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二計画  作者: 喰ったねこ
第六章:神聖国編
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リオのひとりごと⑥

えーっと……。


自分の体の後部座席から、今まさに始まろうとしている地獄のような戦争を眺めている、元・村娘(?)のリオです。


……はい。もう、「元・村娘」と名乗るのも、なんだかおこがましい気がしてきました。 そうですよね。助手席とか後部座席とか、この中世世界の村に自動車なんてものありませんから。こういう例えが出てくること自体、私が「異世界」の記憶を持っている証拠なんでしょうけど。


それに、学園で分かってしまったんです。 あそこは、学び舎なんかじゃなかった。私を「乙女ゲーム」という甘い夢に閉じ込め、思考停止させるための、巨大な実験場だったんです。


エイデン様たちが、突然壊れたレコードみたいに同じ愛の言葉を繰り返したり、セレニティ様がバグって暴走したり……。 あんなの、ホラーですよ! 私が夢見てたキラキラした学園生活は、最初から仕組まれた三文芝居のシナリオだったんです!


そして、「私」(破星さん)と鏡越しにお話ししました。 彼女は言いました。「お前は敵が作った檻の番人だ」って。 私が持っている乙女ゲームの知識や、平和ボケした思考は、彼女の戦意を削ぐための「精神攻撃プログラム」なんだって。


正直、ショックでした。 でも……だからって、「私が偽物だ」なんて、すぐには信じられません。 だって、私の持っている「前世の記憶」――ブラック企業で毎日怒鳴られて、終電で帰って、コンビニのおにぎりを食べていたあの日々の「痛み」や「惨めさ」は、どうしようもなくリアルなんですもの。 あれが全部作り物だなんて、そんなわけありません! もし作り物なら、設定した神様の性格が悪すぎます!


私は転生者です。たぶん。


でも、この世界で私が「ヒロイン」として振る舞うことが、結果的に彼女(破星)を弱らせ、敵を利することになっていたのは、認めざるを得ません。


それでも、あの冷徹な独裁者の彼女は、私を「相棒(共犯者)」って呼んでくれたんです。 「泣かれても迷惑だ」なんて言いながら、私を切り捨てずに、一緒に地獄へ連れて行ってくれるって。 ……ちょっと、嬉しかったりして。


でも! だからと言って! 明日から始まる「戦争」の内容には、断固抗議しますよ!? 毒ガス? ロケット弾? 500羽のハトさんを特攻させる!? 狂ってます! 完全にマッドです! 「効率的でしょ?」じゃないですよ! 絵面が最悪です! 平和の象徴を「ピースメーカー」とか皮肉な名前の誘導ミサイルにしないでください!


あーあ……。 私の夢見た「異世界スローライフ」は、もう跡形もありません。 その代わりに待っているのは、世界を敵に回した「地獄のような大戦争」。


でも、決めました。 私は、彼女の「弱点」として、堂々と居座ってやります。 彼女が平気な顔をして人を殺すなら、私がその分、胃を痛めて、泣き喚いて、罪悪感を感じてやります。 それが、人間性を切り捨てた彼女(破星)が、唯一「人間」でいられるための、私の役割みたいですから。


敵か味方か、プログラムか人間か。 そんなの、今はどうでもいいです。 私は私として、彼女の隣で、この世界の結末を見届けます。


……それにしても、あの、私が住んでいた、取り合えず平和な世界。 科学が発展していて私が殺し合いをしなくていい、あの懐かしい景色。


もし、全てが終わって。 私たちが生き残ることができたら。 いつか彼女と二人で、あの世界で、のんびりお茶でも飲めたらいいなって。 そんな、あり得ない「ハッピーエンド」を、ちょっとだけ夢見ている私です。


とりあえず明日は、胃薬を飲んで、地獄の最前線に行ってきまーす……(号泣)。

読んで頂きありがとうございます。

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