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完璧なクラスメイトに、腋毛と世界が生えていた  作者: 佐竹大地
第四章 俺と不条理な笑い
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第十二話 装備は忘れずに

 俺は自宅に帰る。真っ暗な部屋。ベッドに横になる。

 時は来た。

 というかずっと来ている。草壁を取り戻す。そのための手段、方法、理屈、それをずっと考えている。

 仲間たちの助言を思い返す。伊達先輩、等々力、三田。みんな好き勝手言ってた。深いのか浅いのかもよくわからんような、それでも本気っぽい言葉を聞いた。そしてただ一つ、共通していたこと。


 好き


 それをみんな、言っていた。考えるのも恥ずかしい決定的な単語。使うべきなのか?

 わからん。そもそも助言とか無視して、俺の言葉で話すべきか? 俺が言いたいことはなんだ? それは本当の自分か? あーダメダメ。この方向は無限ループに行く。言葉ってぐちゃぐちゃするから嫌だ。使えるもんは全部使おう。言葉も、物も。

 俺には武器がある。俺と草壁を繋ぐ物。机の上に散らばっているそれを拾い集める。もうやるしかない。勢いだ。席を立ってスマホを手に取る。


「よーしやるぞ」

 声に出して決意。追い込む。その勢いで番号を打ち込む。電話をかける。

 相手はもちろん、草壁だ。

 この電話番号、等々力を盗聴した時に登録したものだ。そこに初めて、ちゃんとかける。

 電話、そもそもそんなに使ったことない機能。スナイパーに狙われてるみたいで嫌だった。だが今は、俺が狙う。かける方も緊張する。無機質なコール音でそれが増す。その気持ちがわかる。

 人と向き合うってこういうことか?。


『……もしもし?』

 繋がった。草壁の声。久々に聞く。色々浮かんでくる感情を飲み込んで、俺は言う。


「俺だ。今から会おう」

 単刀直入。それが良い。

 

 返事はない。それでも有無を言わさず伝える。


「例の場所で待ってる」

 それだけ言った。少しの沈黙の後、草壁の声が返ってくる。


『……例の場所ってどこ?』

 気になってるようだ。間髪入れず言う。


「俺たちにとって思い出の場所だ」

 再び沈黙が返ってくる。考えてるな。


『……だからどこ?』

「来るってことだな?」

『そうじゃなくて、あなたと私が経てきた関係の中に例の場所という言葉で伝わる様な代表的な空間があるのなら、それを知りたいと思っただけ』

 早口で言っている。すごく知りたそうだ。


「来るなら教えてやろう」

『…………』

 この無言は肯定。そう解釈する。


「それはな……」


 俺は場所を告げた。

 電話を切る。会う約束を取り付けることには成功した。

 立ち上がってテキトーな服に着替える。

 テキトーな服ってなんだ?

 ファッション、逃げられないのはわかってる。テキトーという意志だ。重要なのは、中身。本当の自分。そんなん本当に、あんのか? 

 どうだろうな。

 何百回も反芻したその自問自答も、持っていく。

 持ち物を確認。勝負の武器は、装備を忘れずに。

 家を出る。夜に街へ繰り出す。

 

 最後の戦いだ。

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