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36.ダンジョンからの侵入者

少しでもお楽しみいただければ幸いです。

 突然に、ダンジョンからアラームが伝えられた。でも、これは、いつものアラームとは異なった。いつもであれば、ダンジョン内のマナの密度が一定以上になりアラームが作動していた。


 しかし、今回は、ダンジョン内のマナの密度に変化がなかった。


 ダンジョンと装置との間には、結界を張っていた。それを抜けて、誰かが侵入したようだ。


 たしかに、これまで、作っていた結界は弱い物であった。というのも、ミユが図書館から、図書館に接続している施設に入ってきたことがあった。あの時のままであった。


 「失敗、失敗、忙しくて、うっかりしてしまったわ。」


 キリは、結構、ポカが多い。それを補ってくれるのが、キリ姉だ。早速、いつも通り、キリ姉を頼った。キリは、思念伝達でキリ姉を呼び出した。


 「キリ姉、ちょっと、相談したいことがあるんだけど。」


 「急に、何。何かあったの?」


 「実は、ダンジョンから、何者かに侵入されてしまって。」


 「何、のんびりしているの、急いで行くわよ。」


 「どこのダンジョンなの、教えて。」


 キリは、急いで、キリ姉に状況を詳しく説明した。それと、同時に、パープルを連れて、現地に転移魔法で、移動した。キリ姉も、少し遅れて、転移用魔法陣を使って、移動した。


 「スキル探索、わかった。まだ、通路にいるわ。」


 「キリ、今着いたわ。場所は?」


 「通路にいるの。レベルは80で高くないよ。動きもゆっくり、調べながら移動しているみたい。」


 「わかったわ。一度、合流しましょ。」


 「はい、施設と通路の境の所で、待っているね。」


 「すぐ行くわ。」


 私が、パープルと待機していると、後ろからキリ姉が現れた。私が到着するのとほぼ同時だった。


 「キリ、様子はどう?」


 「まだ、通路の中よ、ゆっくり、こちらに向かっているよ。」


 「それでは、少し時間の余裕があるわね。対応を検討しましょ。」


 「キリ、通路の中に、段階的にバリアを張ってくれる。」


 「ちょっと、意味が分からないよ。」


 「ミユは、解呪(ディスペル)(LV1)でも、こちらに入れたよね。

 だから、この相手を実験台に使いたいの。どの程度のバリアで防げるのかを。」


 「なるほどね。それじゃ、こちらの手前から、侵入者の所まで、出来るだけ、複数のバリアを張るね。」


 「キリ、手前ほど、強く張ってよ。」


 「はい、分かった。」


 キリは、キリ姉に言われたように、バリアを張り始めた。現在のキリは、闇魔法のレベルが85ある。そこで、まず、最大レベルのバリアを張った。次に、約5m遠くに、レベル80でバリアを張った。これを繰り返して行った。


 侵入者まで、20mになった時に中止した。それまでに、レベル5刻みで、レベル60まで張ることが出来た。キリは、少し落ち着いたので、侵入者をスキル鑑定で調べてみた。


【ステータス】

 名前:(隠蔽)

 本名:(隠蔽)

 種族:(隠蔽)

 職業:(隠蔽)

 レベル:80

 HP(最大体力量):100,000

 MP(最大魔力量):10,000,000

 魔法:土魔法(LV60)、火魔法(LV60)、水魔法(LV60)、風魔法(LV60)、闇魔法(LV EX)

 スキル:毒耐性(LV50)、麻痺耐性(LV50)、魔力耐性(LV50)、物理耐性(LV50)


 「キリ姉、ダメ、相手が悪いよ。」


 「どういうこと、相手の闇魔法のレベルがEXになっているの。だから、すべて破られるよ。」


 「キリ、すぐに、バリアをすべて消して、それから、パープルに相手させて、時間を稼いで。」


 「パープル、聞こえた。倒さなくていいから、時間を稼いでね。」


 「うん、分かった。」


 すぐに、パープルは、侵入者の目の前まで移動した。私は、手前のバリアから、消し始めた。


 元に戻すのに、1つ当たり10秒は、掛かりそうだ。


 侵入者は、目の前に現れたパープルに話しかけた。


 「おぬしは、どこから現れたのかな?」


 「・・・」


 「獣人だな。少し厄介だな。帰るとしようか。」


 「・・・」


 「はっ、はっ、はっ。面白い。いずれ、また、会うだろう。」


 侵入者は、転移魔法で移動してしまった。


 「どうしよう。キリ姉、どんなバリアもダメかも。」


 「ちょっと、ステータスを詳しく教えて。」


 私は、もう一度、侵入者のステータスをキリ姉に教えた。今度は、ゆっくりと、伝えた。


 「分かったわ。キリは、闇魔法(LV EX)に驚いたのね。」


 「そうなの、私の闇魔法のレベルが85しかないので、絶対に負けると思ったの。」


 「そうね。用心することは大切だよ。

 でも、前に、魔人ブローや魔人レッドと戦った時のことを思い出してね。」


 「どういうこと?」


 「魔人レッドは火魔法、魔人ブローは風魔法、それぞれ、レベルがEXだったよね。」


 「あぁー、そうだったね。すっかり忘れていたよ。」


 「それで、どうだった?

 あの時のキリの風魔法は、レベル80ぐらいでしょ。

 でも、魔法の威力は圧倒的にキリの方が上だったよ。」


 「うん、そう思った。」


 「それに、魔法耐性もレベル80ぐらいでしょ。

 そしたら、どうして、魔人ブローの攻撃が効かなかったのかな?」 


 「本当だね。どうして?」


 「ちょっとは、自分で考えなさいよ。」


 「キリ姉、いいじゃない、教えてよ。ねえ。」


 「もう、わかったわよ。魔法は、マナを使うよね。

 そのマナは、使う人のマナの総量で威力が決まるよね。

 少ししかマナが使えないのに、大きな威力のある魔法が使える?」


 「無理だね。そうか、マナの総量で、注ぎ込めるマナの量が決まるのか。それが少ないと、威力も小さい。なんだ、そんなことか。」


 「何?そんなことか、って。それぐらい、自分で考えてよね。」


 「はーい、ごめんなさい。」

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