10.小さな応援団長
月日が経ち10歳になった。
古代魔法の研究と鍛錬の日々。
そんな地獄のような日々の、数少ない癒やしが休日だった。
休日の庭。
僕は鉛のインゴットを入れた特製リュックを背負い腕立て伏せをしていた。
回数はすでに2000回を超えている。汗が滝のように流れ、筋肉が悲鳴を上げていた。
「にーに!」
縁側から、6歳になった妹のセナがトテトテと走ってくる。手にはタオルと水筒。
「はい、お水!」
「はぁ……はぁ……ありがとう、セナ」
水を一気に飲み干すと、セナが僕の腕の筋肉をぷにぷにと突っついた。
「にーにの腕、カチカチだね。石みたい」
「そうかな? これくらいないと、セナを守れないからね」
僕が力こぶを作ってみせると腕に引っかかってきた
「わっーーー!!」
それに合わせてくるくる体を回してやった。
その後にセナは不思議そうに首を傾げた。
「でも、セナのお友達が言ってたよ。魔法使い様は、杖を振るだけでいいから筋肉なんていらないって」
子供の言葉は残酷だ。世間の常識はそうだ。
魔法があれば、重い荷物も浮かせられるし、敵も指先一つで倒せる。筋肉なんて、野蛮人の持ち物だと思われている。
でも、僕はセナの頭を撫でて笑った。
「セナ。本当にかっこいい男っていうのはね、魔法がなくても強いんだよ」
「ふーん……? よくわかんないけど、にーにはかっこいいから好き!」
満面の笑み。
この笑顔のためなら、あと5000回だって腕立てができる気がした。
僕にとって、セナの「がんばれ」は、どんな回復魔法よりも効くドーピングだ。
「あ、そうだ。にーに、これ割って!」
セナがポケットから取り出したのは、森で拾った「鉄胡桃」だった。
ハンマーで叩いても割れないほど硬い殻を持つ木の実だ。
「お友達はね、石で叩いても割れなかったんだって。にーにならできる?」
「任せて」
僕は胡桃を指先で摘んだ。
力任せに握り潰すこともできる。
だが、中身まで粉々にしてしまっては意味がない。
(……試してみるか)
僕は深呼吸をして、胡桃の「震え」を感じ取った。
物質にはすべて、固有の振動数がある。
そこに、僕の魔力を逆位相で流し込む。
古代魔法――『共振』。
ヴィィィ……パカッ。
静かな音と共に、硬い殻だけが真っ二つに割れ、綺麗な実が顔を出した。
力技ではない。魔法による、精密な物理干渉だ。
「わあぁっ! すごい! 魔法みたい!」
セナが目を輝かせて拍手する。
僕は微笑んで、実をセナの口に入れてあげた。
話の区切りがわからない、、、、。
短すぎる気もします。
誤字脱字、改善点などあれば教えていただけると嬉しいです。




