、二つが均等に、対等にあるという象徴・・・その物だと私は思っています。」
「さっき・・・記憶を封じたって・・・・。」
「ええ、貴方が持つ『蕾炎』に。」
「これに・・・・?」
凪は首から下げた『蕾炎』を取り出して見つめた。
「最後にナギ、貴方には決断してもらいます。」
「なにをですか・・・・。」
「ここで・・・私と暮らしませんか?」
「ここでって・・・・天界に・・・?」
「記憶を全て思い出してから決めてくださって構いません。全てを思い出して、それで此処に住んでも良いと思ってくれるのなら・・・私は歓迎します。」
そういって天帝は、凪の記憶を解きはなった。一気に思い起こされる記憶に、凪の意識は飛んだ。
そして彼は思い出す。
自分の親の顔を・・・
自分の生い立ちを
自分がどんなに愛されてたかを・・・
自分の親の苦しみを
自分の生まれ故郷を・・・・・・・
会話ばかりで見にくくてすみません!!
どうも過去の話を書くとこうなってしまうんですよね、書き方が。
そして次回、いきなりの最終回です!




