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9-2.魔法学院の生活(1)

少しでもお楽しみいただければ幸いです。

 魔法学院の生活も、もう、既に1年になろうとしていた。エルミアも、読み書きも、計算も十分に出来るようになっていた。もう、講義に出る必要はないレベルだ。よく頑張ったと思う。


 クルドは、相変わらず生意気で、嫌な子だ。私は、できるだけ避けていた。ちょっと、自信過剰で、私を見つける度に絡んでくる。


 この間の実習・演習のときも、水魔法の教師エルザベスが、水魔法の応用として、氷柱を作るように指示しているのに、


 「キリ、ちょっと、見てろよ。」


 私に、クルドは声を掛けるなり、詠唱を始めた。私が振り向くと、クルドは、笑いながら、私のすぐ前に氷柱を作った。半径10cm、高さ50cmの小さいものだった。


 「キリ、どうだ?」


 得意そうに、クルドは両腕を腰に押し当てていた。


 「何が?どうだっ、よ。何か、自慢したいことでもあるの?」


 「だから、氷柱だよ。どうだ!」


 「ふん。それがどうしたのよ。」


 「お前なんかに、できないだろう。こんな立派な氷柱は。」


 私は、クルドを無視して、エルミアの方を見た。エルミアも魔法は得意だ。


 彼女は、クルドの目の前に、お返しの氷柱を作った。しかも、無詠唱でだ。


 その氷柱はクルドのものよりも、遥かに大きく、誰が見ても立派な物だった。


 私は、クルドを見ないで、エルミアの傍に駆け寄った。


 「くそっ、なんだよ。割って入りやがって。」

 

 別の日の実習・演習のときも同じ様に絡んできた。それは、カエザー先生の火魔法のときだ。

 その日は、中庭での授業だった。火魔法で、20m離れた場所の標的を打つというものだった。


 「おい、キリ、俺の魔法を見て、勉強しろよ。」


 クルドは、火魔法が得意だ。そのため、いつも以上に自信満々だ。標的は5つあるが、クルドは、左から、2番目の標的の前に立っていた。


 「いくぞ、よく見て置け!」


 クルドは、短縮した詠唱で、左から3つの標的に対して、火球(ファイボール)を連続で放ち、すべて、命中させた。それぞれの標的は、クルドの火球(ファイボール)により、暫く赤い炎を上げて燃えていた。


 「どうだ、凄いだろ!」


 クルドはいつもどうおり、どうだっという態度で、両手を腰に当てていた。

 私は、いつも通り、無視してクルドを見ないようにしていた。


 「おい、無視するな。」


 すると、こちらを見ていたキリ姉が、短い詠唱で、5つすべての標的を火球(ファイボール)で破壊してしまった。


 「バン、バン、バン、バン、バン」


 大きな音が、中庭に轟いた。


 クルドは、何事もなかったかのように、いつの間にか中庭から消えていた。


 標的が壊れてしまったので、その日の授業は、それで終了した。

 

 「ねえ、キリ姉。クルドって、ウザいね。」


 「クルドって、いつも一人ね。誰も相手していないみたい。」


 「あんなに生意気だから、誰も相手しないよ。」


 「でも、かわいそうね。」


 「どうして?可哀そうなの。いつも私に突っかかってくるのよ。ウザすぎる。」


 「ここに来るまでに色々とあったみたいよ。クルドは、孤児院出身って聞いたわ。」


 「えっ、孤児院だったの。生意気だから、どこかの商人の息子かと思った。」


 「でも、どうしたら、あんなに生意気になれるのかしら。」


 「そうかな?私はあまり気にならないよ。」


 「キリ姉は、絡まれないから、そんなこと言っているのよ。」


 「そう?、キリが、考えすぎじゃ?」


 「もう、キリ姉、私の気持ちになってよ。」


 キリ姉が、クルドを庇うので、私は余計にクルドの態度にムカついてしまった。


 「キリ、クルドって、他の人にも絡んでいくの?」


 「さあ、私ばかりに絡んでくるみたい。他の人は、クルドのこと相手にしていないし。」


 「ふぅーん。」


 「なによ、その、ふぅーん、って。」


 私に同調してくれないキリ姉が気になったが、食堂で夕食を取ると、すべて、忘れてしまった。


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― 新着の感想 ―
名前が一緒だから第三者が居ると混乱しちゃうね
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