表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/123

63.魔人タウ(2)

 魔人タウは、勝てないと思い、転移魔法で、遺跡に逃げ込んだ。そこは、魔王ズハアによって、復活した石板が置かれた場所だった。


 魔人の能力は、復活させた魔王の魔力に比例する。従って、魔力が完全に回復していない魔王ズハアによって、復活させられた魔人タウの力は、以前のものとは、比べ物にならないほど、弱かった。


 「こんな状態で、俺は、死ぬのか?あんな、弱い魔王のせいで。」


 魔人タウは、己の力の無さを呪った。


 「待てよ、あの勇者、聖剣を持っていなかったな。ひょとして、聖剣の秘密を知らないのか?」


 魔人タウは、勇者パーティとまだ、交渉の余地があると思い始めた。


 「俺だって、もって、魔力を吸収したら、以前のように無敵だ。ただ、時間がないだけだ。その時間を稼ごう。」


 魔人タウは、戦いを好む、戦いが生きがいのような魔人だった。そして、手段を選ばないという意味では、あの魔人ブラックと同様だった。


 今の魔人タウには、魔石に魔力を注ぎ込んで、他の島に逃げるだけの魔力はない。従って、この遺跡で待つより、他に取れる手段はなかった。


 一方、ダンジョンにいるキリ姉の勇者パーティは、今後について、相談をしていた。


 「キリ姉、一旦、元の世界に戻って、しっかり準備してから、ここに来ない?」


 私は、キリ姉に元の世界に一度、戻る事を提案した。


 「そうね。それも一つの方法だけど、あの、魔人タウを見た?私達の敵ではないわ。」


 「そうですね。簡単に倒せましたね。」


 ハルトも、キリ姉に同調している。まあ、ハルトは、キリ姉の言うがままだから、仕方がないけど。


 「でも、あれは、たまたま、雷が弱点だったからで、それまでは、攻撃し辛らかったのではないですか?」


 「うん。ミユの言うとおり、あの変な機械に邪魔をされて、有効な攻撃が出来なかった。」


 「でも、元の世界に戻って、どんな準備ができるの?分からないわ。」


 キリ姉は、このまま、攻撃を続けるつもりだ。


 「それじゃ、取り敢えず、あの魔人タウを捕らえて、それから、考えない?」


 私は、妥協案を出した。少しでも、情報を得てから、元の世界に戻る事も大切だから。


 「いいわ。そうしましょう。」


 キリ姉の一声で、行動が決まった。私は、転移魔法で、遺跡に移動する準備を始めた。


 「皆、私の周りに集まってくれる。」

 

 皆が、私と手を繋いだ。


 「それじゃ、行くよ。」


 私達は、転移魔法で、遺跡の所に移動した。


 私は、素早く、スキル探索で、魔人タウの居場所を探った。魔人タウは、石板の前で、座って居た。


 「遅かったな。」


 「まあ、慌てることもないからね。」


 キリ姉が、魔人タウの声掛けに答えた。


 「そうだな。今の俺では、歯が立たない。」


 「降参する?命だけは、助けてあげるよ。」


 「何が、条件だ。」


 「貴方が知っていることよ。それが、条件よ。」


 「そうか。でも、俺を本当に殺せるのか?」


 魔人タウは、聖剣を持っていないと思い込んでいるようだ。


 私は、アイテムボックスから、聖剣を取り出して、光魔法を注ぎ込んだ。すると、聖剣は、光り輝き、当たり一面を照らし出した。


 「おぉ、聖剣を持っていたのか。何故、それを使わなかったんだ。」


 「お前達を、殺すつもりがなかったからよ。」


 私が、キリ姉を差し置いて、話した。


 「そうか。聖剣を持っていたのか。聖剣を。」


 魔人タウは、同じことを繰り返し、呟いていた。本当の死を覚悟したのだろう。今までの、挑戦的な様子が消えた。


 「何が知りたい。俺も、このまま死ぬのは嫌だ。せめて、以前の力を取り戻して、戦って死にたい。」


 「ほぉ、まだ、十分に復活していないというの?」


 「そうだ、以前の3分の1程度の力だ。」


 「それなら、尚の事、今直ぐ殺す方がいいのでは?」


 「そんなことを言うなよ。以前の力を取り戻しても、お前達以外を殺したりしない。俺は、此処から動かない。」


 「それで、さっきの条件は、どうなの?」


 「あぁ、いいとも、俺が、力を取り戻すまで、待ってくれるなら、何でも教えてあげるよ。」


 魔人タウとの交渉は、成立した。だが、魔人の言うことは信じられるのだろうか?以前、誓いを破るのは、人間で、魔人は、約束を必ず守るって、誰かが言っていたっけ。


 私のうろ覚えだけど、聞いたことがある気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ