表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

10(sideアメリア)

不自由はなかった、だけど違和感を感じることは何度もあった。

お母さんはいつも優しくて、私のやりたいと思ったことを尊重してくれて、色んなところに連れて行ってくれた。悪いことや危ないことをすると怒られたけど、それでも最後には大好きよと、そう言ってくれるお母さんが私も大好きだった。

ただ月日が経つにつれて小さい頃からあった違和感は次第に大きくなっていった。

なぜ私とお母さんの髪色はこんなに違うのか、顔だってそんなに似ているようには思えない。他の人にはいる父親やおじいちゃん、おばあちゃんだって見た事どころか話を聞いたこともない。

それにどうして、一人で外に出ては行けないのか。私だけ外に出る時には髪や顔を隠すようなフードの付いたローブを着なければならないのか。窓から外を眺めれば同じくらいの子達が涼しそうな格好で楽しそうに走り回っている。


「お母さん、どうして私だけで外で遊んじゃダメなの?私のお父さんはどこにいるの?」

ついに我慢できなくなった私はそれらの事をお母さんに尋ねたことはあった。

しかし、母から返ってきた返答は深い謝罪と辛い涙だけだった。しきりに「ごめんね、寂しい思いをさせてごめんね」と私を抱きしめながら謝る母の姿に幼いながらも胸が苦しくなった。


「ううん、寂しくないよ。お母さんがいるから」


そう言って小さな手でお母さんを掴みながら二度とこの話はしないと誓った。

ただ聞かない、気にしないと決めたもののやはりふとした時に気になってしまっていた。

だけどそれらの疑問はそう遠くない未来でに全て明らかになった。


ある時お母さんが急に倒れた。


驚いてどうしたらいいか分からなかった私はローブも被らず外に飛び出し道行く人たちに母が倒れたと助けて欲しいと頼み込んだ。


「おか、お母さんが!だれか……だれか、助けて!たすけて!」


しかし何故か話しかけた人たちは皆驚いたような顔をしたりよく分からない表情で私を見て話を聞いてくれなかった。

理解ができなかった、どうしてお母さんが倒れてるのに誰も話を聞いてくれないの?そう考えたが、考えていても仕方がない、とにかく誰かに助けてもらわないとと考え直し、再びたくさんの人に頼み込んだ。どれだけの人に頼み込んだか分からないがとにかくたくさんの人にお願いした。そうしたら、一人のおじいさんが話を聞いてくれて私の家まで来てお母さんを見てくれた。

おじいさんと一緒に一生懸命お母さんの介護をした。

しかし、お母さんが目を覚ますことはなかった。おじいさんいわく重い病気だったらしく、きっとここ最近は無理して動いていたんだろうと。

そこから暫くは毎日泣いていた。お母さんがいなくなってしまったことが悲しくて……そんなお母さんの状態き気づけなかった自分が情けなくて……


その後はおじいさんが役所の人に話してくれたおかげでお母さんを弔うことが出来た。おじいさんには感謝してもしきれない。


「お母さんのこと…ありがとうございました」


「お嬢ちゃん、名前はなんというんだい?これからのあてはあるのかい?」


おじいさんが帰る時最後にお礼を言うとおじいさんからそんな質問をされた。


「アメリア……………」


これからのことなんて聞かれても分からない……

私がそれ以降黙っているとおじいさんは「そうか」と言うとそのまま帰っていった。

そうしてお母さんを弔ってから何日か経って、お母さんと過した家の中で思い出を振り返りながらずっとずっと泣き続けて声も涙も出なくなった頃、人生の転機が訪れた。

ドンッドンッ!と扉を強く叩く音がしたと思ったら次の瞬間たくさんの男の人たちが家に入ってきた。

突然の出来事に私は怖くなりとっさに近くの物置の中に隠れた。だけど私が家の中にいることは知られているのかすぐに見つけられ捕まってしまった。


なんで……怖い……

助けて……


そんな私の思いとは反対に私の連れていかれた場所はキラキラとしたとても広い空間だった。

そこで私は新しい両親と家族を得た。

新しい両親は驚くことに、この国で一番偉い国王様と王妃様だった。そしてその二人から私の生まれた時の話を聞いた、信じられないような話ではあったけど不思議と違和感はなかった。それどころか今まで感じていた疑問が全て晴れたような気さえした。

新しい両親は私に綺麗な服を沢山くれた、食べたことないほど美味しいご飯も山のように出された。

食べきれなくても怒らないし、なんでも好きなようにさせてくれてお姫様になったような気分だった。


あ、立場的にはお姫様になったのよね……?


自分がお姫様になったなんて考えるとなんだかむずがゆい気持ちになるけど、すごく楽しい日々を過ごすことが出来た。

そんな生活をしばらくしていたある日、急に国王様……じゃなくて、お父様に呼ばれた。普段は食事の時間は一緒にご飯を食べるから何か話しがあればその時話すのに…


疑問には思いながらもお父様が昼間働いている執務室にに行くとお父様だけでなくお母様、それからお兄様までいた。

かなりの時間を一緒に過ごしたから、最初の頃のように怖いと感じることは無いけど改めて面と向かわれると少しだけ緊張する。

しかし話の内容は大したものではなく、今まで遅れていた分の学業を取り戻すためにも学院に行かないといけないというものだった。ここ数ヶ月は今の生活に慣れるのに必死で勉強というのはほとんどしてなかったが、いつかはしなきゃいけないというのは知っていたから驚きとかはなかった。

むしろ、今まで同年代の人達と接したことがなかったから正直楽しみだなー、くらいにしか思わなかった。

お母さんと住んでいた家の窓から、たまに同じ位の歳の子達が遊んでいる姿を見かけて羨ましく思ったことは何度もあった、だけど一人で外を歩くことを許されてなかった私には当然そんな機会は訪れなかった。


「学院に行けば私にも……お友達ができるのかな?」


そんな風に聞けば新しいお母様ほ満面の笑みで私を抱きしめる。


「もちろんよ!こんなに可愛いあなたなら学院中の皆がお友達になりたがるわよ!」


新しいお母様は私によそよそしくされるのが嫌みたいで出会った初日に普通に話して欲しいと頼まれ、私もその優しさに甘えている。

新しいお母様は私でもわかるくらい私に甘い……いや、お母様だけじゃなくてお父様もこのお城に住んでる人たちみんな同じようなもの……

ただそんなお母様の様子を見てため息をつく人がいた。


「お母様……あまりそう無責任なことを言ってはなりません」


「なによ、じゃあユリウスはこんなに可愛いアメリアちゃんにお友達ができないと思ってるの?」


私より歳が五つ上のユリウスお兄様の呆れた声にお母様はムッとした表情をしながら私を抱きしめる力が強くなる。

ユリウスお兄様はそんなお母様を見て諦めてるのか、もう一度ため息を着く。お兄様も普段は優しいがお父様やお母様と違って冷静というか……落ち着いてる。


「お兄様も学院に通っていたんですよね?どうでしたか?」


私がお母様に抱きしめられながら、聞くとお兄様は少し考えた素振りを見せたあと私の目をしっかりと見て話し出す。


「学院にはたくさんの人がいるからね、友達だけじゃなくて色んな関係を結ぶことができるよ」


「色んな関係……?」


「あぁ、友達に先輩、後輩、尊敬する人、もしかしたら嫌いな人もできるかもしれない。とにかく色々な関わりを見つけられるし、それはいいことだからたくさんの人と関わってみるといい」


お兄様は諭すように教えてくれる。


「でも、嫌いな人は出来ない方がいいんじゃ……?」


嫌いな人というのはよく分からない、私が関わってきた人達はみんないい人だったからみんな大好きだ。

人を嫌いになるというのはどういう感じか分からないけど、いないにこしたことはない。


「ははは、そうだね。だからもしかしたらの話だよ。君に嫌いな人ができた時、君のことを嫌いな人ができた時、アメリアがあまり傷つかないようそういう関わりもあるとただ知っておいて欲しいんだ」


お兄様はそう言ってお母様に抱きしめられている私の頭を優しく撫でる。

どうやら世の中には私の知らない関係がいっぱいあるということは何となくわかった。だけどそれが自分にと考えると……少し想像ができない。


平民の頃は寒くて嫌いだった時期も貴族として暮らせば何の不便もなく快適に過ごすことが出来た。

そうして季節も巡り心地よい風が吹き出した頃、私は念願の学院に入学した。

学院には同じくらいの歳の子達が沢山いて、わくわくした。

これからあの人たちと仲良くなってお話をしたり、一緒にお菓子を食べたり…………もしかしたら昔家の窓から見たような追いかけっことかもできちゃったりするのかな?

お兄様やお母様から学院にいた時の楽しかったことを沢山聞いたからかこれからの事への夢が広がる。

学院は年齢と家柄で分けられるらしく、私が入るクラスを教えてもらい先生と一緒にその教室に入る。


「私、アメリアと言います!分からないことも多いんですけど皆さんと助け合っていければなと思ってます、よろしくお願いします!」


昨夜考えた自己紹介をした後、ふと教室の端から気になる視線を感じた。

視線の元に目を移すと、そこに居たは息を飲むほどに綺麗な女性だった。確実にその人だけはこの場にいる誰とも比べることが出来ないような、そんなオーラを 感じた。ただそれとは反対に薄い氷のようだとも思った。少しでも触れてしまえば割れ、溶けてしまうような。

でも…………どうしてそんな目で私を見ているの?

その人が私に向けている視線はなんというか………悲しみとか寂しさを感じる。


先生から指定された席に座り、事前に教えて貰っていた教材を準備する。数分前までは勉強頑張らなくちゃ、とか友達が沢山出来るといいなとか色々考えていたはずなのに、斜め後ろにいるであろうあの人のことが頭から離れない。我慢できずチラっとあの人の方を見ると目が合ってしまった。

悪いことをしてる訳では無いのについ急いで前に向き直ってしまう。


目が合っちゃった……

へ、変な子だと思われたかな?


妙に高鳴る鼓動を抑えながら、すぐに始まった授業に集中する。ただ、ある程度自習はしてきたけどそれ以上に授業の内容のレベルが高くてあの人を気にする余裕もなくその後はずっと必死にノートをとっていた。


「授業、大変だよね」


「へ……あ、はい。勉強はしてきたんですけど思ってた以上に難しくて」


大変な授業が終わり一息ついたところで隣に座っていた女の子が話しかけてきた。

えっと、名前は……


「あ、いきなりごめんね。私はミモザよ。アメリアちゃんって呼んでいいかな?」


「は、はい!もちろんです!ミモザさん」


名前がわからないことが顔に出ていたのか名乗ってくれた。しかしミモザさんは苦笑する。


「やだなー、ミモザちゃんでいいよ」


「は、はい……ミモザちゃん」


私がそう呼べば嬉しそうに笑ってくれた。その後ミモザちゃんと話していると遠くに座っていた人たちも私の周りに集まって各々話しかけてくれた。

私から話しかけるのはなんだか恥ずかしさもあったからみんなの方から話しかけられて助かった。しかし私の周りに集まった人達の中に自己紹介した時に見たあの人の姿はなかった。

あの人が座っていた席の方を見ればそこには既に人の姿はなく、きっともう帰ってしまったのだろう。


「アメリアちゃん?どうしたの?」


私が黙ってあの人の座っていた席を見つめているとミモザちゃんに心配された。

せっかくなのであの人のこと聞いてみよう。クラスメイトだしよく知っているだろうと思ってミモザちゃんと周りに集まっていた人たちにあそこに座っていた人の事を聞けば何故か周りの全員の空気が少し悪くなる。


え?私何か変なこと聞いた?


「あの席って、オリヴィア様のこと?アメリアちゃんの為に言うけどあの人とはあんまり関わらない方がいいよ」


ミモザちゃんの口から出た言葉は苦い警告だった。


「え?どうして?」


思ってもみなかった返答についそう返すと周りにいた人たちもあの人のことを話し出す。


「オリヴィア様はすごい頭が良くて貴族のルールにも厳しいからちょっと話しかけただけですごい嫌味とか言われちゃうのよね」


「そうそう、どうせ俺らのこと内心馬鹿にしてんだろうな」


「俺も初めて会った時、挨拶しただけで姿勢がなってないとかなんとか……自分が完璧だからって偉そうにさ」


「あー、私もそれ言われた!」


その後もクラスメイト達のあの人への愚痴は止まらずそれだけ聞いていると関わりたくない人だと思いそうになるが、一目見た時の印象からどうしてもしっくり来なかった。

しばらくの間その話題で盛りあがったあと、学院に通う生徒はほとんどが寮生ということもあり、クラスメイトの女の子達と一緒に寮に帰った。

寮に着くと私のことを聞いていた寮母さんが部屋まで案内してくれた。部屋の中は王宮ほどでは無いけどとても広くて綺麗だった。

本当はお父様やお母様からメイドを連れていくように言われたけど色々気を使っちゃいそうだったから遠慮した。

ご飯は学院では学食に行けば自由に食べられるらしいし、寮では一階の広間で決まった時間内なら好きに食べれるらしい、部屋の片付けなんかは小さい頃からやっていたから得意なのでなんの問題もない。


食事もそこそこにお風呂に入った後、ベットに倒れ込む。身体が寝具に沈んでいく。


「疲れたなぁ……」


授業に置いていかれないよう分からない所があれば急いで調べて、初めての人達と話して、嫌われないよう常にニコニコして仲良くなって……


こんなに疲れたのは初めて王宮に行った日以来かもしれない。

これだけ疲れていれば今日はゆっくり眠れるかも……


アメリアは目を閉じ、そのまま眠りにつく。疲れに身を任せ、深い眠りについた。


「待って!…………はぁ……」


しかし、突如沈んでいた意識が浮上し、アメリアは手を伸ばしながらベットから身を起こす。そして少しすると夢を見ていたことを自覚し頭を抱えうずくまりながらため息を着く。

お母さんが死んでしまったあの日から、アメリアはしっかりと眠ることが出来なくなってしまっていた。

母の死によるショックのせいか、急な環境の変化についていけずストレスによるものか、はたまた……


「ごめんなさい、ごめんなさい……私……明日も学院があるの……休みになったら……きっと……」


月明かりが部屋を照らす中、アメリアは誰もいない部屋のベットの上で彼女は謝り続ける。


「おいてかないで………………今度はちゃんとするから……」


母の状態にも気づけず、倒れた日にも何も出来なかったという負い目からか、アメリアは未だ一度も母の墓に行くことが出来ないでいた。


「一人にしないで………………おかあさん……」







一話で終わらなかっただと…………!?


皆様お久しぶりです。大変お待たせいたして申し訳ないです。本当はもう少し早く投稿するつもりだったのですがいつの間にかこんなに……これからは不定期で投稿していこうと思いますのでよろしくお願いします。m(_ _)m

次回もアメリア視点になるかと思いますが良ければお待ちください!


今回も読んで頂きありがとうございます。

どんな評価、感想でも励みになりますので良ければお願いします。

次回も是非よろしくお願いします( ´ ▽ ` )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ