25.魔人ブルーの罠
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
リーツ王国の王宮は、慌てふためいていた。王宮の上空に魔人が現れたからだ。
「我は、魔王軍幹部の一人、ブルーだ。国王に話がある。ここに連れてこい。」
空からの声が王宮中に響いた。宮殿の近衛兵はどうすべきか、迷っていた。国王を逃がすべきか、それとも?
王宮の師団長が、魔人ブルーに聞き直す。
「国王に、何用だ。」
「それは、国王にだけ話す。お前ごときがしゃしゃり出るな。」
「いいや、それは出来ない。私に話してもらおう!」
「面倒だ。死ね。氷柱地獄。」
魔人の声と同時に、師団長の身体が氷柱に包まれた。その氷柱は、高さ10mにもなった。
「ウァー、逃げろ。」
氷柱を見た近衛兵達は、我先に逃げ惑う。しかし、空中から見下ろしている魔人に対して、何処に逃げればいいのか、判断に困っていた。
すると、国王が数人の近衛兵達に守られながら現れた。
「待ってくれ。私が国王だ。これ以上の攻撃は止めてくれ。」
「ふん、すぐに出てくれば、良いものを。」
魔人ブルーは、国王の前に一気に舞い降りて来た。慌てて、国王を取り囲んでいた近衛兵達は、後ろに下がってしまった。その結果、国王と魔人ブルーが50cm程度の距離で、対面することとなった。
「耳を貸せ。」
国王に対して、無礼な口を聴く魔人ブルーだった。そして、国王の耳元で、何やら囁き始めた。
「良いか、他言無用だぞ。もし、洩らしたら、分かっているだろうな。」
国王は、黙って頷いた。
「よし、今日の所は、これで帰ってやる。必ず、成し遂げろよ。」
言い終わらない内に、魔人ブルーは、上空に飛びあがり、いつの間にか見えなくなった。
国王は、膝を崩し、その場で、顔を青ざめたまま、フリーズしてしまった。
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リーツ王国に魔人ブルーが現れたことは、すぐに、他の王国にも伝わった。各王国は、魔人が現れたことで、魔王が復活したと思った。
ザーセン王国にも、魔人ブルーの話は伝わった。ザーセン王国の神官長ロシーアンは、すぐに、配下の神官を呼び出した。
「例の神具が使える様になったか?」
「まだで、ございます。」
「後、何日掛かる。」
「10日ほどで、完了すると思われます。」
「完了したら、すぐに、報告に来るように。」
「はい、分かりました。」
配下の神官は、神殿の奥に消えていった。
「まだ、10日もかかるのか。間に合えばいいのだが。」
神官長ロシーアンは、不安そうな顔で、空を見上げた。
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食堂から戻った私達は、魔法学院のキリ姉の部屋で、今後の行動についての相談を再開した。
まず、キリ姉が口火を切った。
「今回の計画は、少し大掛かりになるわよ。まずは、このウディーア王国から始めるよ。
これまでに見つかったダンジョンの魔力が他に逃げないように閉じ込めておく。つまり、ダンジョンコアが破壊されても、ダンジョンマスターが討伐されても、そのダンジョンの魔力が外界に出ないようにしようということなの。」
「どうやって、外界に出ないようにするの?」
と、キリがキリ姉に聞いてきた。
「以前に、新規ダンジョンが発生した時と同じで、バリアで、結界を作るということ。ただ、何時ダンジョンが破壊されても良いように、そのバリアが維持できないといけない。しかも、前回と違って、今回は、ダンジョン全体をバリアで囲んで置きたいの。」
「凄いことを考えるのね。一度やってみないと自信ないよ。」
と、キリが弱音を吐いた。
「いいよ。一度、実験しよう。この間行った、初級ダンジョンでいいかな?」
と、キリに確認した。
「はい、いいよ。」
「皆も、手伝ってね。」
「「はい。」」
私達は、目的の初級ダンジョンに転移魔法で移動した。このダンジョンの近くにも、転移魔法用の魔法陣を描いてあった。
「さてと、外界に出ないようにするためには、光魔法のバリアで囲めばいいわね。」
「でも、これだと、ダンジョンの出入口から、外界に出てしまうね。」
「ダンジョンの出入口を塞ぐというはどうかな?」
「それだと、誰かに気が付かれてしまわない?」
「ちょっと、危険だね。気づかれないようにしないといけないものね。」
「ちょっと、確認したいのだけど、普段でも、魔力って、ダンジョンから外界に漏れているよね。」
「そうだね。その程度は大丈夫なの?」
「それぐらいは、いいんじゃない?」
「キリ姉、普段ダンジョンから出ている程度のマナは漏れてもいいの?」
「それは、いいよ。大量に漏れなければいいのよ。」
「分かったわ。それじゃ、こうしましょう。」
やって、方針が固まった。
まず、光魔法のバリアでを作り、その内側を闇魔法のバリアでコーティングする。
光魔法のバリアでダンジョン全体を覆うので、ダンジョンの出入口以外からは、マナの出入りが阻害される。
内側からのマナは、闇魔法のバリアで吸収される。更に、この闇魔法のバリアにマナを流す導体のようなものを接続し、ダンジョンの外にアイテムボックスの中のマナッテリーに接続する。
これは、以前、特級ダンジョンで、レベル80のレッド・ドラゴンを倒すときに使ったものと同じ構造だ。今回は、ダンジョン全体をバリアで覆うので、遥かに大きな規模になる。
私とアリエスとタウラスの3人で、ダンジョン全体を特殊なバリアで囲んで行った。囲み終わると、第8階層の横に土魔法で地下施設を創った。そして、その中をアイテムボックスで、埋めつくし、更に、その中をマナッテリーで埋めつくした。最後に、それらを接続した。
最後に、地下施設とダンジョンとの間に、マナを吸い上げる闇魔法の魔法を魔法陣化してものを刻印した。
これで、基本的な構造は完成だ。後は、ダンジョン内のマナの密度を計測して、一定以上のマナの量になったら、マナを吸い上げる様に設定したマナコンを組み込んだマナドールを1体置いた。
安全を期するために、予備のマナドールと全体を監視して、異常を報告するマナドールを1体置いた。
「キリ姉、できたよ。」
「よし、よし。」
私達は、キリ姉に頭を撫でて貰った。ちょっとは、努力が報われたかなぁ。
3人で取り掛かってけれども、半日を要してしまった。ダンジョン全体を取り囲むのに作ったバリアの量が半端ない者だったせいだ。また、地下施設の中の設計や施設の設置など、結構時間が取られた。
私達は、他の工場から持って来たマナッテリーを用いて、ダンジョン内のマナ濃度を一時的に上げた。
すると、先ほど完成した装置が動作して、余分に発生したマナを吸い上げ、元の濃度に戻した。
「キリ姉、テストは成功よ。うまく動いているよ。」
私達は、一旦魔法学院のキリ姉の部屋に戻った。
「キリ姉、すべてのダンジョンに今日行ったことをするのね。」
「そうだよ。できそう?」
「やらないといけないのね。だったら、頑張る。」
「キリ、ありがとう。」
今回の作業に必要な地下施設は本部で予め作っておくことにした。また、その場に残しておくマナドール3体のセットも、本部で作ることにした。これらは、ダンジョンの数だけ作らなけれbならないので、かなりの時間が掛かる。
しかし、マナドールは、アイテムボックスの中で作業ができるので、時間の方は、問題ないはずだ。
最後に、ダンジョン全体を覆う特殊なバリアも予めシート状に作っておくことにした。これを接続しながら、ダンジョンを囲むことにした。また、このシートの断面には接続用の魔法陣を刻印しておいた。これで、光魔法と闇魔法の複合魔法が扱えない者でも、ダンジョンをバリアで囲むことが出来る。
マナの量はかなり必要だが、これもマナッテリーで解決できる。後は、土魔法が使えるだけでよいので、マナドールでも作業が可能となった。
大量生産をするのにおよそ1週間掛かった。しかし、後はほとんどの仕事をマナドールがやってくれるので、私達は監視するだけで済む。
この仕事は、 レオとヴァルゴの2人に行って貰うことにした。




