35.魔人サンドの火遊び
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
ザーセン王国の神官長ロシーアンは、勇者が2人ともいなくなっていることに気が付いた。
部下の神官達が、少女の勇者が逃げたことを報告しなかった。
また、少年の勇者を見つけているのに、他の者に連れ去られた神官達が居た。
神官長ロシーアンは、激怒した。しかし、勇者を召喚した目的は、結果として果たせていた。
それは、ダンジョンの制圧であった。その結果得られるダンジョンコアの収集が、最終的な目的であった。それは、少年の勇者の暴走によって、図らずとも、達成されたのである。
神官長ロシーアンは、ここは、ポジティブに考えようと思った。結果良ければ、すべて良しだ。勇者が制圧したダンジョンに配下の神官達を向かわせて、すべてのダンジョンからダンジョンコアを回収したのだった。
以前、誰かにダンジョンコアを盗まれて、困ってしまったが、今回は、失った以上のダンジョンコアを回収することが出来た。総数23個である。これは、期待以上の成果だ。
神官長ロシーアンは、心配を忘れ、喜んだ。だが、勇者達をそのままにしておけば、神殿の威厳が損なわれる。それに、国王に知られると、いかに叱責されるか分からない。これについては、対処しないといけない。
まずは、少年の勇者の行方を探ることが先決だ。そこで、神官長ロシーアンは、各王国の神殿に手紙を書き、勇者に関係する情報を持っていないか、探ることにした。
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魔王軍幹部の一人、通称サンドは、最近、魔人が勇者に倒されたという噂を聞いた。しかし、誰一人として、死んでいないのだ。却って、レベルアップを喜んでいるらしい。
「俺の所には、例の策士から、連絡がない。どうしてだ。
俺が、他の魔人より、劣っているとでも、思っているのか。
それなら、俺にも考えがあるぞ。俺の本来の力を示してやらねばならないのか?
だが、策士は一方的に連絡してくるだけで、正体が全く分からない。
魔人の誰一人として、本人と対面していない。策士が魔人か、どうかすら、わからない。
もうそろそろ、俺の我慢も限界だぞ。」
魔王の四天王の一人である、通称サンドは、少し、いらいらしていた。狭い、ダンジョンの中で、こそこそと隠れているのも、嫌気が指している。
「外界に出て、暴れてやろうか?」
魔人の噂が流れているのが、リーツ王国、ウディーア王国、ザーセン王国の3つの王国だけだった。
「トード王国には、まだ、誰も行っていないようだな。それでは、俺が行ってやろう。」
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キリは、書籍のデータベースを調べていた。先日の魔人の事が気になって仕方がない。魔人に関する情報を検索した。
いくつかは、ヒットした。だが、多くの内容が、「魔人とは、・・・」の類で、欲しい情報ではない。キリは、どうしたらいいか、いい考えが出てこなかった。
「キリ姉、ちょっと、相談に乗ってくれる。」
「いいよ。言ってごらん。」
「実は、先日の事が、まだ、気になっているの。魔人の討伐の方法なんだけど、書籍のデータベースを調べても、なかなか、見つからなくて。」
「キリ、まだ、考えていたの。知らなかったわ。」
「実は、あれから、ずっと、考えていたんだよ。」
「そうね。魔人って、魔王の手下よね。だったら、魔王と同じ弱点があるのでは?」
「なるほど、そうだね。キリ姉は、やっぱり偉いね。」
「年上なんだから、当り前よ。キリより、長く生きていて、経験が豊富なのよ。」
「うーん、それは、なんとも。」
「何言ってるの。素直に褒める所よ。」
「はい、キリ姉は、えらい。」
「それで、いいのよ。それと、別に殺す必要はないのでは。」
「どういうこと?」
「つまり、私達の邪魔にならなかったら、良いだけよ。」
「そうだよ。それで?」
「魔人の活動が、停止すればいいのよ。例えば、封印とかね。」
「あぁ、そうだね。封印でもいいんだね。」
「ちょっとは、役に立ったかな?」
「はい、やっぱり、キリ姉は、偉い。今度は、本気で思ったよ。」
「えぇ、なんていったの?まぁ、いいか。それじゃね。」
本当に、キリ姉には驚かされる。あんなに若いのに、私より、教師らしい、いやいや、年輩みたいだね。
「魔王を倒すのに必須とされる聖剣、・・・。」って、定番だよね。やっぱり、聖剣だね。
「封印についても、調べておこうっと。」
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キリは、思念伝達で、レオとヴァルゴに、指示を出した。今やっている監視を止めて、リーツ王国の国王から、聖剣についての情報をできるだけ聞き出して欲しい。それも、急いでやって欲しいと伝えた。
レオとヴァルゴは、快く、引き受けてくれた。しかし、あそこの国王は、精神が不安定みたいだから、あまり、会いたくないみたいだ。でも、即座に転移用魔法陣を用いて、移動した。




