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蕾炎~raien~  作者: 朝比奈 黎兎
第2章   陰陽師の死
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12・・・ケイヤク


 そして、とうとう綺羅のお迎えが来てしまう日になった。綺羅は朝から縁側に座っていた。いつもの彼からは想像もできないほど元気がない姿。無理もない。結局あれから凪は一度も気らの前に姿を現さなかったのだ。しっぽを無意識にペタンペタン上下に動かしている。耳は下に垂れさがり、普段の活発さなども早皆無だった。


「綺羅・・・そろそろいらっしゃいますから・・・。」

「雫兄ちゃん・・・・凪兄ちゃん・・・会いたいよ。」

「・・・・・・凪次第です。大丈夫ですよ、凪は必ず出てきますから・・・。」

「もう出てきてるし・・・。」

「「!!?」」


今まで固く閉ざされていた凪の寝室の扉が開き、中から久しぶりに凪が現れた。きちんと着物を着こなし、髪もしっかり整えられているのが凪らしい。



「ごめん綺羅、雫も。なんかさ・・・こんなことしてたって意味ないって急に思ってさ。」

「凪・・・・兄ちゃん~・・・・。」


綺羅はすぐに、凪に飛びついた。凪はその小さな体をしっかりと受け止め抱きしめた。


「ごめん。こんな日になっちゃったな。もっといろんなこと学んでほしかったのにな。でも、雫が代わりにいろいろやってくれたろ?お前は立派になったよ。まだちっこいけど、でももう立派な一人前の妖狐だからな。」

「に・・・ちゃ・・・・うっ・・・うわあああああああああああああん!!」

「なくなって、男のくせに。」

「に・・・兄ちゃん・・・お願い・・・あるんだ・・・・。」

「何?」

「僕と契約・・・・して?」

「え・・・・・。」

「おねがい。・・・・僕・・・・もうこれではなれちゃうのいやだもん・・・・だから・・・雫兄ちゃんみたいに・・・凪兄ちゃん守る・・・からっ・・・・。」

「キツネの長になるの、すっごく大変なんだぞ?」

「それでも・・・いい・・・だめ?」

「・・・・・わかった・・・・。綺羅がいいなら、いいよ。」


すっと凪は立ち上がった。


「はい、契約終わり。」

「え・・・・?もう?」

「契約はね、相互が了承すればいいんだよ。言葉にはそれほど縛りつける力を強く持ってるから。そのかわり、契約違反した場合は、それなりの罰が下るけどね。」

「ん・・・・僕がそんなことするわけないよ。えっへへ・・・・凪兄ちゃん、雫兄ちゃん・・・ありがと。」

「こっちこそ、楽しかった。」

「また来てもいいですからね。」

「うん、今度は仲間と一緒に来る!」

「ドンだけいるんだろうな。」

「にぎやかになりそうですね。」


そして、とうとう彼らの前に、綺羅の迎えが現れた。

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