表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

MY song

おいわいさま。

作者: caem


「ねぇ、見たことある?」


「いや、あるわけないじゃん」


「だって……ねぇ…… 」


 割りと有名な。

 大きな病院の渡り道で世間話をしている患者たち。

 彼女らはいわゆる、怪談話に花を咲かせていた。


「いっぱい手を生やしてて、毛むくじゃらで……でもって、血塗れとか。意味わかんなくない? 」


「だよねー? つーか、盛り過ぎっしょ? 」


「だいたいそんなの、聞いたことないしぃ」


 手にしていた携帯機器で検索しようともまるで引っ掛からない。

 都市伝説にしても程がある。


 皆が寝静まる頃、深夜遅くにケタケタと笑い声が辺りに響き渡っていった。


 真っ昼間であれば良いものの仲睦まじい女子トークショーは更に輪をかけ、他の入院患者から苦情のひとつというより掛け布団を被せられて、(チマキ)にされることは必須だった。

 とにかく、それくらい五月蝿く実に面倒臭い。


「で、さぁ……」


「ウッソ!? マジパねぇ!」


「キャハハハ!! マジウケる!!」


 盛り上がりが最高潮に達しようといていた、まさにその時である。


 月明かりが暗闇に覆われ、足元を照らす機器の動力すら全てがシャットダウンされたのだ。

 傍にあった自動販売機も沈黙する。


「え……なに、これ…… 」


 他の二人は言葉も発することができない。

 ただ、ガタガタとその身を震わせて暗闇の最奥へと視線を注ぎ……





 やがて、静寂だけがその場を支配していった。







 眠りを妨げる者には報いを与えん。






 今宵も ──


 おいわいさま(・・・・・・)は這いずり回っている。

 時に死神の鎌を振り上げながら。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ