40.策士の暗躍
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
策士である魔人ブラックは、これまでの計画がうまく進んでいないことを知った。この世界に魔力を満たして、その豊富な魔力を元に、魔物を発生させ、更に魔力で世界を満たし、魔王軍の兵士を創るつもりだった。
当初は、順調に魔力が満ちて来たが、ある時から、全く増えなくなってしまった。それどころか、消えて行ってしまった。
魔人ブラックが、ダンジョンの中を調査しに行くと、なんとも奇妙な装置が設置されていた。しかも、ダンジョンとの出入り口には、簡易な結界を張っており、低位の魔物が入れないようにしてあった。
魔人ブラックが、更に調査していた所に、獣人まで現れて、こちらの行動を阻害した。
また、魔人サンドが消えてしまった。魔人ブラックは、常に魔人達の動向を把握していた。それが、魔人サンドについては出来なくなっている。
魔人サンドが、勝手にトード王国に行った。それも、私の指示ではないので、問題ではあるが、それ以上に、HP・MPともに、0になったのち、感知できなくなってしまった。
魔人レッドや魔人ブルーのときも、HP・MPともに、0になったが、常に感知出来た。
それが、今回は、出来なくなっている。何か、特別なことが起こったことは明白だ。しかし、そのことを調査するには、魔王軍の人材は不足している。
そこで、魔人ブラックは、これまでの計画を諦めることにした。
より効率的な計画に取り換えることにした。
それは、ザーセン王国の神官長ロシーアンを利用して、新たな計画を実行することだ。
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ザーセン王国の神官達が神官長ロシーアンに報告にやって来た。
「神官長、来客です。」
「どなたかな?」
「リーグリ王国の神殿から推薦された上級神官です。名前をブラックと言うそうです。」
「ほう、リーグリ王国の上級神官か、して、どのような用件かな。」
「はい、こちらに推薦状をお持ちしました。」
「その方を、来客室に案内して、お持ちして、貰いなさい。」
「はい、承りました。」
神官長ロシーアン配下の上級神官は、すぐさま、来客の所に行き、来客室に案内した。
暫くして、神官長ロシーアンが、来客室に現れた。
「私が、この神殿の神官長ロシーアンです。遠路はるばる、ご苦労様です。」
「いえ、お世話になります。」
「この推薦状には、この神殿で働きながら、勉強をしたいとあるが、それで間違いないか。」
「はい、その通りです。よろしくお願いいたします。」
神官長ロシーアンは、近くにいた上級神官の一人を傍に越させた。
「よし、ブラックといったかな、それでは、この上級神官の下で働くがよい。」
「はい。わかりました。」
リーグリ王国からやって来たブラックは、ザーセン王国の神殿で働くこととなった。
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キリは、これまで、作っていた結界を強化したいと思っていた。
というのも、ミユが図書館から、図書館に接続している施設に入ってきたことがあった。
また、老人がダンジョンに接続している施設に入って来た事があった。
まだ、普通の魔物が入って来たことはないが、結界が弱いことは確かだ。
ただ、今の私が最大マナを注いだら、強度は、遥かに高い物になることは分かっている。
あの魔人サンドを閉じ込めることが出来たほどだ。ただ、あの時のサンドは、弱り切っていたが、まあ、いいか。
私は、ミユにも手伝った貰うことにした。
「ミユ、ちょっと、私の実験に付き合ってくれない。」
「ええ、いいわよ。何をすればいいの。」
「簡単な事よ。私が作った結界の強さを調べて欲しいの。」
「それぐらい、大丈夫よ。」
「それじゃ、始めるね。」
私は、これまでは、闇魔法で創ったバリアしか、使わなかったけど、それを変えてみることにした。
具体的には、これまで使っていたバリアの厚みを基本の厚みと考えた。
次に、「光魔法で作ったバリア」をバリアA、「闇魔法で作ったバリア」をバリアBとして、次の8種類のバリアの強度を比べることにした。
「AAA」「AAB」「ABA」「ABB」「BAA」「BAB」「BBB」
すると、次の事が分かった。闇魔法で創ったバリアは、光魔法に弱い。光魔法で創ったバリアは、闇魔法に弱い。
そこで、ミユが光魔法は使えるが、闇魔法を使えないので、「AAA」が、一番強度が高い結果となった。
しかし、これは、少し不味いことがわかる。
そこで、少しもったいないが、「ABAB」を採用することにした。
注入するマナの量を多くすれば、より強力なバリアを創れるが、それでは、創り手に制限が掛かってしまう。それでは、大量生産できないので、今回は、最低限のマナの量で、ある程度の強度が得られるものにした。
一応、方針が決まったので、これまでの施設との出入り口をこの新しいバリアに置き換える作業を始めた。すこし、時間は掛かるが、仕方がない。どこから始めるかの優先順位は、キリ姉に任せた。
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上級神官のブラックは、ザーセン王国の神官達と仲良くなっていた。特に、神官長配下の上級神官とは、いつも行動を共にしていた。
「おはようございます。」
「おはよう。ブラック。今日も元気そうだね。」
「はい、お陰様で。」
「ザーセン王国の神殿にも慣れてきたようだね。」
「前の神殿とよく似ているので、すぐに慣れました。」
「そうか、それは上々。そろそろ、一人でも、仕事が出来そうだね。」
「はい、何なりとお申し付けください。」
「わかった。その時は、頼むとしよう。」
「雑用でも、構いませんよ。倉庫の掃除とかでも、しっかり、やり遂げますよ。」
「ほぉ、感心だね。」
「それじゃ、一つ、頼まれてくれないか。」
「はい、何でしょうか。」
「神殿の地下に神具を収めている倉庫があるのだが、そこの掃除と神具の整理をお願いできないかな。実は、神具は一般の神官には扱わせたくないのだ。」
「そんなことですか。わかりました。直ぐにやっておきます。任せてください。」
上級神官ブラックは、ニヤリと笑って、神殿の地下の倉庫へと急いだ。




