妖神繚乱~ホウソウシ編vol.3~
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カマイタチとケルベロスは体育館の扉を勢いよく開けた。
すると目に飛び込んできたのは無数の猿。
猿、猿、猿。右を見ても左を見ても、どこを見ても猿だらけ。
数え切れないほどの猿が防具で身を包み、武具を手に持つ。
その猿たちの殺気に満ちた多くの視線はカマイタチとケルベロスへ向けられた。
そんな中でひときわ鋭い殺気、そして悪意に溢れた視線をカマイタチは感じた。
ステージの上。椅子に鎮座する仮面の人物から放たれたもの。
その仮面の人物がステージ上からカマイタチとケルベロスに話しかけてきた。
「歓迎するぞ、ケルベロス。我が古き友よ。もう一人は、風使いか」
その声を聞いたケルベロスはカマイタチの肩にヒョイと飛び乗る。
先程まで視点が低すぎて、猿の群れしか目に入らなかったが、これでステージの奥までよく見える。
「別に歓迎されるようニャ間柄じゃニャいだろ。それにしても、最後に会ってから、かニャりの時間が過ぎ去ったニャー。その間にずいぶんと黒く禍々しい空気を身に纏ったものニャ、ホウソウシ。まさか貴様が悪鬼に堕ちる日がくるとは、当時は想像もしニャかったニャー」
「我が古き友よ、お主こそ見違えたぞ。その魂の形は昔と変わらず、全てを噛み切る牙を持った獰猛な獣じゃが、何とも小さく弱々しい器に収まったものだ。その小ささでは存在に気付かず、うっかり踏みつぶしてしまいそうになるわ」
「見た目の可愛らしい姿そのままを想像してろ。痛い目に合わせてやるニャー」
「我とて同じよ。確かにお主らの言うところの悪鬼へ堕ちはしたが、力は以前より増しておるわ。方相の災厄を払う大儺の神、神獣を従えし獣の神と呼ばれた我の力をとくと見せてやる。ゆけ、猿ども! 生意気な猫と風使いを八つ裂きにせよ!」
「悪鬼即滅! カマイタチよ、仕事の時間だニャー! あとは任せたニャ!」
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カマイタチとケルベロスがホウソウシと対峙する。
そして、戦いの火ぶたを切る事になる時間から遡る事10分前――
カマイタチたちのいる校舎から少し離れた山の中。
十二使徒の一人であるシンノアクゴロウは左右両方の手に刀を持ち、数え切れないほどの野犬や猪、鹿や熊の大群に囲まれていた。
「魔獣の類か。手荒い歓迎じゃな。これもホウソウシ絡みかのう……」
江戸を舞台にした時代劇に出てきそうな浪人の恰好をしたシンノアクゴロウ。
銀髪のワイルドソフトモヒカンの髪型。
鋭い眼つきの三白眼。
逞しい太さに鍛えられた上腕二頭筋は着物で隠しきれず荒々しい存在感を放つ。
「どれ、一匹残らず喰らうてやろう。かかってくるがいい」
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