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13.混乱する王都

少しでもお楽しみいただければ幸いです。

 私達の居るウディーア王国の北西にあるイーゼル王国、北東にあるトード王国、南東にあるリーグり王国にも、新しい上級ダンジョンが現れた。


 各国は、自分たちの王国の上級ダンジョンの対応に追われ、他の王国にも自分たちの王国と同じように上級ダンジョンが出来上がっているとは思ってもみなかった。


 リーツ王国に出来た特級ダンジョンを皮切りに、あちらこちらにダンジョンが出来上がって来た。


 しかも、その数は日増しに増加していった。勇者を召喚したザーセン王国に至っては、国境に合計5個もの上級ダンジョンが出来上がった。当然は、勇者に発生した上級ダンジョンの制圧を指示して派遣したのだが、制圧する度に、新しいダンジョンが出来上がった。まるで、もぐら叩きのような状態で、ついに、勇者も疲労で倒れてしまった。勇者がいない状態では、多数の近衛兵を派遣しようとも上級ダンジョンの攻略は難しいく、1つの上級ダンジョンも制圧できずにいた。

 

 しかし、上級ダンジョンの数は一定の数以上には増えなかった。結局、ザーセン王国の周りには、7個の上級ダンジョンが出来上がり、そのまま維持され続けている。


 勇者の居るザーセン王国が狙い撃ちされたかのように、ザーセン王国の国境には上級ダンジョンがあり、上級ダンジョンを避けてはザーセン王国に行けないほどになっていた。

 

 私達のいるウディーア王国も、状況はさほど違いはなかった。


 各地からの情報を整理すると、すべてのダンジョンから魔物が溢れ出ているのではないようだ。


 今回新たに発生した上級ダンジョンからのみ、魔物が溢れ出ていた。つまり、新規の上級ダンジョンから離れて居れば比較的安全だということだ。


 そこで、冒険者ギルドでも王国の人々を誘導して、南に移動しようという提案がなされた。


 私達も、冒険者として、冒険者ギルドでの会議に参加した。


 「ギルド長からの説明で、南方に避難しべきだということはわかりました。しかし、避難は長期に渡る可能性が高いです。住居や食料については、どのように考えているのですか。」


 キリ姉が冒険者ギルド長に質問した。王国の住民に今住んでいるところを引き払い、新たな未開の地で住めといっても、簡単には納得できないであろう。しかし、危険を実感してから移動を開始していては後手に回ってしまって、彼らを助けることは困難になってしまう。だから、今のうちに移動を開始するのは最善策である。


 「まだ、王宮からの支援の返事がない。だから、どこまでできるかは、分からない。」


と、ギルド長が答えた。王宮に抗議に行こう、などの声も上がっている。

 

 「このまま、王宮の返事を待っていては、移動できなくなってしまいます。何とか、住民を説得できないのですか。」


 キリ姉がギルド長に改善策を持っているのかを聞いた。


 「今の所は、何もない。いい案があれば、出して欲しい。」


 冒険者ギルド長も困っているようだ。私は、住民が何を嫌がっているのか、考えてみた。


 〇未開の土地に行って、普通の生活が出来るのか。(できない)


 〇身の回りのものを捨てていかないといけないのか。(わからない)


 〇いつまで、避難しないといけないのか。(わからない)


 〇本当に魔物は襲ってくるのか。(わからない)


 〇王宮の兵士では、魔物を食い止めることができないのか(できない)


 〇冒険者ギルドの冒険者では、魔物を食い止めることはできないのか。(できない)


 まだまだあるかもしれないが、一番の理由は未開だということではないか、と思った。


 「キリ姉、街や村の人たちは本当に避難しないの?」


 「ギルド長はそう言ってるけど。私は、直接話していないので、分からないわ。」


 「取り敢えず、避難しようと思っている人たちで、先行隊として移動を開始したら?」

 

 「そうね。いずれにしても、全員が一度に移動できるわけでもないね。」


 長時間の会議になったが、決定権を持つものが決断しないので、時間が過ぎていくだけであった。


 「キリ姉、私達だけでも、事前に準備しておかない?」


 「どうするの?」


 「南の森を切り開いて、人が住めるように整備しておくの。」


 「それは、いいね。早速行こうか。」


 私とキリ姉は、南方の森に行き、土地を整備するために、まず、不要な木々を切り倒して、積み上げることにした。


 工場に待機しているマナドールを500体を転移魔法で、移動させた。次に、マナクロを書き換えて、森林を伐採して、木々を積み上げさせた。


 更に、500体を移動させ、伐採した後の土地の整備をさせた。


 いよいよ、建物だが、箱のような部屋を作り、積み上げていくことにした。

 

 1つの箱が、縦5m×横10mとした。1部屋で、5人住んでもらうとして、約10万人の避難民用に2万個必要になる。


 土魔法で、作るにしてもすぐには出来ないが、一度手順をマナクロに組み込めば、1時間に4部屋で、500体のマナドールで始めれば、2000部屋が1時間で作れる。


 従って、1日もあれば、住居用の部屋は用意できる。


 1棟を4階建てとし、1フローアに20部屋と考えて、250棟が必要となる。


 1棟当たり縦50m×横20mぐらいあればいいので、1キロメートル平方あれば、十分だ。


 私は、土地の整備の目途が立った頃に、地下に工場を作ることにした。いつも通り、地下10階の工場だ。地下10階には、転移用の魔法陣を、設置した。地下9階はマナドールの管理用のセットを設置した。地下8階には、マナドール作成用に設定した。地下7階と地下6階に部屋を作成できるように設定した。残りは、倉庫として準備した。


 後は、キリ姉の魂を刻印した自立型土人形ヴァルゴに任せることにした。


 これで、避難の準備は整った。私とキリ姉は、先行隊を迎えに行くことにした。住民たちの移動速度では、片道7日はかかる。


 私達は転移魔法で、移動できるので一瞬で街に入った。

 

 私達は、先行隊の住民に移住用に販売用のアイテムボックスを1家に1個貸し出して家財を入れさせた。


 荷物の整理を指示しながら、街の中央に転移魔法用の魔法陣を描いた。今回は、1家5人程度が一度に入れるように、大きな魔方陣を地面に描いた。


 準備が出来た家族から、順に並んでもらい、移動の開始を待ってもらった。


 ヴァルゴに、住居の準備状況を報告させた。すると、森林の伐採と土地の整備は完了して、住居棟の建設に入っているということだった。


 まだ、10棟できただけということだ。1棟で、80家族分なので、800家族は移動しても大丈夫だ。


 マナドールは、まだ、人目に触れさせたくないので、すべてのマナドールは、一旦、地下の工場の中に移動させるように指示をした。ヴァルゴも隠れる様に指示をした。


 「それでは、今から移動を開始します。ちょっと、びっくりするかもしれませんが、今回は、魔法陣を利用しての移動です。ですから、一瞬で移動が完了します。」


 「先頭の家族の皆さん、魔法陣の中に入ってください。」


 「それでいいですか。みんなで、手を繋ぐと落ち着きますよ。」


 私は、先頭の家族に声を掛けながら、キリ姉を南方の避難場所に転送した。


 「はい、それでは移動しますね。3,2,1、移動!」


 「それでは、次の家族の皆さん、先ほどの方々と同じように、魔法陣の中に入って、皆さんで手を繋いでください。」


 「はい、それでは移動しますね。3,2,1、移動!」


 どんどん、送り出していった。今回は、200家族程度だったので、3時間ほどで完了した。


 キリ姉は、避難場所で、移動してきた家族を避難用の住居に案内していた。私は、最後の家族を転送させると同時に、自分も避難場所に転移してきた。


 「キリ姉、手伝うよ。」


 「キリは、迷っていないか見てきてくれる。」


 「はい、行ってきます。」


 無事、先行隊の移動が完了した。最終的には、約10万人の移動になる。街の人々は納得してくれるかな、ちょっと心配だ。


 私達は、夕食と取った後、残っている住居棟の設置を行っていった。合計で、80棟になった時に、今日の作業を終えることにした。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 リーツ王国では、特級ダンジョンからすでに多くの魔物が溢れ出ていた。


 ダンジョンの出入口を固めていた兵士達は簡単に打ち破られて、逃走してしまった。


 取り残された街や村の人々は、身の回りの荷物だけを持って、逃げ回っていた。


 リーツ王国の東の森には、中級ダンジョンがあるが、その南側には普通の森林が広がっていた。そして、その森林の先は、ウディーア王国の南方の未開拓の土地に繋がっていた。


 本来であれば、許可を取らなければならない所だが、命からがら逃げている人々には、そんな考えは全く浮かばなかった。


 リーツ王国は、小さな王国ではあるが、それでも5万にの国民がいる。それらのほとんどが難民となってしまった。


 リーツ王国から多くの難民がやってくるという情報が、伝わって来た。ウディーア王国は、リーツ王国からの難民を阻止するために、国境の森林のウディーア王国への出入口を兵士で固めることにした。


 しかし、既に多くの難民がリーツ王国からウディーア王国に入っていた。


 私達は、リーツ王国からの難民とウディーア王国の避難民が一緒になることを避けるために、避難民用居住地を土魔法で作った壁で囲んでしまった。


 ウディーア王国の北西にあるイーゼル王国もリーツ王国と同じであった。


 魔物に追われた人々は、難民となって、ウディーア王国へ雪崩れ込んで来た。


 しかし、こちらは王宮から近いということもあり、国境に素早く兵士を派遣して、難民がウディーア王国に雪崩れ込んでくるのを防いだ。


 イーゼル王国からの避難民の様子を見て、ウディーア王国の国民は非難すべきだと、思い知った。


 ウディーア王国の避難民は、第1次先行隊の10倍の規模になった。約1万人の避難民が南方の避難所に移動していった。


 日を追うごとに避難希望者は増え続け、ついに累計8万人を超すまでになった。


 南方の避難所は、すでに完成しており、15万人の避難民を収容できる規模になっていた。当初の予定より増えていきそうなので、10万人から15万人に変更しておいた。


 食料は、避難民が持って来た物と王宮からの支援で、1ケ月は、何とか持ちそうだった。しかし、それ以上に長引いてくると、途端に飢え死にしてしまう。それまでに、何とかしないといけない。


 まずは、上級ダンジョンや特級ダンジョンの調査から始めることにした。キリ姉は、冒険者ギルドにリーツ王国にある上級ダンジョンの調査を1週間以内完了してもらうように交渉した。。冒険者ギルド長は了承した。


 私達は、その先にある特級ダンジョンに潜ることにした。

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