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60.遺跡

 私は、転移先の遺跡に会ったルーン文字が書かれた石板を思い出していた。


 『Tau(タウ)島で、別名がトルク』


 ひょっとしたら、あの石板に書かれていた文字は、このTau(タウ)を表していたのかも。そして、このTau(タウ)島には、魔人Tau(タウ)が存在する。あるいは、魔王ズハアによって、復活させられた。


 これまでの魔人は、すべて、ニックネームのような名前で、本名は隠蔽されていた。このタウも、おそらく、本名は名乗らないだろう。


 キリ姉が、皆に声を掛けた。


 「さて、これから、どうする?」


 「この島をまだ、すべて、確認していないよ。」


 「キリ、そうだね。一度、調べようか。」


 「それが良いと思います。」


 ミユも、調査に賛成している。


 「ハルト、何も言わないけど、どうしたの?」


 「僕は、キリ姉が、決めたことで、いいよ。付いて行くよ。」


 「あら、うれしい。私と、ハルトは、一心同体ね。」


 キリ姉が、ハルトに抱き付いた。ハルトもそれを受け止めて、抱き返している。


 もう、皆の目を気にしなくなってしまったよう。参ったね。でも、私には、パープルがいるから、いいよ。


 私は、隣にいるパープルを抱きしめて、頭をナデナデしてあげた。


 私達は、まず、島全体の様子を調べることにした。ダンジョンへ潜るのは、後回しにした。


 Tau(タウ)島は、小さな島なので、すぐに、島全体を見て回ることが出来た。だが、ダンジョン以外で、魔物に遭遇することはなかった。


 「特に、変な物はないようね。」


 キリ姉が、ハルトに声を掛けた。


 「そうですね。あの遺跡とダンジョンだけのようです。キリによると、5つの小島があるということですが、海には、靄が掛かっていて、他の島は見ることができませんね。」


 「そのようね。それに、この靄は、何か、嫌な感じがするわ。ひょっとしたら、闇魔法に関係しているのかも知れないね。」


 「キリやミユなら、何か、気が付くかもしれません。聞いて見ましょうか。」


 「まあ、今はいいわ。何も言わずに、感じることもあると思うから。」


 「わかりました。暫くは、黙っております。」


 キリ姉が、ハルトの手を引いて、私の方にやって来た。


 「もう、昼よ。何か、食べてから、ダンジョンに潜らない?」


 「はい。今、用意します。」


 ミユが、アイテムボックスから、食事の取り出した。私は、土魔法で、テーブルを作って、ミユのお手伝いをした。


 「皆さん。用意ができましたよ。冷めないうちに、食べてください。」


 ミユが、皆を呼び寄せた。


 「凄いね。よく、これだけ、用意出来たわね。」


 キリ姉が、びっくりして、ミユを褒めている。本当に、ミユの食事はいつも、美味しい。私には、こんな能力はないわ。ミユと結婚したいぐらいね。


 「本当。いつも、美味しい料理をありがとう。」


 ハルトとパープルは、黙々と食べている。すごい、勢いだ。特に、肉には、目がない様だわ。


 「何か、気が付いたことはあった?」


 キリ姉が、食事を取りながら、皆に確認した。


 「よくわからないけど、あの石板は、魔人が封印されていた後じゃないかなぁ。そして、あのルーン文字は、その魔人の情報が書かれていたのかもしれないね。」


 「なるほどね。これまでも、魔王が魔人を復活させたことは、聞いたことがあるわ。そして、魔人を復活できるのは、魔王だけと聞いているわ。」


 キリ姉が、私の情報を補足していった。


 「確かに、あの石板からは、魔人の匂いがしていたよ。」


 パープルが、自分の感じたことを私達に伝えた。


 「それじゃ、あの文字の意味を知りたいね。そうすれば、魔人の弱点も分かるかも知れないわ。」


 「ここでは、あのルーン文字を解読することは、できないわ。」


 私は、データベースにアクセスできないことを残念に思った。


 「キリ、ここから、元の世界の誰かに、思念伝達で、連絡は取れないの?」


 「転移先だから、無理だと思っていたけど、一応、やってみるね。」


 私は、誰かに思念伝達で、連絡を取ろうと考えた。


 「キリ姉、皆こっちに来ているよ。誰に、連絡を取ればいいの?」


 「あれ、土人形(ゴーレム)は、どうしたの?」


 「もうとっくに、元の土人形に戻しているよ。だから、思念伝達で、連絡を取れないよ。」


 「そうね。戦いが一応終わったからね。仕方ないわね。」


 「キリ、一人いますよ。」


 ミユが私に声を掛けて来た。

 

 「えっ、それって、誰の事?」


 「あの魔人ですよ。魔人ブルーは、元の世界に居ますよ。」


 私は、驚いた。確かに、魔人ブルーは、元の世界にいる。そして、思念伝達で、連絡を取っても、問題はない。


 「よく、気が付いたね。分かったわ。魔人ブルーに連絡を取るね。」


 私は、思念伝達で、魔人ブルーに連絡を取った。


 「魔人ブルー、キリだけど、聞こえてる?」


 いつもと、感じが違う。でも、雑音の中に、魔人ブルーの声が微かに聞こえて来た。


 「どうした?キリ。聞こえているそ。」


 「魔人ブルーは、ルーン文字を読める?」


 「ルーン文字は、知っているよ。それが、どうした?」


 「詳しくは言えないけど、私が見たルーン文字を送るね。」


 「なるほど、これは、Tau(タウ)だな。」


 「それって、どういう意味なの?」


 「昔の魔人の名前だ。伝説の魔人だ。でも、よく、そんなものを見つけたな。書籍には、載っていないはずだぞ。」


 「うーん、詳しいことは、勘弁してね。それで、どんな魔人だったの?教えてくれる。」


 「伝説だけで、本当の事は、分からないが、それでもいいか?」


 「どんなことでも、いいの。教えて。」


 私は、魔人ブルーから、魔人タウについての情報を聞いて行った。そして、聞いた内容を皆に伝えた。

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