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蕾炎~raien~  作者: 朝比奈 黎兎
第3章  天からの使者
15/16

14・・・キンキ

語られる凪の出生の秘密




「話は数百年前にさかのぼります・・・・。」


天帝は語りだした。自らの過去の過ちを含んだ、凪の本当の過去を。





天界と魔界。それは決してまじりあってはならぬものとされ、それにつながる全ての行為は禁忌とされていた。両世界は傍らに存在しておりながらも、長きにわたり、干渉し合わないようにして来ていた。未来永劫、それは変わらぬものだろうと、天帝自身も思っていた。


ある時までは。


天帝の前に、ある日一人の男が姿を現す。


天界では珍しい漆黒の髪を持った男だった。


「それが、魔界の権力者、魔帝だとしったのはずっと後でした。彼は魔界のモノとは思えぬ考えを持ち、私が抱いていた魔界の印象を少なからず変えたのです。私は・・・そんな彼に惹かれるようになっていったのです・・・。」


それは魔帝も同じだった。


だがそれはもちろん禁忌。



許されることなどありはしない。


だがそれでも、彼らは惹かれあい―――――――――――――愛し合っていた


「そんなことが続いていた時でした。私にある異変が起こったのです。彼の・・・・彼との子供を授かってしまったのです。神でも子どもは出来ます。それはこの世に生をなすほとんどのモノ共通の事です。ですが、私は困惑しました。この子を産みたい。でも、それは私とあの人の関係が表立ってしまう・・・私は悩みました。ですが、最初から決めてたのかも知れません。」


時が流れ、天帝は一人の赤子を産んだ。


「それが・・・・貴方なのです・・・・・・・ナギ。」

「嘘・・・ですよね・・・・そんな・・・・嘘・・・・だって僕は・・・人間の子で・・・人間の親に捨てられて・・・ずっと・・・ずっと丙に・・・。」

「それは、私がかけた暗示による偽りの記憶。貴方を苦しませるとわかっていながらも、貴方に覚えていてもらっては困るのです。ですから、私は貴方が此処で過ごした全ての記憶をあるものに封じ、貴方に暗示をかけ、そこにいる雫に貴方を託し、人間界へと・・・・。」

「雫に・・・・?」

「私は、貴方が人間界で無事過ごせるよう近くにいる必要がありました。そのために私が人間界で知り合いだった丙に貴方を託し、私は庭に自らを封じていたのです。それを貴方が説いた時は本当に焦りました。天帝の暗示が私と会う事で解けてしまうのではと・・・。」

「それで・・・僕を殺そうとしたの?」

「本気ではありませんよ。ただ、貴方が思い出していないかどうか見極めるためです。もし思い出されていたら、再び天界に戻らねばならなかったかもしれません。」

「え・・・じゃ・・・僕の親って・・・・・。」

「母親は私。そして・・・貴方の父親は魔帝。もうすでに・・・その存在はおりませんが・・・・。」

「え・・・・なんで?」

「貴方を産んで・・・私とあの人の関係がばれてしまったからです。そのせいで、天界と魔界は激しい衝突が起きました。」

「人間界での戦争みたいなものですね。天帝はそれから貴方を守るために人間界に・・・。」

「その戦争で・・・魔帝は・・・・。」

「つかまって・・・処刑されました。本当は私も同じ運命をたどるはずでしたが・・・戦いに勝利した天界の決定はあの人だけ処刑という形でした・・・・。」

「僕は結局・・・なんなんですか・・・・。」

「貴方はなににも属さない存在。天界にも魔界にも、人間界にも貴方と同じ存在は他にはいないでしょう。極の聖と魔を併せ持った存在。それが貴方です。ナギ、貴方は天界と魔界、二つが均等に、対等にあるという象徴・・・その物だと私は思っています。」

「さっき・・・記憶を封じたって・・・・。」

「ええ、貴方が持つ『蕾炎』に。」

「これに・・・・?」


凪は首から下げた『蕾炎』を取り出して見つめた。


「最後にナギ、貴方には決断してもらいます。」

「なにをですか・・・・。」

「ここで・・・私と暮らしませんか?」

「ここでって・・・・天界に・・・?」

「記憶を全て思い出してから決めてくださって構いません。全てを思い出して、それで此処に住んでも良いと思ってくれるのなら・・・私は歓迎します。」


そういって天帝は、凪の記憶を解きはなった。一気に思い起こされる記憶に、凪の意識は飛んだ。


そして彼は思い出す。


自分の親の顔を・・・


自分の生い立ちを


自分がどんなに愛されてたかを・・・


自分の親の苦しみを


自分の生まれ故郷を・・・・・・・


会話ばかりで見にくくてすみません!!


どうも過去の話を書くとこうなってしまうんですよね、書き方が。


そして次回、いきなりの最終回です!

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