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178:海獣墓場で本気を出して

 シンクロウはここから羽ばたけない。

 この黒い雨は魔力を抑制する力があり、物理的に阻んでいる。


 更にはこの足場、この鯨の死体が黒い雨と反応して触れているだけで魔力を吸収している床になっている。


 俺の力が制限される訳だ。


 ユララがここに先回りしている時点で場も展開も掌握されているのだ。

 俺の行動が全てにおいて後手になるようにしっかりと手綱を握られている。


 自分の駒を一つ動かして相手を動かし、駒を犠牲にして相手の行動を制限する。

 盤の上の駒を一つ一つ丁寧に、相手を甚振り、苦悶の表情を出させ、悩ませ、最良の選択をさせ、それは悪手と言わんばかりにチェックメイトまで持っていき挫折させる。


 本当にいい性格しているな。


「このフィールドの事にも気が付いているね。

 だけどこんなモノでこの半年間に身につけた力がワタシに及ばないなんて事はないよね?

 ねぇ?ワタシは本気で愛して欲しいの。どうして手心を加えるの?

 沢山人は殺したでしょ?沢山同族を見殺しにしたでしょ?今更でしょ?

 ワタシと愛し合わずにマグロで逝くのは許されないよ」


 いいところに目をつけるな全く。


「ゲーム開始までざっと八時間と言ったところだね」


「うん?そうだね。…あぁ魔王様にとってはそっちの方が大事なんだね」


 懐中時計を起動して時間を確認するユララ。


「確かに大事だ。

 君のじゃれ愛に付き合っている暇は無い。

 だが、君が胸にしまう魔遺物を持ち、君がワタ=シィであるならば、君の願いが叶うかもしれないね」


「………」


 ユララは考える。

 俺の発言の真意を汲み取ろうとする。そこに最大のヒントを与える。


「今の俺は人間には興味がない」


 ただの人には興味はない。

 神の性質を持った俺と対等に闘える者でないと、微塵さえも興味が湧かない。


 目の前にいるのは魔遺物であるリヴェン•ゾディアックを蒐集品として手持ちに加えようとしている人間ユララ•マックス•ドゥ•ラインハルトである。

 そんな俗な奴とは愛し合うは愚か、時間を共有し合うのさえ無駄なのだ。


 神の性質を持った者にしか興味はない。


 そうでなければ、楽しめないではないか。


「…あぁ。そういうこと。

 なるほどねーなるほどねなーるーほーどーねー。

 よくそれをボォクが承認したね。よくそんな蛮行にいたれたね。よくそんな不遜な行為が神の前で行えたね。

 やっぱり君は最高だ。

 どちらにせよ、どっちにせよ、ワタシは君を求めていたんだ。人間であって、魔族であって、魔遺物であって、そして神になった。

 いい!退屈な天上では味わえない刺激。

 そう、刺激なの!この刺激がワタシをワタシたらしめる!」


 取り付けていた魔遺物をポロポロと床に落とし、ボォクの魔遺物さえも無造作に捨てた。

 そして、服の中から札が入ったケースがベルトに取り付けられたものを装着した。


「ここ千年の間、ボォクに勝利するために研究してきた。

 ワタシはお前みたいな魔力馬鹿でもないし、スキル馬鹿でもない。

 だからこの世界に落とされ、違う世界の神が持つ力を千年間馴染ませてきた。

 ワタシは天神であると共に戒律神となった。

 魔神ボォクの信徒、いいえ新たな神、魔神王とでも呼べばいいかな。

 魔神王リヴェン、喧嘩をしましょう。人間と神の痴話喧嘩ではなく、神と神の喧嘩。

 ゲームに一切関係ない内輪喧嘩を」

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