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5-3.戦士として(1)

少しでもお楽しみいただければ幸いです。

 冒険者ギルドで、現在のダンジョンの様子を聞くと、安定はしているけど、調査が終わっていないから、あまり深層には潜らないようにと注意された。今回は、第12階層ぐらいで、止めておくことにした。それ以上は、調査隊ですらまだ潜っていないようだ。


 私達は、いつものように、ダンジョンの入り口で、係員にIDを見せ、通行料を渡した。


 「さあ、いくわよ。今日は、あなたは戦士に専念してね。」


 「はい、お姉さん、私、頑張ります。」


 私達は、一気に第5層まで到達した。ここでは、姉の範囲攻撃で、ワーウルフを殲滅しながら進んで行った。第6層では、オークが複数いたが、特に問題なし。


 2人で、どんどん倒しながら、いよいよ第9層まで、やってきた。


 ここからは、少し強い魔物が出るようなので、用心しながら進んで行くことにした。


 1日で、ここまで、これたので、予想以上のハイスピードだ。


 冒険者ギルドで聞いた所によると、オーガやトロールなどの巨大魔物だけでなく、ナーガや武装したスケルトンも出没するようだ。また、以前苦戦したサーペイントも出没している。

 

 「ここからが、本番よ。いい。」


 「はい。準備します。」


と言いながら、スキル探索を発動した。ここからは、少し面倒だけど、常に探索を発動しておくことにした。まずは、第9層全体を絶対座用として頭の中にイメージした。点在している赤色の明かりが魔物だ。円形の大きさで魔物のレベルがわかる。第9層では、右上隅の(500,800)の位置にいる魔物が一番大きい。これは、ナーガのようだ。レベルは40までだ。これ以外は、レベル25までのオーガや、レベル30のトロールが居るだけだ。サーペイントや武装したスケルトンは見当たらない。


 私は、姉のキリに探索結果を報告した。


 「わかったわ。ナーガまで、直線的に移動しましょう。」


 「はい。行きますね。」


 私は、歩く速度を上げて、小走りで、目標座標の位置へ向かって進んで行った。


 途中で、オーガに出くわしたが、剣で両断できたので、そのままの速度で進むことが出来た。


 「トロールが3匹います。」


 「わかったわ。あなたは、盾で、敵の攻撃を受け止めて。その間に、火柱で、焼き尽くすわ。」


 「はい。行きます。」


 私は、姉の指示に従って、先頭のトロールに向かっていった。3匹のトロールは、私に同時に攻撃してきた。まるで、姉のキリが居ないかのような反応だ。私は、気にせずに盾で防御しながら、剣で攻撃した。剣で切ることは出来るが、瞬時に回復していく。トロールは回復が早いので厄介だ。


 暫くすると、姉のキリが火柱を連続で放った。3匹のトロールは、大きな炎に包まれ、呻きながら焼かれていく。トロールは、火に弱く、焼かれると再生しない。辺り一面に厭な匂いが立ち込めたが、3匹のトロールを倒すことが出来た。


 「いい感じね。本当のタンクみたいよ。」


 「はい。頑張ってます。」


 「次、行くわよ。」


 途中の魔物を倒しながら、いよいよナーガの前までやってきた。ナーガは、半透明になって、見ずらいが、私の探知で、位置は明確だ。姉に、以前作った酸と毒の瓶を用意してもらった。ちょっと、試しに使ってみようと思った。


 「どちらがいい?先に酸をぶつけて。」


 「いいよ。いつでも開始して。」


 「はい。行きます。」


と、姉に声を掛けて、私は、ナーガに飛び掛かった。ナーガは、私に火球(ファイボール)で攻撃してきたが、盾でうまく防いだ。ナーガも剣を持っている。お互いの剣がぶつかり合い、火花が飛んだ。


 「カン、カン」


 「ガン、ガン」


 剣をぶつけ合いをしている合間に、姉のキリがナーガの頭上に酸の入った瓶を投げた。


 ナーガが剣で、その瓶を割ると、中の酸がナーガの頭上から降りかかった。


 「ギャー」


と、ナーガが呻いた。一瞬ナーガの両手が頭上に上がった。その隙をついて、ナーガの胴体を剣で両断した。ナーガを倒した。


 私達は、戦利品を回収してから、一つ上の階層に戻り、休憩所の小屋で泊ることにした。


 小屋には、私達は以外に2つのパーティーがいた。私は、戦士の装備から、黒魔導士の装備に変更していたので、ちょっと変な目を向けられた。 


 「お前たちは、黒魔導士だけのパーティーか?」


 「しかも、女の子だけで、大丈夫か?」


 「よく、ここまで潜って来たな。」


 2つのパーティーから、矢継ぎ早に声を掛けられたが、私達は、気にせず小屋の係に今日1日泊ることを伝え、2人分の料金を支払った。小屋は、複数の部屋に分かれており、5つぐらいのパーティーなら、同時に泊まっても十分だった。


 「201号室、2人一部屋だ。」


と係員がカギを姉に渡した。


 私達は、振り向きもせず2階の部屋の中に入った。


 「やれやれ。やっぱり、目立ってしまうね。」


 「はい。でも、仕方ないね。戦士と思われると、後々不味くなりそうだから。」


 「そうね。あなたの能力は隠した方がいいわね。」


 少し早い夕食を取りながら、明日のことを話し合った。今回は、第12階層の休憩所の小屋を確認したら、戻る予定だ。


 第9階層は、ナーガ以外に、強い魔物はいないので、明日は第10階層から討伐を始める。


 第10階層、第11階層は、これまで現れなかった武装したスケルトンとサーペイントを討伐する。


 武装したスケルトンは、どんな装備をしているかによって、レベルが決まる。つまり、装備のレベルがそのまま、スケルトンのレベルになる。装備がなければ、角ウサギレベルだ。


 サーペイントは、毒を避けながら、あの鱗に覆われた胴体をうまく切れるかどうかにかかっている。


 リチャードの両手斧ですら、一回では切り落とすことが出来なかったので、私の片手剣で、どの程度の傷を与えられるかが問題だ。こればかりは、やってみないと分からない。過剰な心配は無駄だ。


 簡単な打ち合わせの後、2人は、明日に備えて、寝ることにした。


 「疲れはない?」


と、姉が聞いてきた。今日は、気持ちよく寝ざめることが出来た。


 「はい。元気です。いつでもいけるよ。」


 「じゃぁ、早速、行きますか。」


 2人は、元気よく小屋を飛び出し、途中で出くわしたオーガを倒しながら、第10階層に到達した。


 第10階層をまた、絶対座標で探索した。すると、ここでは、普通のスケルトンがうろうろしているだけだった。予想していた武装したスケルトンは、見当たらない。


 「変だな。普通のスケルトンしかいないよ。」


 「本当?もう一度、探索してみて。」


 「はい、やってみます。」


 私は、もう一度、スキル探索を発動した。でも、先ほどと同じで普通のスケルトンしか、感知することが出来なかった。


 「やっぱり、いっしょだよ。」


 「そう、仕方がないね。そのまま、第11階層に潜りましょう。」


 「はい。」


 私達は、変だなと思いながらも、予定通り、第11階層に潜ることにした。


 第11階層でも絶対座標で探索した。すると、ここでは、複数のサーペイントが反応した。それだけではなく、レベル40のスケルトンの大群が座標の中に現れた。数えてみると、80匹を超えていた。


しかも、それらすべてが、最低でもレベル35で、何匹かはレベル40にまで達していた。


 サーペイントは、3匹で、それぞれ、レベル40が2匹、レベル50が1匹だった。


 レベル50のサーペイントは、第12階層への階段の前に陣取っていた。しかも、その前には、武装したスケルトンが23匹群れていた。


 姉に探索結果を報告し、指示を待った。


 「わかったわ。厄介ね。サーペイントは、後回しで、最小の群れの武装したスケルトンを討伐するよ。いい。」


 「はい。逸れている武装したスケルトンをすべて討伐する?」


 「それぞれの位置を教えてくれる?それから、考えるわ。」

 

【探索結果】座標は、およその位置にした


 ( 50,800)サーペイント LV50 1匹


 (400,600)サーペイント LV40 1匹


 (150,480)サーペイント LV40 1匹


 ( 50,770)武装したスケルトン LV35 5匹


・・・


 (100,210)武装したスケルトン LV35 5匹


 (300,150)武装したスケルトン LV35 5匹


 (250,330)武装したスケルトン LV35 5匹


 (300,150)武装したスケルトン LV35 5匹


 (500,240)武装したスケルトン LV35 5匹


 「わかった。武装したスケルトンをすべて倒すのは面倒だから、必要最低限で討伐していくね。」


 「はい。」


 「取り敢えず、(100,190)へ進み、(100,440)まで行くね。」


 座標(100,190)に到達した私達は、(100,190)武装したスケルトン(LV35、5匹)の様子を窺った。こちらに気が付いていないようなので、姉のキリと一緒に、火壁をスケルトンの群れの中心に放った。大きな爆発音と共に、5匹のスケルトンは粉々に吹き飛んだ。


 今度は座標(100,440)へ移動した。ここは、合計15匹の武装したスケルトンと1匹のサーペイントがいる。まず、左端の5匹の武装したスケルトンに、火壁の攻撃を加えた。続いて、前進しながら、火壁の攻撃を加えた。これで、後は5匹の武装したスケルトンと1匹のサーペイントのはずだ。


 前方の残りの5匹の武装したスケルトンに火壁の攻撃を加えようとしたとき、後ろから、5匹の武装したスケルトンが近づいてきた。どうも、火壁の轟音に気が付いたスケルトンがやってきたようだ。


 仕方がないので、まずは、後方のスケルトン達に対して火壁の攻撃を加え、倒しきった。

 姉のキリは、安全のため、ここで青のポーションを一本飲んでおいた。これで、魔力切れは防げる。


 魔力が回復したことを確認してから、前方のスケルトン達に火壁の攻撃を加えた。


 これで、前方の敵は、サーペイント1匹になった。


 念のため、第11階層全体をスキル探索で魔物の存在を確認した。すると、一番強いLV50のサーペイントとその取り巻きは、動きがないが、もう1匹のLV40のサーペイントとその取り巻きは、私達に向かって移動していた。


 まだ、合流するまでには時間があるが、ゆっくりと倒すことはできない。一気に決着をつけないと私達が危険になる。


 そこで、私は、前方のサーペイントに対してダッシュで攻撃を開始した。相手の毒攻撃を避けながら、胴体に切りつけた。私の剣は、硬い鱗に跳ね返されたが、2~3枚の鱗は剥がすことが出来た。


 鱗の剥がれた場所を間髪入れずに剣を切りつけた。鱗のない胴体は、柔らかく、一気に両断することが出来た。飛び出した魔石を回収して、姉の所まで戻った。


 「囲まれると危ないわ。ここは、一旦戻りましょう。」


 「はい。私が先頭に立つね。」


と言って、座標(0,0)へ向けて移動を開始した。残りのサーペイント2匹と、その取り巻きは、私達を追いかけてくる様子はなかった。


 座標(0,0)に到達するまでに、遭遇したスケルトン達に火壁の攻撃を加え討伐していった。


 座標(0,0)に到達した私達は、一旦、第8階層の小屋まで戻り、疲れを癒すことにした。


 「やれやれ。結構大変だったね。」


 「はい。1匹1匹は強くはないですが、数が多すぎですね。」


 「明日はどうする?目標のサーペイントは、1匹倒したし、大体の目標は達成だね。」


 「はい。一応満足です。」


 「そう。それじゃ、明日は冒険者ギルドで、報酬を貰うことにしようね。」


 「はい。」


 夕食をゆっくりと取り、気分良く眠ることが出来た。

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