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二計画  作者: 喰ったねこ
第三章:王都編
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リオのひとりごと③

えーっと……。


自分の体の後部座席から、最近の目まぐるしい展開を眺めているだけの、私こと、元・村娘のリオです。

ちょっと、状況の整理が追いつきません!


まず、私の身分ですが、男爵聖女から、一気に「公爵令嬢」にまでランクアップしてしまいました。もう、シンデレラストーリーの域を超えて、何か天変地異の類いです。

王都へ向かう馬車も、公爵家の紋章が入った、それはもう豪華絢爛なものです。私、こんなすごい馬車に乗って、一体どこへ連れていかれてしまうんでしょうか。


そんな大層な身分で向かった先が、よりにもよって、あのホパ村っていうのが、まず一つ目のツッコミどころです。

確かに私の故郷(?)ではありますけど……。豪華な馬車で廃墟に乗り付けるって、貴族の趣味としては、かなり悪趣味じゃありませんか?

もちろん、運転席の「貴女」は、感傷に浸るためじゃなく、例の洞窟でのお宝探しが目的だったわけですけども!


そして、洞窟での行動! あれは、本当にひどかった!

まず、開かない棺桶がある。アノン様が言うには、「護衛対象が危機的状況に陥ると開く」かも、ですって? つまり、私がまた死にかけないと開かないってことですよね!? 私の命を、何かの鍵みたいに扱わないでください!


そして、もう一つの壊れた棺桶!

開かないからって、どうして、いきなり銃で撃つんですか! 普通、もっとこう……頑張ってこじ開けるとか、何か方法を考えるものじゃないですか? 「とりあえず撃ってみるか」って、貴女とアノン様の発想は、あまりにも物騒すぎます! 中に人がいたらどうするんですか!

……まあ、ミイラになってましたけど!


そう、ミイラです!

私たちの故郷の洞窟に、ミイラが眠っていたんですよ!

私の人生、いつからこんなホラーサスペンス風味になったんでしょうか。私が望んでいたのは、王子様と出会う、きらきらした恋愛物語だったはずなのに……。


そして、そのミイラさんが残してくれたお宝が、またすごかった。

金銀財宝でも、伝説の魔法アイテムでもなく、「戦術皮膚ナノスーツ」。

何ですか、戦術皮膚ナノスーツって。アノン様が言うには、「特殊作戦群」とかいう、ものすごいエリート部隊の、超ハイテク防護服だそうですね。

はい、もう分かりました。貴女の前世、ただの軍人とか科学者とかじゃないですよね? 絶対に、何かこう、国家レベルのヤバいことに関わってましたよね!?

だから、あんなに平気で人を殺したり、爆殺したりできたんですね……。納得、しました。したくなかったですけど!


そして、一番の問題は、ここからです。

その、特殊作戦群の、超ハイテク防護服……。

今、私が、着ています。


そう、この、メアリーが毎日一生懸命着付けてくれる、絹とレースでできた、綺麗で、上品で、か弱そうな公爵令嬢のドレスの、その下に!

まるで、羊の皮を被った狼。いえ、ドレスを着た戦術兵器です。

メアリーは、「お嬢様特製の、魔法の護身用肌着」だと信じ込んで、うっとりしています。違うんですメアリー! それは、核兵器や生物兵器が飛び交う戦場でも生き残れる、軍事用品なんです!


ああ、もう、めちゃくちゃです。

私が夢見た、普通の幸せはどこへ行ってしまったんでしょう。

普通の女の子は、ドレスの下に、銃弾を防ぐハイテクスーツなんて着込みません。


それにしても、アノン様。

私の護衛が、国家元首よりも重要だなんて……。前世の私は、一体、何者だったんでしょうか。

そして、そんなすごい人に守られているのに、今の私は、ドレスの着付けも一人じゃできない、ただの女の子。

このギャップが、すごすぎて、頭がくらくらします。


……と。

以上、体を乗っ取られ、自分の正体もよく分からないまま、とんでもない秘密を抱えてしまった、公爵令嬢リオの、とりとめもない妄想でした。

これから向かう王都では、一体どんな、私の常識を超えた出来事が待っているんでしょうか。

もう、何が起きても、驚かないかもしれません。

……たぶん。

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