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世界が滅んでしまった理由

作者: 刹那

とある小説コンテスト用に書いた、超短編小説です。

くだらない内容ですが、誰かの暇潰しにでもなれば幸いです。

ある暑い夏の日のこと。


釣りに来ていた俺は、砂浜に落ちていた一本の透明な瓶の存在に気がついた。


この綺麗な海岸にポイ捨てするマナーの悪い輩もいるもんだなと呆れつつ、それを拾い上げてまじまじ見てみると、中には文字の書かれた紙が不自然に詰め込まれていたため、これはいわゆるボトルメールというやつだなとすぐに理解した。


俺は早速蓋を開けて瓶を傾けてみる。

すると中から英語で書かれた資料のような紙の束と、一通の手紙、そして小さなカプセルが出てきたではないか。


カプセルの中身が気になってすぐに開けてみたものの、ベタついた汁が一滴出てきただけで何も入ってはいない。

汁が付着して汚れた手をとっさにズボンで拭いて匂いを嗅ぐと腐った卵のような異臭を感じて思わず顔を歪ませる。


海水で念入りに洗い流した後、俺は早速家に帰ってパソコンを開き、手紙に書かれた英語を全て翻訳アプリに打ち込んで解読してみることにした。


一体どこの誰が送ってきたボトルメールなのだろうか。

英語ということはアメリカか?


正直、未知なる手紙を解読するのはミステリーを解き明かすようなワクワク感があり楽しみだ。


俺はパソコン上に翻訳された手紙の内容を食い入るように見つめる。




"先日、我が国は恐るべきウイルス兵器を開発した。

もしもこれが悪用されてしまえばその被害は想像を絶する速度で世界中へと広がり、人類を死に追いやるだろう。


政府の連中は私の家族を人質に取り、開発責任者である私に無理矢理これを作らせた。

だが奴らの思い通りになどさせない。


データや通話は全て監視されていて情報を漏らすことは不可能だったため、私は重要な研究データをこの瓶に詰め込んで海に投げることにした。


これは賭けだ。


もしかすると途中で海の底に沈むかもしれないし、砂に埋もれてしまうかもしれない。


だがもしもこれを拾ってくれた者がいたなら、この中身を全てアメリカの政府機関に渡して欲しい。

そうすればきっとウイルスを無効化するワクチンが開発され、人類を救うことができると信じている。


この瓶の中には極秘データの資料と共に、例のウイルス兵器のサンプルの入ったカプセルを同封している。

もしも不用意に開ければ空気中にウイルスが飛散する恐れがあるため、くれぐれも慎重に運んで欲しい。


世界の運命はあなたにかかっている"





「…は?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] わりと序盤で手遅れになっていた、というのが恐ろしいですね。 主人公も「…は?」としか言いようがないでしょうね。 面白かったです。
[一言] 最後まで読んでぞっとしました。 私も説明書を読まずに取り敢えず……とやってしまいがちなんですが、こういうパターンを避けるためにもちゃんと説明書を読もうと思いました。 この後どうなってしまうの…
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