23.トード王国での隠密活動
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
ウディーア王国のキリから、思念伝達で、指令が来た。それは、トード王国で隠密活動を行えということだ。
ウディーア王国のキリから、隠密活動に必要な「隠密魔法」の魔法陣が送られてきた。私達、アクエィアス、アリエス、レオの3人が使いやすいようにと、3本のダガーの柄の部分に魔方陣が刻印されていた。
それと、今後に備えて、マナドールの軍隊を作るように指示された。
まず、トード王国の主要な街に地下基地を作り、兵士をアイテムボックスに確保していこうというものだ。そこで、各街の郊外に新たな農場と小屋を土地付きで買い上げて、地下基地を作っていった。
主となる4つの街ド-トムント、マ-セイ、エアフ-ト、リグーリに地下基地が完成した。基地の中には、兵士を作る工場も設置した。また、これらの基地にサーバーを作り、ネットワークにも参加させた。
各基地の兵士は2万体ずつ作成することにした。
地下基地の準備が出来たので、次の指令を実行することにした。まずは、この国の魔法学院に潜入して、図書館の図書のコピーをデータベースに送るというものだ。
ウディーア王国のキリに隠密用マナドールを20体送ってもらった。それをアイテムボックスに入れて、魔法学院に潜入することにした。
私達、アクエィアス、アリエス、レオの3人は、誰にも見つからずに、魔法学院に潜入し、図書室の中に入ることが出来た。
次に、アイテムボックスから、20体の隠密用マナドールを出して、図書のコピーを開始させた。マナドールは、アイテムボックスの中でもデータベースの操作ができる。そこで、アイテムボックスの中のサーバーにデータベースを作り、一時的にそこにデータを記録することにした。
2日で、図書のコピーを完成させた。私達、アクエィアス、アリエス、レオの3人は、アイテムボックスの中に隠密用マナドールを収納して、ド-トムントの街にある地下基地に移動した。そこから、ネットワーク経由で、コピーした図書のデータを本部に送った。
次に、神殿の中の図書館についても、同様の作業を行った。神殿の中は、魔法学院以上に書籍が多く、図書のコピーを完成するのに4日を要した。
最後に、王宮の図書館についても、同様の作業を行った。王宮の中は、神殿以上に書籍が多く、図書のコピーを完成するのに10日を要した。
これで、トード王国の書籍のコピーは完了だ。結果をウディーア王国のキリに報告をした。
すると、同様の行動をイーゼル王国でも行うように指示された。私達3人は、急いで、イーゼル王国に移動して、計画を実行していった。最終的に完了したのは、2カ月後であった。冒険者ギルドにも、トード王国と同じパーティ名で登録しておいた。つまり、パーティ名「アクエィアス」だ。
最後に、ザーセン王国でも、同様の作業を行うように指示された。同じような作業だったので、すべての作業に要した期間は2か月で済んだ。
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トード王国と同様の指示が、リーグリ王国にいる3人にも出された。ただ、ここは、魔法学院の中の図書館だけにターゲットを限定した。主要な街の地下基地はトード王国と同様に作る。
左程の日数が掛からず、計画は完了した。完成したことを報告すると、リーツ王国に移動して、同様の作業をするように指示された。ただ、このリーツ王国は、神殿と冒険者ギルドに特別な関係がなかったので、主だった街に地下基地を作り、サンライズ商店の支店をつくった。これには、4ヶ月掛かった。
次に、魔法学院・神殿・王宮の図書館の図書のコピーを完成させた。そして、各街のサーバー・データベース・ネットワークもトード王国と同じように完成させた。結果をウディーア王国のキリに報告をした。
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ウディーア王国のキリから思念伝達で最後の指令が来た。
アクエィアス、アリエス、レオの3人とピスケス、タウラス、ヴァルゴの3人は、一緒に、リーグり王国にやって来た。
この王国で、最後の隠密活動を行う。
まずは、冒険者ギルドに行き、この王国の冒険者ギルドに登録する。私達6人は、一緒に、ノ-トライン街の神殿にやって来た。
「 アクエィアス、いよいよ、だね。バレなければ、いいけどね。」
と、アリエスが言った。すると、ピスケスが聞いた。
「もし、バレたら、どうする?」
「逃げるか、隠密魔法を使ってね。」
と、アリエスが返事をした。
「分かった。」
ピスケスが頷いた。
「レオとヴァルゴは、神殿の中には入らずに、外で待っていてくれる。」
アリエスが、レオとヴァルゴに確認をした。
「「はい。」」
「でも、どうして、神殿の外で待たせるの?」
ピスケスが、アリエスに聞いた。すぐさま、アリエスが答えた。
「従魔登録は、後日でいいからね。すぐには、必要がないし、もし、私達が捕まった時に、助けに来て貰えるでしょ。」
「「確かに。」」
レオとヴァルゴの2人が納得をした。
アリエスが、アクエィアス、ピスケス、タウラスの3人に尋ねた。
「では、ちょっと、チェックしておく?」
「「いいよ。」」
アリエスが、音頭を取って、3人に確認していく。
「まずは、思念伝達ね。行くわよ。」
「何、これ。好きだって、誰に言ってるのよ?」
アリエスが、思念伝達で、言ったらしい。でも、確認のために、3人に対して同時に思念伝達で、伝えたようだ。そのため、3人の頭の中に同時に伝わった。それが、まるで、エコーのように、頭の中で響いた。
「まあ、まあ、誰が、誰に言っているか、よく分からないから、いいでしょ。」
アリエスが、思念伝達の珍しい使い方をしたせいで、3人とも困惑したようだ。
「「良いことない!」」
3人が一斉に突っ込んだ。
「それじゃ、次、行くよ。隠密魔法よ。準備はいい?」
と、アリエスが、懲りずに、仕切る。すこし、不安になったアクエィアスがアリエスに言った。
「周りに誰も居ないことを確認してよね。」
「うん、大丈夫よ。それじゃ、行くわね。」
と、相変わらずアリエスの返事は軽い。仕方がないので、3人は諦め気味に返事をした。4人は、ほぼ同時にアイテムボックスの中のダガーを取り出した。
「「はい。」」
3人の返事と共に、4人は、手に持っているダガーの「隠密魔法」の刻印にマナを流して、魔法を起動した。
「大丈夫ね。全員消えたわ。うわぁ、誰よ、抱き付いてきたのは?」
と、アクエィアスが驚いた。そして、怒ったように言い放った。
「もういいわよ。魔法を解いてね。」
「「はい。」」
アリエスとタウラスの2人が同時に返事をした。ということは、アリエスだけではなく、タウラスも抱き付いていたようだ。
「でも、この魔法って、いいね。いつでも、周りに気を使わないで、抱き付けるよ。」
アリエスがタウラスに、声を掛けている。
「そうね。」
「そうね、じゃないよ。だめでしょ。」
と、アクエィアスが怒って言った。すると、アリエスは、相変わらずの返事をしている。
「そうかな?」
「そうよ。」
と、アクエィアスがまたもや怒って言った。
「それでは、そろそろ行くわよ。」
アクエィアスの掛け声と共に、私達4人は、歩き始めた。暫くして、神殿の出入口に到着した。アクエィアスが、係員(神官かな?)に声を掛けた。
「すみません。」
「はい、何でしょう。」
「私達、冒険者ギルドに登録に来たのですが、通して貰えますか?」
「何!冒険者ギルドに登録だって。誰に聞いてきた。」
「えーっと、商業ギルドの人に聞いたのですが、神殿の中に冒険者ギルドがあるって。」
「神殿の中にって、あるわけないだろ。帰れ、帰れ。」
「でも、あるって、聞いたのですが?」
「知らん、何かの間違いだろう。」
「では、何処にあるのですか?」
「そんなことは、知らん。勝手に探せ。」
神殿の出入口の係員は、全く取り扱ってくれない。
「アクエィアス、何か、変だね。」
と、アリエスが声を掛けた。
「そうね。何か、隠しているみたいね。どうする?」
と、アリエスに返事をした。
「仕方がないね。自分たちで、探そうか?」
「ん?どういうこと?」
「だから、勝手に探そうって、勝手にね。」
「なるほど、では、最初に誰が行く?」
「私が最初に行くよ。」
と、アリエスが言った。
「いいよ。お願いね。」
アリエスは、隠密魔法を起動して、神殿の出入口の係員の目の前に立って、反応を見た。全く反応しない。アリエスは、思念伝達を送って、他の3人に来るように伝えた。
4人は、神殿の出入口の係員の前を堂々と進んで行った。
神殿の門を潜ると、目の前に大きな建物が見えた。おそらく、ここが、神殿になるのだろう。ちょっと、中が気になるが、今回は、前を通り過ぎることにした。
暫く歩くと、すこし、みすぼらしい建物が見えた。どうやら、これが冒険者ギルドの建物のようだ。
冒険者ギルドの出入口に近づき、中の様子を窺った。
可笑しなことに、建物の中は普通の冒険者ギルドのようだった。しかし、危険かもしれないので、1人だけ、隠密魔法を解除して、中に入ることにした。
アリエスは、隠密魔法を解除して、中に入っていった。
「こんにちは。」
「ん?どなたかな?」
出入口に居た老人が返事をした。
「冒険者ギルドに登録に来たのですが、手続きをしてもらっても、いいですか?」
「リーグり王国の冒険者ギルドに登録するのかね。」
「はい、そうです。」
「おぬしは、正気か?」
「えっ、どういうことですか?」
「もう一度聞くが、リーグり王国の冒険者ギルドに登録するつもりかね。」
「はい、そのつもりです。」
「ふむ、おぬしは、リーグり王国の冒険者ギルドがどのような所か、知らないのだね。」
「他の国の冒険者ギルドと比べて、何か、違いがあるのですか?」
「全く、違う。リーグり王国の冒険者ギルドは、神殿の神官だけで構成されている。つまり、一般の冒険者は、いないのだ。おぬしは、どう見ても、神官ではないな。
だから、冒険者ギルドには登録できない。」
「そんなことって、あるのですか?」
「あるとも、このリーグり王国にあるじゃないか。」
「それは、国王が決めたことですが?」
「この国の国王は飾りじゃよ。神殿の神官長が、国王に指図しているよ。」
「おじいさん、そんなこと言っていていいのですか?捕まりませんか?」
「大丈夫だよ。だれも、わしに手出しはしない。」
「なぜですか?」
「はっ、はっ、はっ。なぜ、って。それは、わしだからだ。」
アリエスは、どうしたらいいのか、分からなくなってしまった。思念伝達で、相談したら、一旦帰ろうってことになった。
「おじいさん、また、来るね。バイ、バイ。」
アリエスは、別れを告げて、神殿の中の冒険者ギルドを後にした。
皆と合流してから、この街の、地下基地に転移魔法で移動した。




