コントラン(中)
昼休憩。
「クロード、後10日で学園だ。いつまで手伝える?」
ユリウスが聞く。
「後2日でしょうか。義兄上も戻られましたし、準備もあります」
「そうか。何か心配はあるかな」
「そうですね。知り合いが誰もいないので少し不安はあります。でも、なんとかなるんじゃあないかなあと思っています」
クロードの杞憂を聞いて
「私の妹も今年入学ですよ」
ととりあえず言ってみたが
「「あぁ」」
殿下とユリウスが不満げな声を出す。
わからないでも無い。私の妹ははっきり言ってクロードには勧められない。妹のシャーリンは我儘だ。
「僕の様な男爵家の者が侯爵家の御令嬢とはあまり話す機会が無いと思います」
「あ、ごめんクロード。妹はシャーリンと言うんだが、シャーリンにクロードの話をしているから話しかけるかもしれない」
クロード本当に申し訳ない。
「お前、シャーリンにクロードの話をしたのか」
殿下に睨まれるが仕方ない。
「シャーリン嬢はな、殿下が好きなんだよ。だから殿下の近くにいるクロードが気になるんだろう。コントラン、シャーリン嬢がクロードに危害を加えるような事は無いよな」
そう。シャーリンは私が屋敷に帰ると殿下の事を聞いてくる。仕事内容は言えないからどうしても昼食や休憩中の話になる。クロードの話は避けていたが、クロードの存在をシャーリンが知ってしまった。
「わかっている。シャーリンにはよく言い聞かせる。すまない。クロード」
「いいえ。お会いしてみないとわからないですから」
クロード本当に良い子だ。
「シャーリンにクロードを虐めるなと手紙でも書くか」
殿下気持ちはわかるけれど
「そんなクロードを庇うような事をすると余計ダメだろう」
つい、思った事が出てしまった。
するとクロードが
「僕、学園が始まるからもう王宮には行かないって言います」
そんな事を言い出した。これは阻止しなければ。
「「「それは、ダメだ」」」
全力で反対する。
「とにかく妹には良く言い聞かせるから」
これしか今は方法が見つからない。
食事時間も終わり仕事にもどる。
クロードが帰り、執務室の中に、殿下、ユリウス、私の三人になると、
「やっぱりシャーリンにクロードの話をしたのは不味かったな」
「すみません」
殿下に睨まれる。
シャーリンは、良い言い方をすれば高位貴族の令嬢らしい。私の見方で言えば、我儘で何でも自分の思う通りになると思っており、王太子妃は自分しかいない。と言っている傲慢で自分だったら絶対に相手にしたく無いと思う様な人間だ。
自分の妹ながらなんでこんな性格なのだろうかと思う。
クロードの話も始めは隠していたがお茶会で何処からか話を聞いたらしく、家に帰れば話をして欲しいと煩く付き纏われ、父も同じだった様で、とうとう父から話す様にと言われたのだ。
「いえ、殿下、早めに解って良かったです。対策が取れますからね」
「ユリウス、何か良い案があるのか」
「コントラン、お前、必死すぎだぞ」
殿下に笑われるがこちらは必死だ。あんなに良い子が私のせいでそれも私の妹に虐められるなんて考えたくも無い。
「とりあえずすぐに思いつくのは三つですね」
「三つもあるのか」
流石ユリウスだ。対策済みなのか。
「ええ、二つは殿下に力添えをお願いしますが」
「わ、わかった」
「殿下にお願いするのは
まず、学園のクラスをシャーリンとクロードを離す事です」
「それくらいなら大丈夫だ」
「次は、学園に強力な味方を作ります」
「誰か候補がいるのか」
「はい。シャーリン嬢も一目置く令嬢がいます」
「クラリッサ嬢か」
クラリッサ・ハイダミオ公爵令嬢。内務大臣ハイダミオ公爵の次女でシャーリンの二歳上。今年三年生だ。カラッとしてはっきりした性格、下級生にも慕われている。学園に王族が通っていない今、最上位の令嬢だ。噂では婚約者は自分で見つけると言っているらしく婚約者はいない。シャーリンの様に王太子妃になりたいのでもないそうだ。全て噂ではだが。しかし、王太子妃の最有力候補でもある。
「そうだな。ジルベールにも話をして、マーカスとキャサリンに頼んでもらおう」
マーカス・ハイダミオ次期公爵と夫人キャサリンはジルベール様の幼馴染みであり友人だ。マーカスはハイダミオ公爵家に婿入りした。キャサリンはクラリッサの姉になる。
「後はクロードに友人になれそうな令息を紹介します」
「当てがあるのか」
「サナタカヤワ子爵次男ソルティーです。性格も良く、武よりも文の所がクロードと合うでしょう」
「なるほど」
流石ユリウスだ。身分も合うし、子爵にも悪い話は聞いた事が無い。湯治場で発展中のスロイサーナに目を付けている家はあるだろうがサナタカヤワ子爵は裕福でも有りスロイサーナ家と縁を繋ぐにしてももう姉のスージーとアイリスが友人なので今更だ。
「「良い案だ」」




