20.パープルの活躍
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
ザーセン王国に潜入していたパープルから、連絡があった。それをまとめて報告書を作った。それは、下記のような内容だった。
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【パープルの報告書より】
ザーセン王国は、以前からダンジョンコアを王宮に国宝として保管していた。ある時、保管庫の警備兵が大量の魔力の変化を感じた。そこで、神殿から神官達が派遣されてきた。
分かったことは、最近、保管していたダンジョンコアが魔力を吸収し始めたということだ。
最初は、神官長はダンジョンコアで扱える魔法の回数が増えると喜んでいた。そのうち、ダンジョンコアのもともとの容量を超す魔力が蓄積され、爆発する恐れが出てきた。
そこで、遠方の地下深くに埋めて放置することにした。最も魔力を多く吸い込んだダンジョンコアを密かにリーツ王国の国境近くの地下に埋めた。すると、ダンジョンコアは、地下深くに沈んでいき、地上からは、魔力が感じないほどになった。安全に埋めれたと思った神官達は最後まで確認せずに帰国した。
暫くは、リーツ王国の様子を窺っていたが、一向に爆発する恐れがなく、特に大きな変化がないようなので、他のダンジョンコアは、自分たちの王国の近くの国境近くの地下に埋めた。
すると前回と同様に、ダンジョンコアは、自然に地下深くへ沈んでいき、地上からは魔力を感じないほどになった。安全に埋めることが出来たと思った神官達は、その後の状態を観察せずに神殿に戻って来た。
ついに、自分達の国境近くにはダンジョンコアを埋めるスペースが無くなったので、他国の国境近くの地下に埋めていった。
数か月が経った頃から、ダンジョンコアを埋めた場所から新規のダンジョンが現れた。
それでも、神官達は特に気にもしていなかった。そうして放置していると、新規のダンジョンから、魔物が溢れ出て来たとの報告を受けて、慌てだした。
神官達には、特に打つ手がないので、勇者と兵士に魔物の討伐を丸投げしてしまった。
暫くは、魔物を食い止めていたが、新規のダンジョンの数は多く、一人の勇者では、対応しきれなくなり、ついには、勇者ですら、倒れてしまった。
他国からの被害情報が入りだしてから、急にダンジョンから出てくる魔物の数が減り、ついには、制圧できるまでになった。
勇者も元気になり、兵士達と一緒にダンジョンの制圧に乗り出すと、一気に新規のダンジョンの制圧を行うことが出来た。
ザーセン王国では、勇者を中心にお祭り騒ぎだった。当然、神官達は事の経緯を報告しなかった。
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私は、すぐにキリ姉に【パープルの報告書】を渡して、内容を確認してもらった。
「パープルはよくやったね。キリ、褒めてあげてよ。」
「はい、褒めるよ。すぐに帰って来るようにって、言うね。」
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まだ、キリ姉と街に買い物に行けていないので、杖が手元にない。仕方がないので、取り敢えず、手元にあるダガーの柄の部分に魔方陣を刻印しておいた。
パープルにも渡したいので、もう一つ作った。
それから、先日「隠密魔法」の魔法陣を刻印したマナドールと同じものを、更に11体作っておいた。合計12体の隠密用マナドールを図書館に潜入させて、図書の内容をコピーさせている。写真を撮るような感じでコピーが出来る様に、マナクロを組み込んでいるので、1冊当たり2分程度で、コピーが完了する。
魔法学院の図書館には、本が1万冊ほどあるが、12体で休みなく働いてくれるので、数日で完成する予定だ。もちろん、コピー出来た内容は、本部のデータベースに保存される。
この世界では、本は貴重で、基本的には貴族しか購入できない。また、貴重な本や特殊な内容が書かれた本は、国王に献上されるので、書籍のほとんどが、王宮の図書館に収められている。いつか、すべての王宮の図書館に潜入して、すべての書籍のデータベースを完成させたいと思った。
しかし、今の私達のことを知られたくないので、王宮の図書館に潜入するのは、リスクが大きすぎる。その前に、各王国の魔法学院に潜入させて、書籍のデータベースの充実を図ることにした。
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パープルが戻って来た。いきなり、私の部屋に現れて、私に抱き付いてきた。
「パープル、ご苦労様。」
私は、パープルに声を掛けながら、いつものように、頭を撫でてあげた。パープルは、ふさふさの尻尾を振って喜んでいるが、少し、大人びた感じだ。一人で苦労した為か、少し成長したみたいだ。
「そうそう、パープルに、プレゼントがあるの。貰ってくれる?」
私は、「隠密魔法」の魔法陣を刻印したダガーをパープルに渡した。
「ウン、ウレシイ。」
「この柄の部分に魔方陣を刻印しているから、そこにマナを流してみて。
少しだけで、発動するよ。
発動した魔法を解除するのは、いつでも、頭の中で解除したいと思うだけでいいよ。
やってみて。」
「ウン、ヤッテミル。」
パープルは、ダガーの柄の部分にマナを流した。すると、私に抱き付いていたはずなのに、部屋の中のどこにもいなくなったように感じた。成功だわ。
「パープル、成功よ。うまく働いているわ。
おっと、お腹をさすらないでよ。くすぐったいわ。」
手を動かすと、パープルの身体にあたって、手が止まるのだけど、何かに触れている感触はない。奇妙な感じだ。
「パープル、もういいよ。出てきて。」
「ハイ、バァ。」
「うまくいったようね。何か、不具合はない?」
「ダイジョウブ、スグニデキタヨ。」
「一人でいるときに、練習しておいてね。
私といるときは、隠れないでね。いい。」
「ウン、ワカッタ。」
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今日は、黒魔導士のミーチェ先生の錬金術の授業がある。ポーションの製作を行うらしい。
用いる薬草はベースハーブとブラッディハーブになる。今回は、必要な薬草を担当教師のミーチェ先生が用意してくれる。
中級の授業では、薬草の採取も行わないといけないらしい。場合によると、ダンジョンの中での採取もあるので、格闘術も必須の科目となっている。
ミーチェ先生が、部屋に入って来られた。生徒たちは、すぐに自分の席に着き、各自の机の上の錬金術用の道具を確認している。
「さあ、準備は出来ているかしら。
必要な薬草を選び、各自の机の上に置きなさい。
次に、フラスコを持って、水魔法でフラスコの中に魔法水を満たします。
それから、フラスコの中に薬草を千切って加えながら、魔力を込めながら、呪文を唱えます。
はい、それでは、薬草を持っていきなさい。」
生徒たちは、急いで、先生の前の机から、必要な薬草を持っていった。机の上には、今回は使わない毒性の薬草も置かれていた。
ミーチェ先生は、すべての生徒が、薬草を取り終わったのを確認し、皆に注意を与えた。
「水魔法は、大丈夫ですか。もし、自信がなければ、私の後について、詠唱を行いなさい。
ダ・ミヒアクアム
ダ・ミヒアクアム」
ミーチェ先生は、暫く間を取ってから、続いて、生徒に指示を出した。
「まず、鉄製の炉の中にフラスコを入れなさい。
次に、薬草を千切って、フラスコの中に入れながら、魔力を込めて、詠唱を行いなさい。
用意はいいですか。では、始めます。
ダーレア ディヴィーナポテンチア
ダーレア ディヴィーナポテンチア」
ミーチェ先生に続いて、皆が唱える。すると、フラスコの中の水は光りながら赤色に染まり始めた。
「それでは、皆さんの出来栄えを調べましょう。
各自、出来上がったポーションの入ったフラスコを私の所まで、持ってきなさい。」
ミーチェ先生の前の机上に、フラスコが並んだ。
生徒全員分のフラスコが並んだことをミーチェ先生は確認した。
「それでは、並んだフラスコを見てみましょう。
魔法水の純度が高いほど、透明度が高くなります。
また、ポーションとしての効果が高いほど濃い赤色をしています。
他のものと比べて、レベルが低かった者は、練習しておくように。
次回は、校外学習を行います。
薬草採取やダンジョンの中での活動も行います。しっかりと準備をしてくるように!」
「キリ、エルミア、どうだった?」
キリ姉が、私達に声を掛けて来た。いつの間にか、エルミアもキリ姉の横にくっ付いている。
「キリ姉、うまくいったよ。いつも作っているから。」
「私もうまくいきました。部屋での練習も役に立っています。」
「二人とも、上手ね。錬金術が向いているみたいね。」
「はい。面白いです。これからも、頑張ります。」
と、エルミアが嬉しそうに、キリ姉に答えている。
「次は、校外学習でダンジョンに潜るけど、エルミアは初めてかな?」
「薬草の採取で森の中には入ったことがあります。でも、ダンジョンには、入ったことがありません。初めてで、ちょっと、怖いです。」
「そうか、そうか、心配ないよ。私が居るから。」
キリ姉は、エルミアを安心させるように声を掛けながら、頭をポンポンと叩いている。
「はい、お願いいたします。」
キリ姉は、エルミアの肩を抱いて、頭を撫でている。キリ姉は、エルミアが大好きなようだ。




