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ゲーム開始
ーー『あれは何だ⁈』ーー
ーー『…魔獣⁈…いや、悪魔だ‼︎』ーー
『きゃあああぁーーっ‼︎』
混乱するゲームの世界ーー
「なっ‼︎なんで⁈、操作きかないっ⁈」
俺は焦ってボタンを、やみくもに連打する。
「あ。お兄ちゃん。イベント中は操作出来ないから…」
隣で妹がそう言う。
「イベント?いま助けられないのか?何も出来ないのか?」
「うん…」
「そっ…そっか…」
黒い影だけど、血しぶきが飛び散る残酷なシーンを、妹とふたり、息をひそめて、見つめているーー
妹の瞳には、みるみる涙が溢れてきてーー
「なっ。なぁ那奈?」
「なに?」
俺は思わず妹に声をかける…
「さっき登録してた時、最後に自分の名前を入れたろ?あれって、何か意味があるのか?」
「あれは…たぶん…本編でゲームをクリアしたあと…エンディングロールで最後に流れる仕掛けだと思う…」
「最後……」
「そう……この世界を救ったらね。」
「………」
しばらくの沈黙……
「救ってみたいな…この世界…」
俺は画面を観ながら、そう言った。
「うん…」
妹も、そう静かにうなづいた。