第六話「正体」
ガキィ!!
「ったく、女に守られて男が成るかよ」
全くだ。オレは手に持っている武器──槍にもう一方の手を沿え、力を込めた。
「おらぁ!」
化け物が後ずさる。
「大丈夫か?」
「……え? だ、大丈夫だ!」
オレは氏神を片手で抱き上げ、走り出した。
「や、やめろ!!」
そして近くの岩陰に彼女を下ろす。そして笑いかける。
「ちょっ、秋山……!? どういう──」
「ちょっと待ってろ……。すぐ消してくるから」
そして化け物に向き直る。
「さぁて……久々のV世界だ」
「お前……"VR"だったのか? だったら何で今までっ……」
オレは氏神のそれを背後の聞き、オレは槍を構える。
「"VR"……それはちょっと違うな」
足が動く。走りながら、オレは回想する。
「許してくれ、聡一。でも大丈夫だ」
父がそう言った。その頃のオレは頭に何か複雑な機械をつけていた。体も棺おけのようなベッドに寝かされていた。オレはクエスチョンマークを頭上に表示する。
「危ないと思ったら──お父さんが助けてあげるから、安心しなさい」
「どういうこと?」
「今から一人にするけど、一人でも大丈夫だよな? もう小学三年生だもんな」
「うん。一人は大丈夫」
そうオレが答えると、父は手元のスイッチを押した。そうだ、オレは──
そこで、氏神が叫んだ。
「お前は……お前は何なんだよっ!?」
オレは飛び上がった。
刹那。
「オレは──」
時が止まったかに見えた、次の瞬間。
──あの化け物は消え去っていた。
氏神に向き直る。
「──仮想V世界、"第一実験体"──だ」
「!!!」
次回予告:聡一の正体が明らかに……次回最終回!




