32.勇者のリベンジ
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
ハルトも、自信を取り戻したので、そろそろ、リベンジをさせてあげたい。そのためには、まず、魔人レッドの居場所を探らないといけない。
魔人レッドは、何の予兆もなく、ザーセン王国に突然現れた。それは、先行隊として、勇者の力を測りに来たように思える。そして、思ったより、弱いので、気にならなくなった。
そのため、魔人に関する情報は、今の所皆無だ。
情報を集めるためには、少しはリスクを取らなければならない。これまで、避けて来たザーセン王国とリーグリ王国に、潜入する時期に来た。
私はパープルと2人で、リーグリ王国にやって来た。前回は、ノ-トライン街の神殿で、変な老人に出会った。そこで、今回は、他の街であるグノーブ街の神殿に行くことにした。
基本的な事は、ノ-トライン街の神殿と同じなので、私達は、予め隠密魔法を起動して、神殿の出入口に向かった。
出入口に居る兵士の横を抜けて、中に入っていった。今回は、神殿の中を先に、調べることにした。
神殿の出入口には、神官達が扉を守っていた。私達は、彼らに気付かれないように、中に入っていった。神殿の中では多くの神官達が忙しそうに働いていた。
私達は、いくつかの部屋を覗き、中を確認しながら、廊下を奥へと進んで行った。神殿の奥深くに進んで行くと、神官達が警護している部屋があった。
扉には、鍵が掛かっているようだ。警護している神官達は、鍵を持っていないようだ。
すると、後ろから、複数の神官達と共に、年輩の神官がやって来た。どうも、先頭にいるのは、この神殿の神官長のようだ。
私達は、やって来た神官長の様子を見ていると、腰の袋から、鍵を取り出して、扉を開けた。
扉の中へは神官長だけが入って行った。私達は、神官長が部屋に入ると同時に部屋に入っていった。
神官長は、部屋の中に入ると、扉を閉めて、部屋の奥にある机に向かって、歩き始めた。
私達は、神官長の様子を監視しながら、静かに潜んでいた。
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リーツ王国に魔人が現れたという噂が流れ始めた。しかし、打ち消すような情報も流れている。
キリ姉と私は、一度確認に行った方が良いと判断した。
レオとヴァルゴがダンジョンに例の装置を設置する仕事を終えたようなので、調べて貰うことにした。
レオとヴァルゴは、転移用魔法陣で、リーツ王国の王宮の図書館に接続している施設に移動した。
次に、隠密魔法を起動して、王宮内のようすを調べることにした。
図書館の中は静かな物で、誰の気配もない。2人は、扉を開けて、廊下に出た。
暫く、歩くと、兵士達が警護している部屋が見つかった。扉の所に4人も兵士がいる。よく見ると、ただの兵士ではなく、いずれも、近衛兵のようだ。立派な装備をしている。おそらく、国王の警備だろう。
近衛兵達を倒してしまうと、騒ぎが大きくなるので、他に注意を逸らして、扉から、忍び込むことにした。扉に鍵が掛かっていないことを予め確認した。
レオが、近衛兵達の頭を軽く小突いて行った。
「「誰だ!」」
皆が騒いでいる間に、扉から、2人で飛び込み、急いで扉を閉めた。
暫く、扉の外の様子を聞いていたが、特に、気づかれた様子はないので、国王の様子を調べることにした。
部屋の中には、近衛兵は、一人もいなかった。しかも、傍付きの侍女も、見当たらなかった。
国王一人、椅子に座り、考え込んでいた。
よく見ると、国王の座っている横のテーブルに手紙が置かれていた。
国王は、時折、その手紙に目をやりながら、ため息をついている。
「なぜ、私一人、こんなに悩まないといけないのだ。あの魔人め。」
国王がぼやいている。魔人という言葉に、レオとヴァルゴは、反応した。
「今、魔人といったね。ヴァルゴ、聞こえた?」
レオが、ヴァルゴに思念伝達で確認した。
「聞こえたよ。確かに、魔人といったよ。ここで、正解みたいだね。」
「そうだね。やっぱり、魔人は現れたようだね。」
「どうする?もう少し様子をみない?」
「それがいいね。でも、取り敢えず、キリに報告しておくね。」
レオが、キリに思念伝達で報告した。すると、キリは、そのまま、国王を見張って欲しいと言ってきた。
仕方がないので、2人は、国王のぼやきを暫く聞くことにした。
「あの魔人め。」
「なぜ、私だけが悩まないといけないのだ。」
「勇者なら、魔人に勝てるのか?」
「この後は、どうしたらいいのか?」
「あの魔人め。」
「いつになったら、私は解放されるのだ。」
「言われたことは、既にやっている。」
「また、来るのか?」
いつまで待っても、ぼやきの内容は変わらない。同じことの繰り返しだ。
レオは、思念伝達で、キリに相談することにした。
「キリ、様子を見ているけど、変化ないよ。退屈。」
「そうね。退屈そうね。じゃあ、少し遊んでみる。」
「どうするの?」
「隠密魔法を起動したままで、国王に話しかけてくれる。」
「どう言ったらいいの。」
レオは、キリの指示を頭の中に入れた。思念伝達を止めて、国王に話し始めた。
「国王よ。指示したことは終えたのか。」
わざと、低い声で、魔人ぽっく話したつもりだった。
「えぇ。誰だ。」
国王はあたりを見渡したが、誰もいない。
「キョロキョロするな。わしは、お前に直接話をしている。」
「あっ、はい。もう、終えています。」
「そうか。お前一人か?」
「はい、言われたように、誰にも話していません。」
「よし、では、わしにどのように行ったかを報告せよ。」
「はい、わかりました。私は、魔人様に言われたように、国宝である聖剣を地下の宝物庫から出して、誰も気が付かないように、人が行かない倉庫の中の隠しました。」
「よし、よし、よくやった。」
「その倉庫はどこにあるのだ。」
国王は、魔人と話していると信じ切って、ペラペラと話した。私達2人は、国王との話を終えて、思念伝達で、キリの報告した。すると、キリから指示が来た。
聖剣を盗み、戻ってこいということだ。
早速、盗み出して、キリのもとに戻った。
「よし、よし、よくやった。」
キリは、 レオとヴァルゴの頭をなでなでしてやった。
キリは、預かった聖剣のコピーを土魔法で創り、表面を加工して、本物の様にした。そして、その偽物を レオとヴァルゴに元の場所に置いておくように指示をした。
レオとヴァルゴは、すぐに行動に移し、また、すぐに戻って来た。
「よし、よし。」
キリは、 レオとヴァルゴの頭をもう一度撫でてやった。
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先日購入した不思議な魔導書をミユと一緒に調べていた。ミユにスキル解呪を使ってもらった。
すると、魔導書の中を見ることが出来た。魔導書は光魔法に関する本だった。しかも、内容は、上級魔法であった。特に、「蘇生魔法」があったので、びっくりした。
私とミユは、一緒に魔導書を隅々まで読み、練習して、使いこなせるようになった。
私は、使える様になった魔法をすべて、魔法陣化しておいた。これだ、他の誰でも、蘇生魔法が使える。
いままで、書籍のデータベース化を進めてきたが、封印された魔導書を考えていなかった。
データベースから、中身が白紙の書籍を検索して、その書籍を各地から送って貰うことにした。
私とミユは、送られてきた書籍を私が鑑定して、封印されているかどうかを調べ、ミユにスキル解呪で、解呪して貰った。
更に、必要に応じて、一緒に中身を確認し、知らない魔法であれば、一緒に練習した。そして、私がそれを魔法陣化していった。これらの作業で、使える魔法が一気に増えた。




