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完璧なクラスメイトに、腋毛と世界が生えていた  作者: 佐竹大地
第一章 草壁と不毛な世界
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エピローグ


「「あ」」


 声が重なった。俺と草壁のものだ。

 登校してたら、門の前でばったり会ったのだ。


「その……」

 草壁が何か言おうとして、躊躇うような声を出す。

 昨日の今日で微妙な気まずい。が、意識すると恥ずかしい。そういう感情を共有している。そこまでわかる。

 そんな空気に酔いながら、俺は言う。


「昨夜はお楽しみだったな」

「当事者が言うことあるのそれ」

「実際楽しかったからな」


「……私はどうしてあんなことを」

 草壁は顔を赤らめて消え入るような声で言った。

 腋毛契約。冷静になって暴走を認識したのだろう。


「俺は後悔してないぞ」

 堂々と言う。本音だからだ。


「……私も、後悔はしてない」

 草壁はぼそっと言って早足で先に歩いていく。

 慌てた別行動、隠れてない照れ隠しだ。

 ただ違う理由もある。俺たちの関係、みんなには秘密だ。腋毛契約なんてバレたら面倒に決まってる。だから別々に、何食わぬ顔で教室に入る。


「おい! 昨日のはなんだったんだ!!」

 三田が鼻息荒く突進してきた。そういや俺、みんなの前で草壁をカラオケに連れ去ったんだった。色々ありすぎて忘れてた。


「そうだな……」

 俺は悩みつつ、答える。


「草壁が腋毛を抜くのを見つめて、それを一本持ち帰ったんだ!」


「キモい冗談やめろ!」


 誰も信じていない。嘘のような出来事、それが現実にあった。


 俺と草壁の、不毛ではない世界が、始まったのだ。

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