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22.校外学習でダンジョンへ

少しでもお楽しみいただければ幸いです。

 ザーセン王国では、神殿に運ばれた勇者を取り囲んで、神官達が治癒魔法を、一斉に掛けていた。

 

 「勇者殿、大丈夫ですか。」


 神官長が勇者に声を掛けている。王宮から勇者を運んできた、神官達にも、声を掛けた。


 「何があったんだ。ここまで、勇者が怪我をするとは?」


 「私達が王宮に行った時は、既に、勇者は、兵士たちに担がれて、王宮の門の所に居ました。

 私達が来るのを待っていたようでした。」


 「すると、お前たちは、勇者が怪我をした所を見ていないのだな。」


 「はい、そうです。よし、分かった。お前達は、もう一度王宮に行き、事情を聴いてこい。」


 「「はい、直ちに。」」


 神官達は、王宮に向けて走り出した。


 「うーん、後は、勇者殿が気が付いてからだな。」


 勇者の怪我は、見た目より軽く、その日の夜には完治した。しかし、勇者自身から、どのようにして、怪我をしたかは、語られなかった。


 新規のダンジョンから魔物が溢れ出て来た時も、勇者は、疲労で倒れている。神官長は、この勇者では、計画がうまく運ばないのではないかと、疑い始めていた。


 「仕方がない、もう一人いるか。」


 神官長は、独り言のように呟いた。


 「おい、誰かいないか?」


 「はい、神官長。ここに居ます。何か、御用ですか。」


 「魔力の多い者を集めよ。例の神具が使える様に、準備を始めよ。」


 「はい、わかりました。早速、始めさせていただきます。」


 「王宮に、悟られるなよ。分かっているな。」


 「はい。分かっています。」


 神官長からの依頼を受けた神官は、神殿の奥に消えていった。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 一方、王宮では、魔人レッドの魔法により破壊された広場の修復に、大勢の兵士が駆り出されていた。

 

 「王様、復旧には2~3日かかる見込みです。」


 「そうか、それにしても凄い魔法だな。あのような、大穴は見たことがない。」


 と王様は、勇者と魔人レッドの戦いの後を見て、驚いた。


 「それにしても、勇者が敗れるとは。しかも、魔王ではないのじゃな。」


 「魔法軍の四天王と申しておりました。」


 「そうか、もし、魔王が復活すると、この世は終わりじゃな。何か、打つ手はないのか。」


 王様は、相談する相手も居ず、一人呟いた。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 今日の黒魔導士のミーチェ先生の錬金術の授業は、校外学習でダンジョンへ行く。


 ダンジョンの中で薬草を採取する予定だ。マナハーブは、魔力が濃い場所でないと育たない。その為、採取には、ダンジョンに潜る必要がある。しかし、そんなに危険な事はない。魔力が満ちて居れば、ダンジョンの地下深くまで潜る必要がないからだ。


 今回は、好きなグループで、ダンジョンに潜って良いと言われている。


 私達は、キリ姉・私・エルミアの3人で、潜ることにした。マナハーブは何度も採取したことのある薬草で、すぐに見つかるだろう。

 エルミアがダンジョンに潜るのが初めてと言っていたので、エルミアのペースに合わすことにした。


 「エルミア、マナハーブはわかる?」


 と、キリ姉がエルミアに聞いた。


 「はい、事前に知れべて来たので、大丈夫です。見れば、分かります。」


 「そう、えらいわね。それじゃ、案内はエルミアに任せるわよ。」


 「はい、任せてください。」


 私達3にんは、のんびりとピクニック気分で、ダンジョンの中を進んで行った。


 今回参加したのは、私達のグループを含めて、4つのグループだ。すでに、何度もダンジョンに潜っている生徒は参加を辞退した。また、上級貴族の生徒たちは、薬草は購入するものだと言って、参加しなかった。


 そのため、ダンジョン自体に興味がある生徒や平民を含む生徒のグループが、参加することになった。担当教師のミーチェ先生は、全体を見渡せる位置で生徒の様子を観察していた。


 「マナハーブがありました。見てください。」


 と、エルミアが飛び跳ねている。エルミアから、薬草を渡されて、キリ姉がアイテムボックスに入れていく。


 「もっと、いるわよ。エルミア、頑張ってね。」


 「はい、頑張ります。」


 いつの間にか、私達は、他のグループから離れて、2階層下の第7階層に居た。


 「あれぇ、他のグループが見えなくなったね。キリ姉、どうする。」


 「まだ、第7階層だし、問題ないわ。念のため、キリはスキル探索で、危険にならないように見張っていてね。」

 

 「はぁい、分かりました。」


 初級ダンジョンの第7階層なので、私も、気が抜けている。全くピクニック気分だ。甘いおやつが欲しくなった。


 私達3人は、エルミアの採取したマナハーブで、必要な量は確保できていた。もう、いつダンジョンから出ても良かった。


 急に、上の階層から叫び声が聞こえて来た。


 「誰か、助けて!」


 「キリ姉、聞こえた?」


 「上の階層から、声が聞こえたね。すぐに、見に行こう。」


 私は、キリ姉にエルミアと一緒に来るように頼んで、一人で、声がする所へ走っていった。


 声を出したと思われる生徒の所へは、すぐに到達した。


 「どうしたの?」


 「魔物が急に出てきた!」


 「どんな魔物?」


 「大きな蛇のような魔物。」


 「それで、あなたのグループの他の人は、どうしたの?」


 「よく分からない。私だけ、逃げて来たの。」


 私は、スキル探索で周囲の魔物を調べた。


 「少し離れた所に、魔物1匹と生徒が7人いるね。

 ここの周りには魔物はいないようだから、あなたは、ここで、待っていて。

 すぐに、キリ姉とエルミアが来ると思うから。」


 「はい、動かずに待っています。」


 私は、すぐに、魔物の所へ行った。魔物は、レベル50のサーペイントだった。


 生徒達は、固まって、サーペイントと対峙していた。担当教師のミーチェ先生は、見当たらない。


 私は、すぐに、生徒達とサーペイントとの間に割って入った。まず、生徒達を光魔法のバリアで包んで、結界を作った。結界を確認してから、サーペイントに風魔法で、風カッターを放った。風カッター初級の魔法だ。しかし、今の私はレベル70なので、上級レベルの魔法と同等の威力を発揮した。


 サーペイントの身体は、2つに分けられ、頭が地面に落ちた。同時に、魔石も飛び出した。


 「もう大丈夫よ。結界も消すね。」


 生徒達は、安堵の表情で、私に声を掛けた。


 「ありがとう。怖かった。」


 「「助かった。」」


 「ところで、ミーチェ先生と一緒ではなかったの?」


 「そうだ、ミーチェ先生は、他のグループを助けに行ったよ。もう一つ上の階層にいるよ。」


 「分かった。ありがとう。」


 すぐさま、一つ上の階層に行き、ミーチェ先生と生徒達を見つけた。


 ミーチェ先生は、5人の生徒達の先頭に立ち、生徒達を魔物から守っていた。


 魔物は、ゴブリンだった。しかし、数が多い。30匹ほどのゴブリンに取り囲まれていた。


 私は、急いで、ミーチェ先生の横に行った。


 「ミーチェ先生、大丈夫ですか?」


 「キリさんね。大丈夫よ。

 でも、生徒達を守りながらでは、思ったように動けない。

 今の所は、ゴブリンから、生徒達を守るだけで手いっぱい。」


 「分かりました。ミーチェ先生は、生徒達を守ってください。私が、ゴブリンを倒します。」


 声を出し終わると同時に、火魔法の範囲攻撃で、ゴブリンを狩り始めた。連続で、5回ほど、魔法を放つと、ゴブリンの群れは、壊滅状態になった。数匹、まだ、動いているので、風魔法の風カッターで、倒し切った。


 「ミーチェ先生、終わりました。」


 「ありがとう。キリさんは、冒険者だったのね。」


 「はい、ギリギリ、Aクラスです。」


 「助かったわ。でも、こんな低階層で魔物の群れが出るなんて、この初級ダンジョンは、変ね。」


 「冒険者ギルドに報告した方がいいですね。」


 「何故、こんな事が起こるのかしら。」


 「以前にも、ダンジョンが不安定になったことがありました。

 上級ダンジョンを勇者が制圧した時に、多くの魔力がダンジョンから放出されました。

 その行く場のなくなった魔力が流れ込んできて、ダンジョンが不安定になりました。」


 「そうなの。今回も同じような事が行われているのも。」


 ミーチェ先生と話しているうちに、キリ姉・エルミア・生徒達がやって来た。


 「皆さん。今日は、ダンジョンから出ましょう。

 全員で、一緒に行動してください。

  分かりましたね。」


 「「はい。」」


 ダンジョンを抜け出して、生徒達を魔法学院の寮に送り届けたミーチェ先生は、その後で、冒険者ギルドに報告に行った。

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