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47:消耗戦

 お互いの攻撃が交差し、お互いに食らいあう。


「がっ・・・はっ・・・」


 遠くの木にぶつかりながら血反吐を口から出しながら立ち上がるハクザ。

 補助装置として使ったのはいいが、今度は魔力の加減が弱すぎたせいで、絶命までは持っていけずに、致命傷止まりであった。


 しかし魔術は発動したので概ね良しとしよう。


「頭を吹き飛ばしたのにって顔してるね。

 俺は頭程度吹き飛ばされたくらいじゃ死なないよ。どう?効くでしょ?この魔術」


 あえて頭を庇った。

 そうすることで頭部だけは壊されたくはないと意識させ、頭部破壊攻撃を誘発させた。

 ダメージを与えながら近付かせたかったが、本領発揮させてしまったので難しかった。


 あれをくらって立ち上がるハクザは人間離れしていると言える。

 この男は放っておくといずれは魔法使いになるだろう。だからと言って殺さないといけないこともない。

 この男が障害になろうが俺は何度でも倒すだろう。それが魔王ってものだ。


「お前の魔術ぐっ・・・」


「あんまり喋らない方が良いよ、死んじゃうから。

 と言っても俺は君を治さないけど」


 ハクザはよろよろとした足取りで俺へと近づいてくる。

 そして両手の親指を立てて、それを自分の首に当てようとした。


 しかし親指を首に軽く当てた時点で動きは止まってしまった。


 この男、立ったまま気絶している。執念だけで膝をつかずに立っているのであろう。


 俺が魔族のままであれば相打ちになる可能性は高かったな。

 ま、今は魔遺物であり心臓部は玉座にあるから死なないけどね。


「で?君達は漁夫の利を狙いに来たのかな?」


 木の陰からユララ隊が五人現れる。

 どいつもこいつも生気のない目で俺とハクザを見据えている。狙いはわかった。


 あの女待っているとか言いながら攻めてくるあたり姑息だな。


 一体のユララ隊が先行してハクザに攻撃を仕掛ける。

 助ける義理はないけど、目の前で死なれるのも寝覚めが悪いし助けてやるか。


 ボン!


 俺がハクザを助ける為に紅蓮蛇腹刃を起動した途端、ハクザの手が攻撃を仕掛けたユララ隊の腕を掴み、爆発させた。

 首が座っていないので気絶はしているのだが、身体は迎撃するようになっている。

 そんな魔術を施したのか、それとも迎撃する潜在意識が身体に沁みついているのか。

 どちらにせよ、意識が無い状態でこの動きは常人ではできないだろう。


 いとも簡単に自分が人類の模範であると言っていたが、こんなのが沢山いてたまるか。

 全人類がハクザに到達したところで、それが普遍になるだけだ。

 生き物は同一体になるべきではない。


 何にせよ助ける必要はないようだ。


「君達とは話にならないよね。

 上司に話しつけてきて欲しいんだけど、駄目かな?」


 ガチガチガチと、一体が歯を鳴らした。

 お話に応じてくれたのかな?と楽観的な想像をしたけど、戦闘開始の合図なのは明白であった。


 三体同時に俺へと攻撃を仕掛ける。

 一体は木と木を伝い素早い動きで翻弄し近づいてきて、二体は左右に分かれて駆けてくる。


 俺は地を大きく踏んでクレーターを作り上げる。

 そのクレーターの真ん中には四人目のユララ隊が潜んでおり、足裏で腕をへし折った。


 前にいる三体は全部が陽動で下にいる奴が本命である。

 目に見えるものだけで判断するのではなく、魔力感知も使っているので易々と見抜ける。


 いや、簡単すぎる。


 腕を折ったユララ隊の女が嬉しそうに笑っていた。


 折れた腕がぐにゃりと曲がり、蛇のように俺の脚に絡みついてくる。

 これで俺の動きを封じたつもりであり、計略に嵌ったと思っている。


 俺は普通の人間じゃない、お前達とほぼほぼ同じ魔遺物なんだぞ?


 両脇から攻めてきた奴らの攻撃を紅蓮蛇腹刃で受け止めて、魔遺物人間の根源となっている部分を切り捨てて、肘で払いのける。


 脚に絡みついている奴には大きく脚を引き上げて背面から攻撃を仕掛けてきた奴にぶつけた。

 二体が空中で重なったところに拳を打ち込んで攻撃を終えた。


 ハクザと戦った後で魔力を存分に消耗したが、まだまだ体内にある保存の数は無数にある。

 このままユララ隊を無力化しながら、ユララに会いに行くか。


 決断し、行動をしようとしたところで、森の奥の方に見知った顔を見つけた。


 しかし前に会った時よりか血相は悪く、目も虚ろとしていて、おまけにユララ隊の証である黒いローブを纏っていた。


「サマティッシ、ユララ隊に入ったの?」


 俺が近づいて声をかけると、サマティッシはこちらを振り向いた。

 見た感じは身体を改造されたようには見えないけど雰囲気がユララ隊そのものであった。


「リヴェン」


「そうだよ。ゴタゴタしてたから謝れなかったけど、あの時はごめんね」


 あの時はザバを懲らしめる為にサマティッシをあてたけど、少しは罪悪感を抱いていた。

 なので再び会えたので面と向かって謝っておく。こういうのは早い方がいい。


「リヴェン」


「はいはい、リヴェンだよ」


「リヴェン・ゾディアック」


 作り笑顔のまま最悪の展開が予想できた。


感想、評価等々お待ちしております。生きる糧になります。

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