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31.リーツ王国の国王の悩み

少しでもお楽しみいただければ幸いです。

 リーツ王国の国王は魔人ブルーから、秘密の仕事を依頼された。依頼というより、脅迫であった。


 リーツ王国の民を殺されたくなかったら、国宝の聖剣を誰にも知られずに、隠すようにと。


 リーツ王国には、昔から伝説となっている武器がある。それが、魔王討伐に使われ、国宝として保管されている聖剣である。もし、言い伝えが本当なら、この聖剣がなけらば、魔王を殺すことができない。


 そんな大事なことをリーツ王国の国王は、一人で、決めなければならなかった。魔人ブルーの圧倒的な魔力の前では、誰も抗うことなど、できない。


 リーツ王国の国王は、やむを得ず、聖剣を誰も分からない場所に隠した。しかし、そのことは、誰かに伝えなければ、本当に魔王がやって来た時に、リーツ王国の国民だけでなくこの世界が消滅してしまう。


 そこで、リーツ王国の国王は、遺言として、聖剣の隠し場所を書き残した。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 漸く、ミユやハルトが打ち解けて来た。私達との生活にも馴染んできた。


 「ねえ、ハルト、これから、どうしていく?

 また、ザーセン王国に戻って、神官長の指示で行動していく?

 それとも、私達と一緒に行動していく?」


 「まだ、何が正解か、分からないけど、暫くは、キリ姉達と一緒に居たい。」


 「そう、すぐに決めなくてもいいよ。ゆっくり考えて。

 でも、一つ教えて欲しいことがあるの。」


 「何かな?遠慮せずに、聞いてよ。」


 「わかったわ。実は、ハルトが神殿から逃げ出した、理由が知りたいの。

 こんなこと、聞いたらダメかしら。」


 「いいや、もう、今なら大丈夫だよ。自分に自信もついてきたから。」


 と言いながら、ハルトはこれまでにあったこと、特に、魔人レッドに倒されたことを話した。


 「そうなの。ありがとう、正直に話してくれて。」


 「僕からも質問してもいいかな?」


 「ええ、構わないわ。」


 「未だに気になっていることがあるんだ。

 魔人レッドが言った言葉が。」


 「それって、何?」


 「魔人レッドに、『勇者、お前には、致命的な欠陥がある。』と言われたんだ。」


 「それが気になっているの。魔人レッドは、勇者と呼んだのよね。」


 「そうだよ。僕は勇者だからね。」


 「その時に持っていた武器は、あの剣だったのね。」


 「うん。神官長に貰ったものだからね。」


 「本当の事は、わからないけど、多分、ハルトが持っている武器や装備の事じゃないかな?」


 「先日、鍛冶屋で、装備を購入したでしょ。その時、大斧を選んだよね。」


 「大斧が一番しっくりきたから。

 それが、何か関係がある?」


 「適切な武器を持っていないって、おかしいでしょ。あなたの動きを見て、剣に馴染んでいないことを見抜いたのじゃないかな。」


 「そうかな。それだけかなぁ。」


 「たぶん、そうだよ。キリにも、相談してみるけど、いい?」


 「うん、構わないよ。今となっては、誰に知れれても良いと思っているよ。」


 私は、思念伝達で、キリに聞いてみた。すると、キリは、次の様に言ってきた。


 「勇者と呼んだので、ステータスを見たわけではないわ。

 もし、スキル鑑定を使ったのなら、勇者とは言わないと思うよ。」


 「そうだね。私もキリと同じ。」


 「そうよね。だから、外見から分かることで、欠陥と言ったと思うよ。

 すぐに目に着くのは、武器や装備ね。次に思うのは、パーティーでないということね。」


 「確かに、それらは、外見だけでわかるね。」


 「この、どちらかだと思うよ。」


 「そうかな? 

 武器や装備、パーティーなら、対面してすぐに分かることよ。

 相手を怯ませるのなら、最初に言いそうね。」


 「確かに、戦い慣れしていそうだから、そうするね。

 そうすると、少し、戦ってから分かる事じゃないかな。」


 「そうだね。戦いながら、何かに気が付いたのね。」


 「キリ姉、戦いの時のことをもう少し詳しく聞いてみて。」


 「分かった。そうするわ。」


 キリ姉は、キリとの思念伝達を一旦終えて、ハルトに声を掛けた。


 「今、キリと相談したのだけど、装備ではなさそうね。

 悪いけど、戦いの時のことをもう少し詳しく話してくれない。」


 「いいよ。どこから話す?」


 「ハルトが中庭に着いてからでお願いできる?」


 私は、ハルトに中庭での出来事を詳しく聞いて行った。


 「ハルトは、魔人レッドに切りかかって行ったわけね。その時、何か、感じた?」


 「良くは分からないけど、いつもだったら、剣で切り裂いているはずなのに、僅かな所で避けられていた。それも、何度も何度も避けられたな。」


 「そうか、ハルトはその時、手に痺れを感じなかった?

 いつもより、動きが鈍くなっているとか、思わなかった?」


 「言われてみれば、身体を動かすのに、何か違和感があったな。

 でも、攻撃に集中していたから、よくわからないよ。」


 「ハルトが中庭に着くまで、他の兵士達はどうしていたの?」


 「何人も攻撃したらしい。僕が行った時には、立ったまま、無くなっている兵士が何人もいたよ。」


 「そうか。その兵士達の様子はどうだった。切られて死んでいたの。何か傷はなかった?」


 「そういえば、顔が青っぽかったかな、それと、口から血を出していたよ。」


 「それって、毒じゃない。」

 

 「そうだね。毒を飲まされたような感じだね。言われてみれば、それがぴったりするね。」


 「ちょっと、待ってね。キリともう一度相談してみるね。」


 キリ姉から、思念伝達で状況を聞いた私は、闇魔法で創られた結界の影響だと思った。そして、ハルトのステータスを思い出した。色々な耐性のレベルが低いということを。それを、キリ姉に伝えた。


 「ハルト、分かったわ。あなたの欠陥は、色々な耐性のレベルが低いということよ。」


 「いままで、ダンジョンの中で、怪我をしたことがあった?」


 「いいや、いつも一撃で魔物を倒していたから、怪我をしたことはないよ。ただ、疲れてしまって、倒れたことはあるけど。」


 「色々な耐性は、攻撃を受けることによってできるの。だから、攻撃されたことのないハルトは、十分な耐性が付いていないのよ。つまり、攻撃されたことがないってことが、ハルト、あなたの欠陥というわけよ。」


 「えぇ。そんなことがあるのか。攻撃されたことがないこと、怪我をしなかったこと、それが、欠陥だった。そんなことは、思いもしなかった。キリ姉に話して良かった。納得できた。」


 「そう。良かった。でも、それは、直した方がいいよ。」


 「どうやって、直すんだ。」


 「簡単よ。怪我をすればいいだけ。」


 「厭だよ。怪我をするなんて。」


 「大丈夫、怪我をしても、すぐに直してあげるから。」


 「でも、痛いんだろ。やっぱり、嫌だよ。」


 「魔人レッドを倒したいのでしょ。それなら、我慢しなさい。」


 「仕方ないな。我慢するよ。その代わり、魔人レッドを倒せなかったら、ただじゃ澄まさないよ。いいか。」


 「はい、はい、大丈夫よ。必ず、魔人レッドを倒せるから。」


 「よし、じゃ、やろう!」


 「それじゃ、キリ達も呼ぶわよ。」


 私とミユとパープルは、キリ姉から思念伝達で来るように呼ばれた。私達3人は、転移魔法でキリ姉の所まで、移動した。これで、全員が揃った。


 私達は、お互いを攻撃し、治療をしながら、皆で、耐性を付けていった。それによって、「毒耐性」「麻痺耐性」「魔力耐性」「物理耐性」のスキルを全員LV70以上にすることが出来た。


 そして、ミユと私は、光魔法の強化魔法を使えるようになった。これによって、「身体能力」「魔力操作」「魔力回復」を強化することが出来る様になった。


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