先に
繰り返す憧れの日々の中で、
自分のことだけ考えて生きると決めていた。
たくさんの人も、たくさんの思い出も、
進んだ先で、また会えると思っていた。
その報せは、悪友から届いた。
冷たい雨が三日も続いていた。
立ち止まったキミの頬を伝う雫が、
雨なのか、涙なのか、
確かめる勇気もなく、
焦点の定まらない遠くの景色を眺めていた。
もう戻れない、あの日。
戻ったとしても、たぶん同じだ。
オレの中にある、捨てきれない憧れ。
きっと結果は変わらなかった。
「ここが私の居場所だから……」
最後に残された、キミの強がり。
最後まで貫いた、キミの意地。
そして、もう二度と聞けない声。
あの時、
何か言えていたなら。
抱きしめられていたなら。
今も、キミと一緒にいられただろうか。
今も、笑い合えていただろうか。
初めて締めた黒いネクタイが、
罪の重さのように、首を締めつける。
「本当に、そこがキミの居場所だったのか」
我慢させるなら、オレがさせればよかった。
別の苦しみはあっただろう。
それでも、希望は持てたはずだ。
後悔。
祈ることも、
その場に立つことさえ許されず、
ただ立ち尽くす。
オレを見つけた彼女の友人の罵倒が、
罪として胸に刺さる。
彼女を犠牲にするべきだった。
オレのために、
彼女の一生を犠牲にしてでも、
側にいさせるべきだった。
後悔。
祭壇で微笑む彼女の写真は、
記憶の中の笑顔のままだった。
すっぽりと空いた時間。
そこに、オレの知らない笑顔はなかったのか。
苦しみも知らず、
オレは自分だけを見ていた。
気の抜けた日々。
贖罪の思いと、
ないがしろにしてきた憧れ。
時代遅れな一通の手紙が届く。
遺書にも似た、その最後の言葉。
「私の存在が、
あなたの憧れを止められないことは、わかっていた。
だから、あなたはあなたのままでいて」
また、憧れの日々が動き出す。
今日もオレは、自分のことだけを考えて生きる。
進んだ先で、
彼女の意地の答えに辿り着くために。




