9・・・テング
一週間ぶりの投稿です。
こんな放置気味の小説をお気に入りしてくださり、どなたか存じませんが感無量のかぎりです!!
「あっつい・・・・・・・・・。」
時期はちょうど夏に差し掛かろうとしているころである。凪は縁側に腰かけている。薄手の浴衣を身につけているのだが、一向に涼しさなど感じられない。それもそのはず・・・。
「凪兄ちゃん、かまってほしーよぉ!!あそぼあそぼー。」
「綺羅・・・暑いからまずはなれて。そっから。」
綺羅に後ろからのしかかられていては余計に暑苦しい。地味に重いのもふかしている。重いんだよね、幼児体型でも。ぴょんぴょんはねるたびに、体重が移動して移動して・・・・とにかく・・・。
「あっつい・・・雫ー・・・水出して水―・・・・。」
「私はスプリンクラーではありませんけど・・・・。」
「そんなこといわないでさー・・・じゃ、これ(綺羅)どかして・・・・・。」
「やだやだー。遊んでくんなきゃ離れないもん!!」
「雫―・・・「よ!ひっさしぶりだな!!」・・・・雲嶺・・・いきなり来るなって言ってるだろ・・・・・ま、結界が揺らいだからわかってたけど・・・。」
突然空からやってきた天狗、雲嶺はにやにやと凪からしたら嫌味極まりない笑みを浮かべながら、縁側のわきに降り立った。
「いいねー。その光景。お似合いだぜ、子守中の兄貴みたいで。」
「雫、つまみだせ。」
「はい。」
「ちょ・・・・!!待ってって。なんで来てそうそう追い出されなきゃいけないんだっつの。」
「じゃ、何しに来たんだよ?お前が来ると余計暑苦しいんだよ。」
「雫、お前凪をどういう風に育ててんだよ。」
「放任主義ですので。」
「で、何しに来たんだ?」
「例の陰陽師について、新しい情報入った。」
「教えろ。」
「ただでか?」
「・・・・・・・わかった。依頼一個ひきうける。これでどうだ?」
「よし。お前に依頼頼むと無償じゃ済まないもんなぁ。」
「うっさい。当然のことだろう?で、どこにいるんだ、あの陰陽師。」
「死んだ。」
その言葉に、凪は言葉を失った。のしかかっていた綺羅のことなど忘れたかのようにいきなり立ち上がった。おかげで綺羅はずり落ちて思いっきり床に尻もちをつく羽目になった。
「ほんとか・・・それ?」
「ああ。間違いない。亡きがらもすでに確認済み。なんならそいつの墓の場所教えようか?」
「また依頼一個追加とか言うなよ。」
「その通り。俺もただじゃ教えねーよ?」
「はぁ・・・・どこにある?」
「〇〇の△△だ。」
「わかった・・・・・・。依頼はまたあとであらためてよこしてくれればいいから。にしても、なぜ死んだ?」
「死んだっていうより、殺されたのほうがあってるか。」
「妖怪にか?」
「いや、人間それも同業の奴っていうのがもっぱらの噂だ。」
「!・・・陰陽師が、陰陽師に?」
「あくまで噂だけどな。じゃ、俺は帰るわ。依頼は使いの天狗に持ってこさせるから、結界ゆるくしとけよ?」
「考えとく。」
「かわいげねーの。」
「結構だ。」
雲嶺が飛び去った後、縁側で凪は考え込んだ。
予想外のことが起きた。
育ての妖怪の仇である陰陽師が、もういなくなってしまったこと。
そしてそいつを殺したのが、同じ陰陽師だということ。
いったい、何が起きているのだろう・・・・・・・・・・。凪はそう思いつつ、首から下げている『蕾炎』を見つめた。
雲嶺みたいなキャラはやはり必要かと・・・。
徐々にですが、物語が進み始めました。(いえ、進ませました。)




