49.魔人ブラックの虐殺
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
魔王ズハアの依頼を実現するために、魔人ブラックは、ゴブリンの群れを探した。そして、その数が1000匹になるまで、生け捕りにしていった。
ゴブリンは、常に、群れで動いているので、見つけるのは、容易かった。
ただ、あの匂いだけは、未だに慣れない。ゴブリンは、集まれば集まるほど、ひどに匂いを発する。魔人ブラックにも、その理由は、わからない。ただただ、嫌悪するだけだった。
この、魔王ズハアのいるダンジョンで集めるのは、気が引けたので、魔人ブラックは、わざわざ、他のダンジョンへ出向いて、ゴブリンを集めた。
ゴブリンの行列は、150mにも及んだ。行列の長さは、そこそこの長さだった。
魔人ブラックとゴブリンの行列は、第96階層に到達した。そこは、魔人達に指示して造らせた岩人形で、埋めつくされていた。
魔人ブラックは、引き連れて来たゴブリンを1匹ずつ、岩人形の後ろに並ばせていった。しばらくして、すべての岩人形の後ろに、ゴブリンが並んだ。岩人形とゴブリンのミルフィーユが完成した。
すると、魔人ブラックは、一人の魔人を自分の所まで、呼び寄せた。それは、魔人バイオレットだった。
魔人ブラックは、魔人バイオレットに耳打ちをするや否や、岩人形に封印用の魔法陣を描き始めた。
岩人形の後ろ首の所に魔方陣がくっきりと浮かび上がって来た。それが安定するのを待って、魔人バイオレットにサインを送った。
すると、魔人バイオレットは、手で、ゴブリンの首を切り飛ばした。一撃で、ゴブリンは死に絶え、その場に倒れた。すると、ゴブリンの頭から、白い靄のようなものが立ち上り、魔人ブラックが描いた、岩人形の首の後ろの魔法陣に吸い込まれていった。
暫くして、岩人形が震え出した。そして、魔人ブラックを見て、膝間付いた。それを確認した魔人ブラックは、その横の岩人形の首の後ろに封印用の魔法陣を描き始めた。後は、先ほどの岩人形の時と同じだ。ゴブリンの首が飛び、岩人形が膝間付く、これを何度も何度も、繰り返して行った。
半日ほど経っただろうか、第96階層は、ゴブリンの死体で埋めつくされた。ただでさえ臭いゴブリンが、死体となり、倍以上の匂いが辺りに充満した。
「やれやれ、終わったな。魔人バイオレットも、ご苦労だったな。」
「魔人ブラック様のお役に立てて良かったです。」
「もう一仕事、頼まれてくれ。」
「はい、何なりと。」
「この階層のゴブリンを焼き尽くし、灰にしてくれ。」
「はい、直ちに。火炎地獄」
「よし、よし。魔人バイオレットよ、休んでおけ。また、呼び出すよ。」
「はい、いつでも参上します。」
魔人バイオレットは、第96階層から、最下位階層へ移動した。
「魔王ズハア様、お待たせしました。兵士1000体を創り上げております。」
「そうか、よくやった。それでは、ここに呼び寄せよ。」
「はい、只今。」
魔人ブラックは、魔人バイオレットに指示をして、岩人形の軍隊を最下位階層に連れて来させた。
魔の前に現れて、岩人形の軍隊を見て、魔王ズハアは、満足した。
「よくやった。見事だった。」
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キリ達は、リーツ王国から、本部に戻って来た。
「ハルト、良かったね。これで、思い存分働けるね。」
キリ姉は、我が事の様に喜んでいる。ハルトも、嬉しそうだ。
「ザーセン王国の国王にも、怒られなかったし、もう、ハルトも、堂々と、表舞台に出ていいね。」
「はい、そうですね。これも、キリ達のおかげです。感謝しています。」
「いいのよ。私が、好きでやっていることだから。」
と、言いながら、キリ姉は、顔を赤らめている。自分の言った言葉に酔ったようだ。
「キリ姉だけじゃないよ。私達も、手伝ったんだから。ねえ、ミユ。」
「いえ、私は、何にもできませんでした。感謝されることはないです。」
「あらぁ、そんなこと言うの。拗ねているのが、私だけみたいじゃないの。プンプン。」
キリは、怒っているように、見せている。
「ハルト、そろそろ、私達と一緒に行動してもいいよね。」
「はい、是非ともお願いします。キリといっしょに行動します。前に、約束しましたよ。」
「ええ、私も覚えているわよ。念の為に、確認しただけよ。それじゃ、一緒に、冒険者ギルドへ登録に行きましょう。」
「「はい。」」
キリ達は、ウディーア王国の冒険者ギルドの裏に転移魔法で移動した。
「ハルト、いくわよ。」
キリ姉は、ハルトの腕を取って、冒険者ギルドに入っていった。周りの冒険者達は、びっくりして、立ち上がった。
そして、腕を組んで仲良く入って来た、キリ達を遠巻きに取り囲んだ。
「シェリー、冒険者登録に来たよ。手続きをお願いね。まずは、ハルトの登録ね。」
「ハルトさんは、冒険者登録は初めてですか?」
「はい、僕は初めてです。」
「はい、わかりました。それでは、これにお書きください。」
「ハルト、斧戦士。これで、いいですか。」
「はい、結構です。暫く、お待ちください。」
シェリーが用紙を持って、奥へ消えていくと、周りを取り囲んでいた冒険者達から、声が上がった。
「おい、冒険者登録だって!」
「うそだろー。」
「キリ、なんでお前が冒険者登録をさせているんだ。」
「キリ、何、腕組んだいるんだ。気は確かか?」
「「キリ、勇者から離れろ。」」
皆が、一斉に、いつの間にか、声を合わせていた。
「うるさいなぁー。私の勝手でしょ。ほっといてよ。」
「キリ、お前、その方を勇者と知っているのか?それとも、ボケたか?」
「何を!怒るわよ。当然、知っているよ。ねえ、ハルト。何とか言ってやってよ。」
キリ姉は、わざとらしく、ハルトに抱き付き、甘えた声を出した。
「はい、キリ。皆さん、聞いてください。私は、このキリさんと一生行動を共にすることを誓ったんです。だから、皆さんも納得して下さい。」
勇者の声で、周りの冒険者達は、元居た席に戻っていった。
声を出したハルトも、それを聞いていたキリ姉も、顔を赤らめていた。でも、さっきより、強くくっ付いているように感じるのは気のせいだろうか。
「お待たせしました。これが、冒険者IDになります。初めてなので、ランクGからのスタートです。何か分からないことがありましたら、なんでも、聞いてください。」
「シェリー、パーティー登録もお願いします。」
「はい、いいですよ。パーティーの皆さんは、お揃いですか?」
「はい、ここに居ます。」
キリ達がキリ姉のそばにやって来た。
「それでは、冒険者IDを預かりますね。それから、冒険者登録等の費用は、キリ姉のIDから引かせてもらっていいですか?」
「それで、構わないわ。ハルトの面倒は、私が見るからね。」
「はい、それでは、手続きをして来ますので、暫く、お待ちください。」
暫くして、シェリーが戻って来た。
「これで、手続きは、完了しました。皆さんの冒険者IDをお返しします。今、キリ姉のパーティーは、Aランクですから、ハルトさんも、パーティーとしては、Aランクで活動できます。でも、初心者ですので、気を付けてください。キリ姉の言うことをよく聞いてくださいね。」
「ねえ、ハルト、聞いた?私の言うことは、何でも聞かないといけないって。」
「えぇ、そんなこと言ってましたか?」
「言ってたよ。ねえ、皆。」
キリもパープルもミユも、黙っていた。何か言うと、キリ姉に怒られるからだ。
無事、登録を終えて、冒険者ギルドを出ようとすると、また、冒険者達が、私達を取り囲んだ。
「シェリー、この方が、勇者だって、知っているのか?
しっていて、Gランクだって言っているのか。」
「えぇっ、勇者ですって、私は、見たことがないです。」
「あぁ、そうか。シェリーは、ダンジョンに行かないからな。知らなくても仕方がないか。」
「でも、俺は、何度もダンジョンで見ているんだ。神官達とダンジョンの出入口まで来て、兵士をつれて、潜っていくのを。そして、あっという間にダンジョンを制圧してしまった。」
「黙っていて、ハルトがそれでいいんだから。そして、私が、手取り足取り一から教えてあげるのだから。邪魔しないでよ。」
キリ姉が、急に怒り出した。
「これ以上、何か言ったら、ただじゃすまないわよ。」
「「ひぇー、分かりました。キリ姉の姉御。」」




