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蒼とゼロ  作者: 霧ぽ
第1章 欠たる器の反逆
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20.柔よく剛を制す

初夏。

 学園の裏手に広がる広大な演習林の入り口に、SクラスとEクラスの全生徒が整列していた。

 恒例行事「合同演習」。

 表向きは交流だが、実態はSクラスによるEクラスの掃討戦(いじめ)だ。

 中央で、Sクラス担任のエルロンドと、Eクラス担任のギルが火花を散らしている。


「ギル。君のクラスの生徒が泣いて帰ってきても知らんぞ。Sクラスの魔法は、手加減が難しいのでね」


 エルロンドがハンカチで口元を覆いながら嘲笑する


「ハッ、ハンカチを用意しとけエルロンド。泣くのはお前の生徒だ」


 ギルは懐からボロボロの財布を取り出した。中には今月の給料袋が入っている。


「賭け金は給料3ヶ月分。……逃げるなよ?」


「フン。君の財布を空にして、新しい実験器具でも買わせてもらおう」 


 ルールはシンプル。

 SクラスはEクラスの殲滅。Eクラスは逃げ切るか、森の奥にあるSクラス陣地の「旗」を奪えば勝利。

 アロイスはEクラス全員を集め、円陣を組んだ。

 彼らの目に怯えはない。あるのは、獲物を待つ狼の光だ。


「いいか、クソガキども。負けたら俺の晩飯が雑草になる。...死ぬかで勝て」


「先生の晩飯はどうでもいいんですけど...」


アロイスは苦笑しながら、口を開く。


「…正面から戦う必要はない。先生の言った通りだ」


 アロイスが黒刀の柄に手をかける。


「『狩り』の時間だ」


 森に入ったSクラスの前衛部隊――通称『七星(セブンスターズ)』は、余裕の表情で進軍していた。


「おい、罠があるぞ」


 先頭を歩く巨漢、ガイウスが鼻を鳴らす。

 頭上から巨大な丸太が降ってくる。Eクラスの初歩的な罠だ。


「くだらん!」


 ガイウスは避けもしない。全身を黒光りする鋼鉄で覆い、丸太を正面から受け止めた。


 バキィッ!


 丸太の方が砕け散る。『土魔法・鋼鉄化(アイアン・スキン)』物理無効の歩く要塞。


「Eクラスの攻撃など、蚊ほども効かんわ!」


 後方では、銀髪のキースが氷の弓を構えていた。

 茂みが揺れた瞬間、正確無比な氷の矢が放たれ、隠れていたダミー人形を貫く。

 影の中には暗殺者ゼンが潜み、空にはフェイの召喚した精霊が舞う。

 彼らは強すぎた。通常の罠など、彼らにとっては障害物にすらならない。


 Sクラスが圧倒的優位に進む中、木の上でアロイスが指を鳴らした。


「……計算通りだ。彼らは『自分の強さ』を過信している。プランB。『個別撃破(ハメ殺し)』を開始せよ!」


 戦況が一変する。

 VS ガイウス


 「ん? なんだこの水たまりは」


 ガイウスが足を踏み入れた瞬間、地面が爆発した。中から飛び散ったのは、火薬ではなく「超強力な粘着液(トリモチ)」。


 バーンの発明品だ。


「ぬっ!? 足が……抜けん!」


 ガイウスがもがくが、鋼鉄化した身体は重すぎる。自重と粘着力の相乗効果で、彼は泥沼に沈む戦車のように動けなくなった。


「くそっ! 誰か手を貸せ!」


 VS キース


 「ガイウスが止まった? 援護する!」


 キースが弓を構える。だが、その視界がいきなり真っ白に染まった。


 カッ!!!!


 至近距離で閃光弾が炸裂。


「ぐあぁぁぁっ! 目がぁぁ!」


 視力を奪われ、キースは無力化した。


 VS ゼン


 「チッ、馬鹿な連中だ。俺が影から始末してやる」


 ゼンが木の影に潜り込もうとした瞬間。森中に設置された「発光装置(ランタン)」が一斉に点灯した。


「なっ!?」


 影が消えた。強制的に実体化させられたゼンを、待ち構えていた生徒たちが網で捕獲する。


 VS フェイ


 「ボクの精霊たち、焼き払って」


 そこへレオンが走り込み、袋の中身をぶちまけた。大量の「特製唐辛子パウダー」


 『ブエックション!!』


 嗅覚の鋭い精霊たちが制御不能になって暴走、自爆して消滅した。

 強すぎるがゆえの慢心。そして、能力ごとの明確な弱点。

 Sクラスの誇る『七星』は、誰一人としてEクラスの姿を捉えられぬまま、自身の能力を封じられて全滅した。


 森の奥。Sクラス本陣。

 通信機から聞こえる悲鳴と敗北報告に、ノアが通信機を握りつぶした。


「……あいつら、全滅しやがった」


「なるほど」


 ユリウスが眼鏡を直す。


「Eクラスは正面突破を捨て、我々の『能力』を分析し、メタを張ってきたようです。……賢い」


「賢いだと? ふざけやがって!」


 エリスが扇子をへし折る。


「Sクラスの顔に泥を塗るなんて許さないわ。……森ごと吹き飛ばしてやる」


 ドオオオォォッ!!


 ノアから紅蓮の炎が、エリスから暴風が、ユリウスから雷光が立ち昇る。

 トップ3の本気。それは小細工をすべて無に帰す、純粋なエネルギーの暴力だった。


「……落ち着きなさい、皆様」


 そこへ、鈴を転がすような声が響いた。

 陣地の旗の前に座っていた少女――第3王女、アリシア・ルクセリアだ。

 彼女は優雅に立ち上がり、慈愛に満ちた瞳で森を見つめた。


「彼らも必死なのです。……ですが、王威を示すのもまた慈悲。参りましょう」


 彼女の周りに、まばゆい光の結界『聖域』が展開される。

特に書くこともないですね。


展開遅いかなあとも思いつつ書いております。

誤字脱字、改善点などあれば教えていただけると嬉しいです。

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